年始にタワーマンションのメリットとデメリットの記事を書いたところ、Twitterでたくさんのご意見を頂きました。
その中でも、最も余計なお世話なコメントだなと思ったのは「エントランス豪華に作ればそれだけ維持費が掛かる。コンシェルジュだって管理費から払われる。最初はいいけど10年、20年後に維持できるのかねぇ?」うーん、世の中結構みんなそう考えているんですかね。
ベンツを買う人に「外車は維持費がかかる、10年後も維持できるのかねぇ?」と聞いたら滑稽な感じになるのに、なぜタワーマンションになるとこういう余計なお世話コメントがTwitterでもヤフーコメントでも一定数湧くのでしょうか?
タワマンに限ったことではないですが、マンション管理を考えると、昨年の話題になった東洋経済記事を思い出します。
「管理会社が撤退通告! 漂流し始めるマンション」という記事でしたが、内容としては
- 北関東のとあるマンションで
- 住友系の管理会社が撤退通告をされた
- マンション管理組合は近年管理の質が下がり、値下げ要求をしていたのだが、一方的な通告に戸惑っている
- 根底にはマンション管理人不足がある。定年延長しても人が集まらない
- しかし、管理費の値上げは住民の理解が得られない
こんなものだったかと思います。
雑誌記事では、北関東のマンション管理組合に同情的でしたが…以上の内容を読んだ私の感想を素直に述べれば以下の通りです。
- 管理会社と管理組合は契約関係にあり、どちらも期間を定めて解約通告ができる以上、管理会社から解約通告をするのは通常の商行為の範囲
- 人件費が現に高騰しているのに、居住者の理解が得られない一辺倒では何も解決にならない、値下げ要求などもってのほか
- 人が高級品になりつつある今、現実を認めて払うものは払うという精神でいかないと、自分自身で管理するハメになる
上記を当たり前だと思えない人が多いのなら、何もかも長く続いたデフレが悪い。私の経験上、歳を取った人ほどデフレ脳的なご意見を言う方が多いです。
戸建てに比べマンションの良いところの一つは、「みんなでお金を払えば物件の管理をしてもらえること」です。戸建てなら家も庭もゴミ捨て場も自分自身で管理しなければならない。マンションであれば、管理費を払って管理会社に委託することによって、こういっためんどくさいことをアウトソーシングできます。しかし、少子高齢化と人口減少が進む中で、マンション管理というジャンルは人をどうしても使わざるをえない商売です。人件費が高騰している中で、管理費の値上げができない環境のマンションで暮らすと、究極な話、自主管理になってしまいます。そして自主管理物件はマンションの良さを放棄しているのと一緒です。
マンションは面白いほど、値段によって階層が分かれる世界です。その昔、とある新築マンションの所長が私にこう語ってくれました。
「のらえもんさん、新築マンションというのは同じ広さだとすると500万円ごと、いや250万円でも階層が面白いほど変わっていく世界です。だから、同じ大きさの部屋で2階と最上階で1000万円違ったとすると階層が3つ違うことになるんです。これは物件の坪単価でも同じです。同じ広さで平均坪単価が20万円違うと、平均の住民階層が変わってしまう。」
・・・なるほど。分譲時に坪単価が安いマンションを買うと、所得が低いから管理費を上げにくくなります。
正直なことをいえば、平均坪単価150万円のマンションで一番広い100平米部屋を買うよりも、平均坪単価300万円でマンションの中でも狭い50平米部屋を買うほうが、周辺住民の所得は高いので管理費を上げるだけのコンセンサスが取りやすく、人件費が高騰するなかでも良好な管理を期待できます。でも、逆はつらい。そして管理が滞れば容赦なく資産価値は下がります。中古マンションで買いたい人は、なるべく管理が行き届いたマンションを買いたいんだもの。
自分だけが王様部屋で管理費の値上げを受け入れられても、マンションの他の住民が受け入れられなかったら、通りません。平均住民のお財布事情以上のマンション管理というのは難しいのです。
さて、最初の話しに戻ります。
こうして考えると、自分の財布を見て「タワーマンションの今後の管理は大丈夫なのか、管理費が高騰して払えなくなるのでは」と外側から批判されても、「いやあなたのお財布と物差しで批判されても、住んでないあなたは関係ないし」でファイナルアンサーです。そして今後のマンション管理が心配なら、なるべく平均坪単価が高いマンションを買いましょう。自分以外のお財布が厚い人たちのマンションは安心です。
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