実際に寄せられた相談を元にのらえもんの返信を公開シミュレーションをするケーススタディ集です。
ブログに書くため返信内容はちょこちょこ変更していますが、要旨はかわりません。
「新築マンションは、契約したら瞬間に2割下がる、と言われていますが、実際の価格差はそうでもありません。なぜでしょう?」
Q:はじめまして、のらえもんさん。
とある新築の湾岸タワーマンションを購入する予定です。
マンション購入のためにいくつか本を読んだのですが、「新築は契約した瞬間に2割下がる」と書かれていてドキドキしています。
ですが、実際の市場を見てみると2割下がっているようには思えません。
本当のところはどうなのでしょうか
A:
たしかにいくつかの本ではそのように書かれていますね。本を書くとなると、日本全国的にある程度当てはまるように書かなければなりません。「大分県の新築一戸建」と「東京都心のマンション」を同じような物差しを使って、平均をとればそのようなセオリーが導けるかもしれませんね。
積算価格から考えた新築マンションの価格と、中古になった時の時価相場について図にしてみました。
(上手はクリックすると大きくなります)
積算価格とは(土地原価+建物原価+販管費)の総合計を専有面積で割ったもの、です。
新築時には取壊し費用のことは考えられていませんが中古になったときのことを考えれば、理論的にはマイナス費用になるはずです。年月が十分すぎるほど過ぎて、建物の価値が滅失した場合、【土地の原価-取り壊し費用】が残った価値となります。図に入れるのを忘れましたが、土地費用と販管費の差分が建物原価です。
販管費に含まれる費用は、モデルルーム建設費用や広告宣伝費、営業マンの人件費などが含まれます。これらの費用は、物件の根源的な価値に含まれないので、価格とならない。という理論ですね。この販管費はざっと考えて物件価格の20%程度なので、「判子押したら2割下がる」と言われています。僕はこれを「新築プレミアム」と呼んでますが、いくかの要因により、ここ最近の新築プレミアムは10%程度だったと考えています。むしろプレミアムは縮小傾向です。
- 積算価格的に考えれば、再度同じものを建てようとすると、建物原価が上がってしまった。当然、価格アップの要因となる。
- 日銀の金融緩和や地域のブランド力向上により、土地原価が上がっている。こちらも当然価格アップの要因になる。
- 金利低下がずっと続いてきた。可処分所得が一定の場合、金利の低下は購入可能金額が底上げされる要因となるため、中古・新築問わず値段が上がる。
- 中古マンションは周辺取引事例が主であり、積算価格的に考えられている新築マンションとは価格形成の手法が違う。
- 超大規模のタワーマンションとなると、戸数による規模の経済やブランド力の維持(積算価格的に考えれば、中古はブランド力ゼロと考えている)のために、プラスアルファのプレミアムがある。
と、いうことで昨今の新築マンションの新築によるプレミアム分は10%、もっと低い物件もありました。私の守備範囲である湾岸のタワーマンションとなると、スケールが大きく、一度に何百戸という需要を作り出さなければなりませんから、その分プレミアムが取りにくいというのもありますね。だから、ご検討のマンションの新築プレミアムにビビることはないと思いますよ。
今後ですが、不動産の価格は株価の遅行指数ですのでもうしばらくの間は上がり、その後リコースローンの影響もありゆっくりと下がっていくでしょう。
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