マンションブロガーが答える

不動産囲い込みの打破のためになにかできることはありますか?(質問にお答えして)

Querieで来た質問※なのですが、あえてのらえもんブログで答えたいと思います。

都心3区の駅徒歩5分の物件がSUUMOに搭載された日に、自分の今の担当に内覧希望の連絡を入れてもらったのですが、現在契約中です。と2件連続断られました。

その物件の担当してる不動産は、自分がお願いしてる不動産とは異なる会社です。
これが囲い込みでしょうか?
囲い込みを打破するための最善策を教えてください。

いまの都心3区、出した価格が適正価格だとノールックで買付いれる人もいて、正直これが「囲い込み」なのか「正常の取引範囲」なのかはわかりません(笑)

不動産仲介業界の悪弊「囲い込み」とは

不動産仲介というのは、不動産を売りたい人と買いたい人をマッチングさせ、安全な取引を担保するための説明資料を用意して、双方納得させるために間に立つことをいいます。売りたい人からも、買いたい人からも、それぞれ仲介手数料を請求することができ、その最大料金は「(売買価格×3%+6万円)+消費税」となっています。

不動産を売りたい人は、どこかの仲介店と媒介契約を締結して、売却活動を開始します。仲介店は①自社で抱える顧客、チラシ、メルマガのほかに、②ポータルサイト(SUUMOやHOME’S、atHomeなど)の掲載で広く募集するとともに、③不動産流通機構(レインズ)に物件情報を掲載して他の仲介店が抱える顧客からもアクセスを開放しなければなりません(媒介契約が専任媒介・専属専任媒介の場合)。

不動産仲介店が1取引あたりの売上を最大化しようとするなら、売主からの仲介手数料だけでなく、買主からの仲介手数料も欲しいわけです。
上記のアクセス方法のうち、①と②は自社に買主候補の顧客がアクセスして来ますし、③は他社から買主候補がアクセスしてきます。

このうち、③をブロックするのが「囲い込み」というわけです。仲介店(仲介マン、エージェント)はあくまでも売主の代理ではなく仲介人のわけですから、自社と他社の顧客に差をつけることは倫理上とレインズの利用規約上許されていません。もちろん、売主にブロックしたことを逐一報告し、売主が承認すれば問題ないわけですが、不動産仲介店がそんな不誠実なことを馬鹿正直に報告するわけがありません。

今回のケースは「囲い込み」なのか?

東日本流通機構による媒介契約とレインズの登録義務、掲載開始期間など

専任媒介契約の場合は、媒介契約日の翌日から7日以内、専属専任契約の場合は媒介契約日の翌日から5日以内にパターン③のレインズ登録を行い、広く買主候補を探さなければなりません。

仲介店に勤務する仲介マンの立場になってみましょう。
仲介マンはできるなら、買主も自社で集めたいと思います。上記のルールはレインズの利用規約で決まっていますので従う必要があります。どうすればいいでしょうか?答えは簡単です。

媒介契約締結日以降、レインズ掲載義務締切日前の間に①と②を先出しする。つまりポータルサイトの新着物件はレインズ掲載前の物件も多いわけです。これは不動産仲介店に認められた権利の一つです。もし、ポータルサイト先行で、レインズに登録前に他の不動産仲介店からアクセスしてきたら「どうぞどうぞ」と応じるでしょうか?…残念ながら応じなさそうですよね。

ですので、
「都心3区の駅徒歩5分の物件がSUUMOに搭載された日に、自分の今の担当に内覧希望の連絡を入れてもらったのですが、現在契約中です。と2件連続断られました。」
と言われても、「担当はレインズに掲載されていないのを確認し、最初から諦めモードで話を取り次いでいない可能性」と「ダメ元で連絡したが断られた可能性」と「本当に契約中といわれた可能性」が存在しています。もしかして、5日間くらい我慢した後に担当者に連絡をしたら「担当は話を取り次いでいない」可能性はほぼ消えます。

不動産の「囲い込み」で不利益を受けるのは誰か?

のらえもん活動も13年目となり、以前よりずっと冷めた目線で不動産取引を見ているのですが、「囲い込み」があることで不利益を受けるのは誰かを細かく考えると

  1. 一番損をするのは売主。誠実でない不動産仲介店と媒介契約締結してしまったばかりに、幅広く買主候補を探すルートを潰されてしまった
  2. 次に損をするのは買主側仲介。買う気のある顧客が目の前にいるのにもかかわらず、物件を紹介できなくて困っている
  3. 最後に損をするのは律儀に買主側仲介を通そうとして買おうとしている買主。つまりこの質問者のような方です

特をするのは売主側仲介だけです。
これは売主側仲介側の事情もあります。東京の不動産仲介が増えすぎて過当競争に陥り、湾岸の妖精が棲むこのエリアでは、最大手の不動産仲介店ですら売主に「仲介手数料を正規料金の半額以下、1%、1.5%でやります」とささやいてしまう現状があります。はっきりいって、取引価格の1%の手数料で責任のある取引資料を整備して、安全な取引を担保することは、多数の人や店舗を抱えている大手では難しいでしょう。売主から正規の仲介手数料をもらうことが絶望的であれば…あとはわかりますよね?売主は手数料をすこしケチことで、結果的に損をしているケースが往々にしてあるのです。
自分の保有物件、納得の行く取引をするために、誠実で腕の良いエージェントを雇うにはお金が必要なのです。仲介手数料無料業者はどこからお金を得ているのか、考えたことがありますか?

売主から適正な利益が得られないから、他社経由の買主をお断りして、自社集客顧客に集中せざるをえない、そういう事情があります。

なお、取引価格3%請求しておきながら、囲い込みをするのは完全にモラル違反ですが、そういう不動産屋、私は知っています笑

「不動産囲い込み打破のために、なにかできることはありますか?」

上記の構造上の問題がわかっているために、取引単価が高く、また顧客獲得費用が増加している東京都心〜城南〜湾岸エリアで、囲い込みがなくなることは無いんじゃないか。そういう絶望的な気分にもなっています。
過当競争のため、新規売主を獲得する広告費が高騰している→ライバル店があまりにも多いため、手数料を下げてオファーする→会社を維持するための目標売上を達成するために囲い込みをするしかない
こういう構図です。

質問者のあなたが不動産の囲い込みを本気で打破したいのであれば、正直不動産よろしく、人々を啓蒙していくしかありません。
消費者として、その物件にいち早くアクセスしたいのであれば、新着物件を掲載した仲介店に、担当を通すのではなく自分で連絡するしか、現状ではありませんね。

 

※Querieで来た質問はQuerie上で答えるべきかもしれませんが、ストックになる質問とフローな質問で別れるかなと思ってまして、ブログ上でストックになるような質問ならこちらのブログで答えるようにしました。

 

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コメント

  • コメント (4)

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    • ハム太郎
    • 2024年 2月 15日

    まさに私は囲い込みしませんをうたってる某不動産の手数料が囲い込みしてるところより手数料より高いのでうーんて感じでした。
    でもまさに結果的に損をしているケースにつながるんでしょうね。

      • のらえもん
      • 2024年 2月 15日

      そうですね、目先の手数料割引に釣られると結果的に損します

    • ガウス
    • 2024年 2月 18日

    これは、囲い込みをした不動産屋に対して、売主もしくは買主の立場から法的な措置をとる事は可能でしょうか?(民事、刑事を問わず)

      • のらえもん
      • 2024年 2月 18日

      囲い込みはレインズの規約違反ではありますが、宅建業法違反ではないので、難しいかと思います。
      最初から囲い込みを行わない不動産やにまず行くことが重要かと!
      んじゃそこはどこって話ですよね、うん。。。

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