住宅ローンの金利低下が顕著です。最近のあまりの固定金利の下がりっぷりはもはや変動と変わらない水準まで下がっており、これから数か月は借り換えの好機となりそうです。
そこで、自分の住宅ローンに対する知識の点検のため、Amazonで一番売れているという住宅ローン本を買ってみました。「住宅ローンはこうして借りなさい 改訂5版 」です。
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「銀行も不動産会社も教えてくれない!正しいローンの選び方」と書いているんですが、うーん。僕や僕の読者とはあまり合わないかな・・・もちろん、基礎知識がない方にとっては良い本だとは思いますが、根底に流れる思想があまりにも主婦的で金融のプロっぽくないんですよね。
- 老後に住宅ローンが残っているのは危険!35年ローンはやめ1年でも期間短縮が正義
- 60歳時の残高をチェック!繰上返済をしてそれまでに完済しよう
まるで銀行に利息は1円でも少ない方がいいという感じでして、なんかこの思想は合わないな、と。
私は、いい借金はいい資産とほぼ同義だと考えています。
経営視点で借金を考えれば、借金は決して悪ではなく、むしろ少ない資本でROIを良くするには借金が必要です。そして、借金をするために必要な掛け金(つまり利率)は史上最高に少ないのです。
例えば、4000万円の借金をする場合、1%~4%の返済額は以下のようになります。
4000万円・35年ローン・元利均等の初回返済額と元本・利息の比較:
利率 | 初回返済額 | 元本 | 利息 | 元本に対する利息% |
---|---|---|---|---|
1% | 112,914 | 79,581 | 33,333 | 41% |
2% | 132,505 | 65,839 | 66,666 | 101% |
3% | 153,940 | 53,940 | 100,000 | 185% |
4% | 177,109 | 43,776 | 133,333 | 305% |
3%,4%という金利でしか借りられなかった時代は「最初の内はほとんど利息を払っているようなもの」とはよくいったもので、実際に払う額のほんのわずかしか元本に充当されません。
しかし、1%以下なら、利息の割合は減っていくわけで、固定5年0.5%以下すら狙える時代には別の”財務”戦略があっても良いかと思います。
住宅ローンをフルレバレッジで借りられるだけ借りる、そして元本の減りよりも少ない毀損で住む物件を選ぶ、といった攻撃的住宅ローンの使い方を解説した本は無いと思いますので、のらえもんはその路線でブログを書いていきたいと思います。
本書の有用性は、都内ではなく、資産価値等気にすることのない地方の方向けかと。
以下ちょっと追記・編集:
本項をアップしたところ、こんな反応が。
攻撃的ローンの勧め。フルレバかつ固定はマストとして20年の金利で最長で返すか35年の金利で最長で返すかは悩みどころ “@Tokyo_of_Tokyo: 【書評】住宅ローンはこうして借りなさい 改訂5版 http://t.co/qZOmiWvvYv”
— 小林 大祐 (@dkoba) January 9, 2015
まったく住宅ローンを繰り上げ返済しないのであれば、長期固定のフラット35ローンでもいいですが、普段は資産運用に軸足をおいておきいざというときガバっと繰上げしてとかもしくは将来売却という戦略なら、固定10年ローンも良いかもしれません。攻撃的戦略で長期固定の場合は、地域で一番・ビンテージ確実なマンションをまず探し当てるのが重要で、多少割高でも確保しずっと保持する作戦が確実かと。
いずれにせよ、この本に欠けてる視点は、住宅ローンはあくまで住宅に付随するものであり、その住宅は優良な資産にもなりえるし、地方の田舎に建てる償却資産的価値しかない住宅もあり、これによって住宅ローンの戦略幅はあっても良いのでは、というところです。
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