私のTwitterアカウントのタイムラインに再三流れてきた話題なのでこちらでも。株式会社Housmartが立ち上げたサービスが話題です。
日本初、ユーザー同士が直接マンション売買をすることが可能となるWEBプラットフォームサービス『Housmart(ハウスマート)』βテスト版を提供開始
株式会社Housmart
PR TIMES 2015/2/17ユーザーは『Housmart』を使用することにより、従来では不動産業者に任せるしかなかったマンションの売却、購入を自分のペースで自由に行うことが出来ます。情報は全てオープンにされ、どんなマンションがあるのか、どんな買主がいるのかが一目で分かり、マンションを売りたい人・買いたい人同士で自由にマッチング・内覧・不動産売買を行うことが出来ます。
『Housmart』はITを活用することにより無駄な人件費・店舗費用・営業車両費・広告費を削減しているため、仲介手数料が『売却は無料、購入は通常取引の半額1.5%』と従来に無い低価格を実現しています。
これは5,000万円のマンションを売買した場合、売主は通常168万円(税込)かかっていた仲介手数料が「無料」、買主は168万円(税込)の仲介手数料が半額の「87万円(税込)」になり、大幅なコストリダクションが可能です。
うーん、さらっと聞くと素晴らしいサービスのようにも感じますね。でも私は懐疑的なのです。ソニー不動産の現状のビジネスモデルよりも。
不動産売買がプラットフォーム化し、それが安全安心して使えるには3つの条件が必要です。
- 出品物件の絶対数確保
- 売主買主双方が納得感のある物件プライス
- 不動産売買に付き物のトラブルに対するサポート体制
まず、上記1番が揃わなければ致命的です。日本で楽天オークションよりヤフオクの方が価値があるのは、出品者の絶対数が違うからです。出品者が大多数になれば、自然と買い手も増えて市場は均衡的になり、双方が納得するプライスに落ち着くでしょう。
2番については、一物一価である不動産は非常に難しいといえます。年間である程度売買が成立している地域・マンションならともかく、年1件以下の売買しかないマンションに売主側が適切な相場観を持ったプライスタグを付けられるのでしょうか?(これは店舗の仲介不動産に依頼しても同じことが言えます、査定書の根拠はあってないようなものです)プラットフォームですから、同じ土台に購入側もいるわけで双方が納得するプライスをどのように付けるのでしょう?売却側はより高く売れることを・購入側はより安く売れることを願っているのに。
このサービスを使って節約できるお金は物件価格の3%です。仲介をかまさずに3%の手数料が節約できるとしても、3%以上安く売れてしまってはむしろ赤字となります。ちなみに、内覧のスケジュール調整も全部売主任せということですね。
3番のサポート体制についてもなかなか難しいかと。不動産というのは個人が扱う商品の中であ最も高いお金が動く商品なだけに、双方が疑心暗義に陥ります。「めんどくさいお客」というのはある程度の確率で発生しますが、こういうトラブルを解決するのも仲介マンの仕事です。これは人件費がかかる問題ですが、中抜きしてしまうとトラブルを仲立ちできません。
最後に。
サービス自体が「独立した個人」を対象にしています。人間の強さを信じすぎている、といいますか。
私が前提とする人間はか弱く、悩む存在です。数千万円の買い物と数千万円の住宅ローンを背負うことになる人生の一大決心にビビらない人はなかなかいません。私だって買い付け書を出すのは勇気がいることで、クリックひとつで購入できるamazonの本とは全く論理の違う手続きです。
では誰が背中を押してくれるのか・・・懸命な読者のみなさんならお分かりかと思います。
投資側のサイトなら「利回り」という絶対的指標があるし、お互い事業と考えていますから成り立つとは思いますけどね〜、それが楽侍とか健美家なんでしょうけど。
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