のらえもんのケーススタディ集です。こちらのコンテンツは、のらえもんへの相談フォームにお寄せいただいた質問のうち、個人情報や個人的な事項に関する部分を除き、ブログ上でも取り上げた方が良いかな、と判断したものを再構成してアップさせていただくものです。
Q:
Bと申します。とある、郊外の新築マンションの購入を検討しております。
(中略)
機械式駐車場なので耐久性や将来積立金の増加も気になる所です。
A:
なるほど、そちらの郊外の新築マンションの評価ですが(中略)
さて、機械式駐車場の維持コストが気になるとのことでしたが、私から申し上げられるのは以下2点
- 機械式駐車場は1台あたり1万円以上の使用料が見込める都心向きの設備である
- もし郊外なら、戸数に対して100%付帯でないと公平性から後々揉める可能性が高い
と言えます。順を追って説明させていただきます。
機械式駐車場の維持コストはだいたい1パレットあたりざっくり年1万円だと思われます。これはメンテナンス周期をもっと広げればつまり、2ヶ月毎を3ヶ月毎などにすれば、若干安くなるかもしれませんが、それでも大きな違いはないでしょう。問題は20年以降に発生する、機械式駐車場の全取替の時です。こちらは、1パレット100〜200万円かかると言われてます。
機械式駐車場の法定耐用年数は15年ですが、実際にはもう少し伸ばせるかもしれません。仮にですが、20年で取替・1パレットあたり200万円の交換費用を見込むと、1年あたり1パレット10万円の費用となります。先程の維持コストと合わせれば、ざっくり月1万円のコストとみなせます。
さて、Bさんがご検討されている新築マンションですが、調べてみると機械式駐車場の使用料は500円〜となっていました。この500円ってのはさすがに地下部分の料金でしょうけど、月々の駐車場使用料では交換費用どころか、メンテナンス費用ですら出ないことになります。
逆に言えば、月々の使用料が1万円以上なら長期的なコストまでみてもペイできますし、月2万円、3万円ならむしろマンション管理を助ける施設となるのです(あくまでも満車想定)。都心と郊外で維持費用はさほど変わりませんから。つまり、機械式駐車場は都心向きの贅沢設備であって、郊外マンションには向いていません。
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ただ、郊外マンションでも、車がどうしても必需品の場所だけど、地形が悪くて自走式や平置き駐車場では必要な数を満たせない場合があるでしょう。その時は、戸数に対して100%、1戸1台最初からついているマンションなら、コストはかかりますが、「公平」とはいえます。ですので、将来の維持修繕に関してもお金はかかりますが、棟内の合意形成は得やすいのではないでしょうか。
最悪なのは、「無料」またはメンテナンスコストすら出ない超低価格の使用料が設定されていて、全戸数分の用意がされていない機械式駐車場を持つマンションです。駐車場使用者は既得権を持つ側となり、使用していない人からすれば割に合いません。こうしたマンションは将来に時限爆弾を抱えているのと一緒となります。
Bさんご検討の新築マンションの最寄り駅では、すぐ駅前に自走式駐車場を持つ築浅大規模マンションがご検討住戸とほぼ同じ値段で取引されています。資産価値および長く住むことを考えた時、わたしはこちらをお勧めいたしますね。
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