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臨海地下鉄は「りんかい線」が運行。2040年の開業を目指す報道の意味と今後について

少し遅れた話題ですが、都心と臨海部を結ぶ「臨海地下鉄」の運行事業者が第三セクターの東京臨海高速鉄道、つまりりんかい線が担うことになったというニュースが、他社より1日早く読売新聞から出ました。すでに臨海地下鉄については、のらえもんブログで駅や出入り口予想を公開しているので、今回はこの報道の影響と予想されることを書いてみましょう。

「臨海地下鉄」は東京臨海高速鉄道が運行へ…りんかい線と接続、羽田空港アクセス向上図る
読売新聞:2024/02/02 05:00

東京都は、東京駅と臨海部を結ぶ新路線「臨海地下鉄」の運行事業者に、都やJR東日本が出資する第3セクター「東京臨海高速鉄道」を選定すると決めた。羽田空港方面への乗り入れ計画がある同社の「りんかい線」と接続し、空の玄関口へのアクセス向上を図る。
(中略)
運行事業者には、都営地下鉄も候補に挙がったが、りんかい線を経由すれば、東京駅から羽田空港までスムーズに接続できるため、東京臨海高速鉄道による運行が最適と判断した。

負担軽減と経営効率化を図るため、独立行政法人「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」が線路を整備し、同社が運行を担う「上下分離方式」を採用することで、1月下旬、都と同機構、同社の3者が合意した。

このニュースが他社より先駆けて「読売新聞」から出た意味とは

東京都のニュースリリースには、本件について2/2時点では何も述べられていなかったことから、読売新聞が独占的にアクセスできたことを意味します。読売新聞は三井不動産とともに築地再開発に手を上げていて、築地再開発の最寄りは都営大江戸線築地市場駅ですが、東銀座駅・築地駅・汐留駅・新橋駅からもアクセスはできると言ってもやはり遠いので、新規の大量公共交通手段がほぼ必須といえます。この臨海地下鉄も旗振り役といってもいいでしょう。

昨年3月18日に開業した相鉄・東急直通線も鉄道建設・運輸施設整備支援機構の整備です

その読売新聞が、
1:運行事業者がりんかい線に決まったということ
2:「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」が線路を整備し、同社が運行を担う「上下分離方式」を採用すること
を報じたというのは、築地再開発の補助線であり、2040年開業に向けて大きく事態が動き出したということでもあります。
もう一つは、この築地再開発には、三井不動産と読売新聞グループだけでなく別の再開発案も応募されているようですが、前者が本命ということです。

JR東日本によるりんかい線買収(=JRりんかい線化)は不可能になり、累積赤字を解消しても割高路線は続く

元々、りんかい線の線路の大部分は旧国鉄の再利用であり、東京都市博覧会の交通手段として建設されたりんかい線は、距離の割には割高な運賃を設定するかわりに、累積損失解消の暁には、JR埼京線との直通運転という関係性+羽田空港アクセス線臨海部ルートという補助線で、JR東日本による買収、その後「JRりんかい線」化というのは自然な流れだったかと思います。羽田空港アクセス線臨海部ルートという他社線をなぜJR東日本が整備するのか?といえば、将来の羽田空港〜京葉線直通ルートを見越したものとも考えられるからです。

りんかい線はコロナがなければ、2030年には借金を返済し終わっていた…

実際、2015年にはJR東日本が買収する意向を示していたにも関わらず、なぜか東京臨海高速鉄道側が断っていて、なぜだろうと思っていましたが、臨海地下鉄とくっつくのであれば合点が行く話となります。JR東日本としては羽田アクセス線は東山手ルートの方を優先することになるでしょう。

新線開通はどんなに早くても2040年、たぶんそれ以降になったことを考えると、羽田アクセス線臨海部ルートは優先順位が低くなり、2030年までの東京テレポート〜渋谷間運賃240円という線が消えてしまったので、品川シーサイド・天王洲アイル・台場・有明・東雲、つまりりんかい線沿線民にとっては、この結果は若干負けに近いかもしれません(笑)TOKYO TORCHと築地再開発のために、割高な運賃を永遠に払わされることになりました。

BRTとの棲み分けはできそう

晴海フラッグ・KTT・TTT民にとって東京BRTは新橋に行く基幹路線といえますが、臨海地下鉄が建設されると若干その意義が…?と言われていました。
しかし、ルートを考えてみると、勝どきも晴海も晴海通りの近くを通り、また東京方面と新橋方面で行く先も違うので、BRTはこの先も延命しそうだなと思いました。人手の確保が本当に大変と聞くのでやはり晴海フラッグという先進地域には無人運転バスが似合うと思うんですよね。早くその時期が来てほしいです。

 

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コメント

  • コメント (7)

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    • 匿名
    • 2024年 2月 07日

    >この結果は若干負けに近いかもしれません(笑)TOKYO TORCHと築地再開発のために、割高な運賃を永遠に払わされることになりました。

    こういうブログを書くと、似たような人が取り巻いてエコーチェンバー現象が起きるので、できるだけ私情を挟まないほうがいいですよ。わざと嫌なように書いて喜ぶって、むちゃくちゃひねくれた人だなと思いました。

      • のらえもん
      • 2024年 2月 07日

      いや、本気でそう思ってるんですよ。りんかい線沿線ユーザーのうち、直接恩恵に預かれる、台場・有明民以外、今回の決定は負けに等しいです

      >わざと嫌なように書いて喜ぶ
      単に手放しで喜ぶことでもないってことですね。

    • 匿名
    • 2024年 2月 08日

    のらえもんさんは将来的な延伸として、下記はあり得るとお考えでしょうか?
    2040年以降の羽田直通
    途中にお台場IR駅を設置

      • のらえもん
      • 2024年 2月 08日

      そこまで社会投資ができるような日本でありたいと思うけど、そのまま真っすぐ羽田延伸はいますぐ着手しないと国力衰退しすぎてできなさそう

    • 通りすがりの湾岸民
    • 2024年 2月 08日

    >この結果は若干負けに近いかもしれません(笑)TOKYO TORCHと築地再開発のために、割高な運賃を永遠に払わされることになりました。

    この話、以前も書かれていたように本命はTXの東京駅延伸にあるのではないでしょうか?

    ちなみに、読売新聞にはもう一つ伏線があり、ビックカメラ(旧読売会館)を含む有楽町駅(=新銀座駅)周辺の大規模再開発にも参画していますが、

    TX側から見れば、延伸で ①東京駅周辺(新幹線、八重洲・日本橋エリア)、②有楽町再開発エリア(①と合わせて大・丸・有エリアも)、③築地再開発エリア、④豊洲市場・ビッグサイト・羽田空港、全てに直通アクセスできるようになり、通勤後背地としての茨城(流山・つくばなど)の価値が更に上がるわけで、逆ルートの羽田空港→秋葉原・浅草含むインバウンド需要の取り込みも含めて、これまで以上に臨海地下鉄の採算性向上への寄与が期待されるわけです(もともと国交省の答申でも、TXとの接続による費用便益効果の大幅改善が示されていましたね。)

    残念なことに、かたやのTXは東京駅延伸の巨額投資に日和っており、昨年は茨城県が真反対の土浦延伸を決定したようですが、長期的な事業収支でいけば東京駅延伸のほうが先なはずです(まぁ実際には両者抱き合わせを見込んでいるようですが)。

    のらえもんさんには是非、(特に対茨城サイドに)TX延伸のメリットを声高に訴えてもらって、全部まとめて5年前倒しで開通させるくらいの強気推しを目指してもらえたら有難いです。

      • のらえもん
      • 2024年 2月 09日

      TXが乗ってこないからこその運行主体りんかい線なんじゃないですかね。
      TX乗り入れがあれば、車両基地の問題は解決したはずですが、単独運行かつりんかい線と直接接続が無いとなると大深度地下のいったいどこに車両基地??とは思ってます

    • 匿名
    • 2024年 2月 12日

    今後の伸び代は勝どき、晴海、有明で豊洲は一段落ち着く気はするね。

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