特殊な考え方ではないと思いますが、私は実用書を買う前は、著者のプロフィールをチェックしてから購入します。それは、著者のバックボーンが本の主張に色濃く反映されるからです。今回のエントリでとりあげる「マンションを買うなら60m2にしなさい」を書かれた後藤一仁氏は、大塚の地場仲介業者を長くされていた人で、やはり新築・中古マンションどちらかといえば中古の売買に力点が置かれています。
それを差っ引いたとしても、全編を通してわかりやすく、マンション購入を今から検討する人におすすめできる本となっています。
本書の表紙を見ると「80平米を買うな!60平米を買え!」というご主張に見えますが、それは本を売るためのキャッチーなコピー。もちろん60平米2LDKの優位性は多く出ていますが、どちらかといえば、「マンションを買うの初めてで、不動産仲介店の訪問も初めてなんです」という超初心者の夫婦相手に、ベテランの仲介マンが懇切丁寧に「マンションの購入とは・・・」「私がおすすめする地域とは・・・」「チェックするポイントとは・・・」「もし売る時になったら注意することは・・・」とマンション購入を購入検討から売却の事まで一気通貫で教えていただける、というコンセプトの本です。あれ、このコンセプトって僕が4年前に書いた「本当に役立つマンション購入術」によく似ていますね。
リリースの時期的にも内容的にも、三井健太氏の「マンション大全」と被ります。どちらが上、ということもなくどちらもおすすめできる本です。
ただ、著者のバックボーンが違います。後藤氏は地場仲介の現場から・三井氏はデベロッパー相手のコンサルからそれぞれの視点を提供してくれます。あえていうなら後藤氏のこの本が、「不動産購入初心者と中古マンション販売の現場により近い」・三井氏の本は「後藤氏より視座が高く、デベ目線を与えてくれる」という味付けが違います。私はマンションオタクであることを自覚しているので三井氏の本の方に学びを多く感じたのですが、初心者の方は後藤氏の方が読みやすく実践的かもしれません。
最後に「マンションは60m2を書いなさい」というご主張。
これは近郊・郊外で駅から遠いなど妥協を重ねて75m2にするくらいなら、都心やそこに近いところの駅徒歩7分物件の60m2を買ったほうが、資産価値が保たれやすいというご主張です。この理論は総論として正しいと私も考えます。もちろん、子供が2人、3人のご家庭や荷物が多い方もいらっしゃいますので、万人向けの理論では無いと感じますし、私の専門領域である湾岸では55〜60m2よりも70m2オーバー3LDKの方が引き合いが多くありますし、超都心のブランド地区だと80m2くらいでないと反応が悪いという地区もあります。
これを読んで僕も自分の本をアップデートしたくなりました。
アップデート楽しみです!絶対買います