国土交通省が今後15年間の東京圏の鉄道アクセスのありかたについてとりまとめた答申案が公開されました。拙ブログでもさんざん強調してきた東京湾岸部の交通アクセス事情が一変する可能性を秘めていたからです。
「今後の都市鉄道のあり方」審議はほぼ終了?そろそろ次期答申発表へ
超速報:東京都が国に次期答申へ都心-臨海部新線を提案
本日、その答申案が公開されましたが、こと臨海部に関していうなら、全部乗せともいうべき結果になりました!
ただし、前回までのようなA1・A2といったランク付けはされていませんので、上記すべてが実施されるかどうかは課題をどうクリアするかにかかってます。
ただ、日本はいま激しい国家間競争にさらされており、首都である東京の競争力向上は国家の課題です。そして鉄道を含めた交通インフラの整備はこの足回りを支えるものです。今回、臨海部の鉄道強化がかなり盛り込まれたのは、国家として日本最強の都市・東京のフロンティアを臨海部と定め、ここに投資すると決めたと考えて良いのではないでしょうか。
今後の都市鉄道のあり方には、真っ先にこれが書かれています。
東京圏の都市鉄道が目指すべき姿は以下の(1)~(6)のとおり設定した。
(1)国際競争力の強化に資する都市鉄道
(2)豊かな国民生活に資する都市鉄道
(3)まちづくりと連携した持続可能な都市鉄道
(4)駅空間の質的進化 ~次世代ステーションの創造~
(5)信頼と安心の都市鉄道
(6)災害対策の強力な推進と取組の「見える化」
羽田からのアクセスを放射状に伸ばす構想が複数入ったことがその証左でしょう。拙ブログの範囲に影響がある鉄道構想と課題についてまとめてみました。
1:羽田空港アクセス線新設
前回記事でも大本命に挙げていたJR東日本の羽田空港アクセス線です。3ルート構想はすべて入ってます。
・田町駅付近において東海道線と相互直通運転
・東京テレポート駅においてりんかい線と相互直通運転を行う
・大井町駅付近においてりんかい線と相互直通運転を行う。
・新木場駅において京葉線とりんかい線の相互直通運転を行う。
将来、JRりんかい線となることがほぼ確定したかのような内容です。課題としてはやはり京葉線にて、新木場ルートと東京ルートという二つのルートができてしまうため、料金計算が複雑になることでしょうか。課題欄でも「関係鉄道事業者等において、運賃収受方法の課題等について、解決に向けた検討が行われることを期待」と書かれています。
2:都心部・臨海地域地下鉄構想の新設及び同構想と常磐新線延伸の一体整備
なんと!臨海地域地下鉄構想は、東京駅でつくばエクスプレスと接続するよううながされています!これは予想できなかった。
意義としては、「国際競争力強化の拠点である都心と臨海副都心とのアクセス利便性の向上」と書かれていますが、まだ主役(運行主体?)不在というというかかれ方をしています。「検討熟度が低く構想段階であるため、関係地方公共団体等において、事業主体を含めた事業計画について、十分な検討が行われることを期待」、むしろ前に進ませるため、TXとの一体整備はどうか、と答申で書かれています。
ナイスアイデアかもしれません。でもプレイヤーが多くなると船頭多くて・・・にならなければいいけどな、とは思います。
3:東京8号線(有楽町線)の延伸(豊洲~住吉)
大本命といわれていた東京8号線延伸も「国際競争力の強化」項目に入っています。
意義としては、「臨海副都心と都区部東部の観光拠点や東京圏東部・北部地域とのアクセス利便性の向上」「京葉線及び東西線の混雑の緩和」ということで、事業計画の検討も進められているとの判定。今回「国際競争力強化」項目の中でも一番あっさり書かれています。
課題としては費用負担と事業主体でしょうね。東京メトロが運行してくれるか、江東区がどれだけ費用を負担するか、そのあたりにかかってそうです。
江東区さんにおかれましては、8号線だけでなく今回他2つの路線が入りましたので、こちらについても積極姿勢で関わって欲しいと考えております。
TX案で、運行事業者や車両整備基地などの課題解決に加え、東京や秋葉原まで乗り入れが可能になります。
従来の丸の内側の案か八重洲側に変更なるか、これから正式な検討・調整が始まるのでしょうか?