マンションブロガーが答える

旧耐震基準マンションは買ってはいけないのか?

X上で旧耐震マンションアリナシという激論が交わされていて、激しい空中戦が起こっています。静観していた私にも質問が来ました。

発端は、三井物産をお辞めになられて、YouTube家買うぞチャンネル運営専業で行くことにした川崎祐馬氏に対して、いまやX上で昇竜の勢いのマンション好きの外資コンサル氏が長文noteで旧耐震狭小物件に対して警鐘を鳴らした、というものです。なるほどすごい、超良く書けている。

築古旧耐震狭小物件を買う若者の末路

そうしたら、築古リノベを売る事業者の方と一部アカウントでいざこざがあったり、なぜか東京で高校受験を指導されている塾講師の方が反論が投下されたり

「旧耐震マンションは買うな」と主張する記事に反論する

と、百家争鳴状態になっています。
これ、話を「旧耐震」「立地」「広さ」などの変数に分解して考えたほうがいいと思うし、発信者の立場によってモノの考え方が全く異なる、ということなんですよね。

人の発信は自分がいる場所、経験した場所で最大の出力を発揮する

たとえば早稲田大学の学生にとってはアルバイトはポピュラーなものです。当時早稲田の学生だったリブセンス社長にとって「アルバイト紹介」というジャンルが祖業なのは、一番自分に近い場所だったからです。バンドマンだった元ZOZO前澤さんが一番最初に始めた商売は輸入レコード・CDのカタログ販売でした。

4年で三井物産をお辞めになられた川崎祐馬氏は、自身のメッセージが届くフィールドを「新卒および第二新卒ですぐに家を買いたい人」と定めました。自分が直近で経験した短期住宅売買すごろくを元に「なるべく早期に」「築古でもいいから立地がいいところに」「ギリギリ与信が届くところで」の購入を勧められているようです。氏の発信を追いかけているわけではないので、もし違ってたら修正します。ごめんなさい。

対してマンション好きの外資コンサルさんの発信先は、川崎氏のフィールドより一段年収が高いところにあるように見受けられます。外コン氏と同じく若くして年収の高い外資コンサルや超大手日本企業、若手医師など年収も与信もある属性が同世代に比べて超高いアラサー世代向けの発信だと思うのです。

わかります。あまりにも都心部〜準都心部タワマンが高くなってしまったので最近は、近郊〜郊外の一番手タワマンに妙味があるように感じますよ、ね。

一方で、塾講師の東京高校受験主義さんが旧耐震マンションを複数お持ちのセミプロだとのことでした。

御三方の違い、わかりますか?

川崎祐馬さんの話を聞きに来るお客さんのほとんどは、外コンさんおすすめ物件を「いますぐ」買えない層なんです。年収400〜500万の若手で手が届くのはせいぜい〜4000万円クラス。この予算で、立地も求めようとすると「旧耐震マンションの40平米前後の狭めマンション」しか購入できないのです。でも、インフレを知っている賢い若者たちは焦っています。いますぐ買わないと、この先自分の給料の伸びでは物件だけ高くなって届かなくなってしまうのではないか、と。

そういえばリーマンショック時は小学生だった社会人一年目≒20代前半にとって、東京の不動産はずーっと上がっているものでした。彼らには焦る理由が存在します。親の年収が伸びない中、東京のマンションはずっと上がって手が届かないところまで価格が上がってしまっているのです。でも、安心。なんといっても、目の前に三井物産の社宅1万円をすぐ蹴って自宅を購入して成功している川崎さんが軍師についているのです。

高校受験主義さんは、またフィールドが違うところにいらっしゃいます。この先新築が立たなくなってくることを見越して、物持ちが良く構造的に安定している旧耐震団地リノベなどをおすすめされています。中学受験の弊害に警鐘を鳴らし、地に足がついた方たちに向けて常に発信されている彼らしい考え方といえます。

また、築古リノベ屋の方々も、消費者に手に届く範囲の中で立地優先で選びたいという方々のための商売だと理解しています。

のらえもんも築古狭小物件は勧めない

のらえもんは、もう少し古い人間です。資産性を考え住宅をホッピングしたところに幸せがあるのか、住宅購入はQOLを上げる手段であるが、そもそも幸せとは一体何なのかを、私なりに長い時間考えてきました。

湾岸のタワマンをすべて内覧し、部屋からの景色でタワマンを言い当て、次々に立つタワマンの価格表を書き起こして狙い目住戸を探して自分なりに発信をした先に出た結論は、、、「割高物件を掴まなければそれでいい」に達しました。

初期の頃からのらえもんに連絡を取り、湾岸タワマンをいくつかホッピングして、、、その結果離婚した相談者の方がいらっしゃいます。いま奥さん子どもとは別のマンションに住み、養育費を払われているそうです。お金は手に入ったかもしれない。でも何のための人生だったのでしょう?

物件購入に善悪はなく、購入した先で幸せを見つければよいのではないか…?
では私ができることはなにか?
相談者が迷われているマンションが長期的に見て価値が保てそうか、割高ではないか?を第三者的に意見を言うくらいに留めるのが誠実なのでは?と考えました。

少し話が逸れました。
私も「社会人初手の家で、築古狭小は勧めません」。理由は出口が非常に限られているからです。狭小物件は結婚したあと住み続けられません。出口は意識したほうが良いと思っています。

旧耐震でもよい物件はあると思います、耐震適合しているかどうか、更に配管や雨漏りなどが大丈夫なのか確認することをおすすめしています(ただたいていの業者は、専有部だけでなく建物全体の管理状況をどこまで把握しているのかは謎です)。

親戚が持っている旧耐震マンションに遊びに行くことがありますが、きちんと管理されている物件であれば、最新の住宅と比べても”住み心地”はそこまで変わるものではありません。それよりも住宅の中での生活にこそ、幸せのポイントがあると思っています。

立地は変えられない変数のため、人によっては築古リノベが最適なソリューションであることも多いかと思います。
今後の日本の趨勢を考えると、そちらの方が地に足のついた選択かと思います。誰もがピカピカのタワーマンションに手が届く時代ではないですし、そんなピカピカタワマンでも、朝のエントランスが中国語だらけになっているところも、出現しつつあります。そういった異文化に触れ合うことは自分も子どもにとっても勉強にもなりますが、自分だけでなく家族含めてストレス許容度が低い方がいらっしゃる家庭にとっては他の選択肢が良いのではないでしょうか。

 

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コメント

  • コメント (1)

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    • 通りすがり
    • 2024年 11月 28日

    めちゃめちゃいい記事。
    追加すると、狭小旧耐震なら再開発建て替えに巻き込まれ安い絶好の立地ならあり。
    あるいは、準都心(絶妙な表現すると方南町とか新小岩とか蒲田とか)の徒歩7分圏内40平方メートル台の旧耐震とか選んでいけば、3000万円程度で出口も選択肢ある状態が作れるか。
    結局のところ、個人の価値観と物件の個別性があるので、ちゃんと理解した上で購入する必要がありますね。

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