損が少ないマンション購入

中古マンションを探した時のもやもや感、片手と両手の話(追記あり)

少しコラム的な話です。
私は最初のマンションを購入した時に、新築も中古も同時並行で探しました。
この時、いくつかエリアを絞り、あらかじめ駅前の不動産仲介屋さんに電話をかけ、物件を紹介してもらいました。
失礼かもしれませんが、どのエリア・不動産屋に行っても、もやもやっとしたものを感じてました。

「条件を真剣に聞いて提案しているとは思えない」

私はあらかじめヤフーでエリアの周辺中古を調べてから訪問したのですが、ネット上でこれは見たいなと思ってた物件はひとつも紹介されませんでした。
ある不動産仲介屋さんでは、希望を5割くらいしか満たしていない(広すぎた)物件を、「とりあえず、ここに行ってみませんか?」と紹介されました。
その物件に訪問すると私がいろいろ見ている間、売主と仲介屋さんが談笑していました。
二人は知り合いなのかな?とその時は思いましたが、なんのことはない、その仲介屋が専任媒介契約を結んでいた物件でした。仲介屋の都合で私の希望に合わない物件を紹介され、売主と私の時間が犠牲になったのです。もちろん希望を満たさないので買いませんでした。

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その後ネットで調べ、売主契約に「一般」「専任」「専属専任」の三種類があることを知った僕は、ヤフーにて「一般媒介」と書かれた物件をプリントアウトし、エリアで最も大きいとある財閥の名前を冠する仲介屋(仮にA不動産とします)に行き、「この部屋を紹介してほしい」と依頼しました。
しばらく奥に入ったA不動産の担当は戻ってきたのち、平然とした顔で「その物件は知りませんねー、登録されてません」と言います。
あれ?出かける前にプリントアウトしたのに。

「そうなんですかー、一番見たかったんですけどね。。。」

結局紹介された物件を2つ見て店の外に出た後、いわゆる釣り物件なのか?と疑い、ヤフーに載っていた不動産屋(B不動産)に電話をかけると「本日紹介可能ですよ」と言ってきました。

私はその時、ウソをついたA不動産に不信感を抱き、二度とその仲介屋には連絡を取りませんでした。

でも今ならわかります。
奥に入ったA不動産の担当はB不動産に電話をかけたものの「商談中です」と断っていたのです。

なぜでしょうか?
簡単に言えば、B不動産は「両手」を取りたかったからです。

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不動産仲介業の収益チャンスは「仲介手数料」しかありません。売主と買主はそれぞれ、仲介業者を見つけて売買契約を結びますが、この時両方の仲介業者を兼ねることができれば、収益は2倍となります。しかし、これを狙うがあまり先ほどの行為が発生します。自社で買主を見つけたいから他社からの紹介は体よくお断り、です。

そもそも売主は何のために仲介業者と契約するのでしょうか?あたりまえですが「自分が持つ物件を売却するため」です。
売主からすれば、契約した仲介業者が買主を見つけてこようが、他の業者が見つけてこようがどちらでもいいはずです。
先程の例ですと、自社で買主を見つけたいB不動産は自分の都合で客を断ってしまいました。彼は本当に売主の味方でしょうか?私はA不動産に怒りましたが、B不動産にも同じように怒るべきでした。

本来なら、売主と買主の利益は相反(売主は高く売りたい・買主は安く買いたい)しますから、両者のエージェントを兼ねることはマナー違反です。こうした不動産業界の慣行は、インターネットが社会に普及した今でも変わらず行われています。

中古マンションを探す際、私と同じような「もやもや」を感じたとすれば、明文化されていない不動産業界の慣行のせいなのでしょう。私は不動産業界の人間ではありませんから「こうしたらいいでしょう、こう変えましょう」という結論が無いもやもやっとしたコラムでした(笑)

参考:約1年前にかいたエントリ→
売主手数料ゼロは売主にとって得なのか?考えてみた

追記:201308252300
この話は続きがありまして、後日A不動産担当から「その後いかがですか?」と電話がありました。
私は素直に「担当さんが知らないって言った物件、ヤフーに載ってた電話番号に電話したらその日に紹介可能だったよ」と聞いてみると、担当は「あーあの物件ですか?実は相手方に電話したら断られたんですよね。ウチで紹介できないので登録されてないと言いました」…と。

私はA不動産に個人情報アンケートを正直に記入した上、買主として登録しました。「ウチでは紹介できないです、プリントアウトした紙に電話したらどうでしょうか」と正直に言ってくれればいいのに、「知らない、登録は無い」とウソを言われたことになります。確かに商売上どうしようもない点はありますが、向こうの話が信用できないのなら、不動産売買素人の私は誰を信じれば良いのでしょうか?A不動産は財閥の名前を冠にしています。

ちなみに、ネットで不動産仲介屋のホームページを見ればだいたいどこでも「来店ください、Webに載せていない未公開物件が数多くございます」と書かれています。私はヤフーの一覧以外に載っている物件を知りたいと思い、街で一番大きな不動産屋に来店しました。その際、これも見せてほしいな~とプリントした紙を見せた次第です。

 

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コメント

    • 不動産に詳しいものです
    • 2013年 8月 25日

    おっしゃるとおりです。

    したがって売主は専任や専属を使わず、一般媒介で売り、2社以上の業者を競わせる必要があります。

    買主は、専任物件については専任を受けている会社に問い合わせる必要があります。これはレインズを見ればだいたいわかるのですが、業者しか見れませんからね。。親しい不動産業者に調べてもらう必要があります。あるいはネットで専任と書いてあるところを探すかです。

    • のらえもん
    • 2013年 8月 25日

    >>不動産に詳しいものですさま

    コメントありがとうございます。勝どき応援サイトの方にコメントされていたので移動させていただきました。
    一般媒介のメリットは、業者が買主を囲い込むことができないってところにありますね!
    また教えてください!

    • 東雲住民
    • 2013年 8月 25日

    私は反対意見です。
    一般でも専属でも業者は売主と契約の上、成功報酬を期待して広告にコストをかけている訳です。
    買主は広告している業者へ物件の見学を依頼するというのはごく自然な事だとおもうのですが・・・
    交渉を戦わせよりよい条件を引き出す事を期待する代理のケースは別ですが、
    単なる仲介において売主の意向を知らない別の業者が仲介に加わっても無駄な工数と誤解を生む要素が増えるだけで得な人は誰もいない。
    また業者の第一のお客様は売主であるべきとも思う。
    まあ、のらえもんさんはそんな事わかってて問題提起しているのかな。

    • のらえもん
    • 2013年 8月 25日

    >>東雲住民さま

    1:両手取引は利益相反行為です。普通のビジネスではマナー違反、法律の規制対象です。
    2:一般媒介とかいてあるのですから、案内すべきと私は考えます。両手取引の存在が、上記エントリで書いた2つのウソ(そんな物件は知らない、存在しない&商談中です)を招いてます。
    3:売主の本当の利益を考える業者なら、自社と他社の客を差別しないはずです。

    • 東雲住民
    • 2013年 8月 25日

    のらえもんさん

    ①不動産でも双方代理は合意がない限り違反です。

    ②一般媒介と専属媒介の違いは、売主にとって業者を固定するかしないかの違いしかありません。買主にとっての違いは無いと考えます。

    • 元仲介業者
    • 2013年 8月 25日

    こんにちは。マンションの取引を500件ほどお手伝いさせて頂いた経験があります。
    専任、一般の良し悪しは議論が尽きないものですが。。
    一点だけ言わせて頂きたいのは、一般の場合に売主様の為になって活動するというのは精神的に難しいということです。
    まず、全面的に信頼して頂いて私だけに預けて頂いているという事実がないからです。
    本当に良いお客様(買主)を紹介するのはどうしても人間関係の構築された専任売主様になってしまいます。(売主様に対しての責任感の違い)
    そして一番重要なのが売出し価格です。
    一般売主様が相場より高めに売りに出し、ほんの少し下げて頂けると反響が増えるのに‥という局面で、その意見を正直に伝えるにはかなり勇気が必要です。
    なぜなら、価格は預けている業者毎に変えられないので、他の預けている業者に対してのアシストになってしまうからです。
    むしろ、そのアシストを待つだけの担当もいます

    場合によっては、自宅がYahoo不動産などに何件も掲載され高値で相手にされずにダラダラと売却活動を進めることになりかねません。

    つまり、自分は相場観に関してはプロ並であり業者を全面的に信頼するつもりはないという方は一般で宜しいのでは。と思います。

    ちなみに、私が自宅を売りに出す場合は、少しでも多くの仲介業者を査定に呼び、人間性を見極めて専任で出すと思います。

    • のらえもん
    • 2013年 8月 25日

    >>東雲住民さま

    >売主にとって業者を固定するかしないかの違いしかありません。
    たしかにそうですね。
    なぜ私はA不動産にウソをつかれたのでしょうか?
    諸悪の根源はB不動産が売主の利益を第一に考えないからであり、その根底には両手取引があるように思えてなりません。

    • のらえもん
    • 2013年 8月 25日

    >>元仲介業者さま

    ご感想ありがとうございます。
    売主が値段を下げないのは、それぞれ個人的な事情がありますし(残ローンから下げられない場合もあるし…)、結局は時間的な余裕と金銭的な余裕のどちらをとるかの選択だと思います。
    周辺取引事例から。2パターンの売却戦略を提示し、売主に選んでもらうというのはどうでしょうか?
    たしかに、担当者の人間性を見極めて専任で出すのは一つの戦略かと思いますし否定するものではありません。
    私のエントリの趣旨は「私が経験した不動産仲介屋の2つのウソの根源は両手にあるのでは?」といった問題提起です。

    • 東雲住民
    • 2013年 8月 25日

    のらえもんさん

    しつこいのでこの話題はこれまでにします。すみません、基本的にのらえもんさんを応援している事にはかわりません。

    >A不動産の担当は戻ってきたのち、平然とした顔で
    >「その物件は知りませんねー、登録されてません」と言います。
    >あれ?出かける前にプリントアウトしたのに

    これをもってA不動産の嘘というのは筋違いだと思います。
    先にも書いたように、業者は一般でも売主から依頼を受けて媒介契約をして自分のお客様とします。まあ、専属専任>専任>一般で業者さんの責任感の違いは確かにあるでしょうし、無ければおかしいです。
    ただ、それ以外のネット情報をA不動産が関与外としても、それをもって嘘と糾弾する事ではないはずです。

    • のらえもん
    • 2013年 8月 25日

    >>東雲住民さま
    少し本文に追記しました。

    • 東雲住民
    • 2013年 8月 26日

    のらえもんさん

    よく状況はわかりました。確かにその担当者は問題あります。
    お客様の信頼を失う発言をしたのですから。
    でも営業なら「プリントアウトした紙に電話したらどうでしょうか」
    と言っちゃたらダメだと思う。
    登録されている物件の中で最適な提案をするぞ!
    とうのが営業だし、それを無意味だとも言えないでしょう。
    まあ、結果として無意味だったようですけど。

    ちなみにA不動産の担当者はB不動産にはどんな電話をしたのでしょうか?
    私が想像するに、
    「売主」を紹介してほしい。
    と依頼したのだと思います。

    • 豊洲民
    • 2013年 8月 26日

    経験談からの独り言に近いですが、、、、
    マンションを片手のみを「売主の為にがんばります!」という業者で売買した経験から言えば、片手の業者は、片手側しか利益が上げられないので、がんばらざるを得ないと思いますが、正直、たいした営業ではありませんでした。
    人を変えて3名の担当(最後は責任者)をみても、正直、ぱっとしませんでした。

    もう、時代的にはレインズさえあれば、業者ってあまり必要ないようにおもうくらいで、極端なこと言えば、もっと解放すればいいのになぁと思います。

    当然ながら、「売り主の味方」「買い主の味方」でもなく、自社の味方なんで。当たり前ですが。

    専属ではなく、一般でやり競わせたほうが、よろしいですね。
    売り方が1社に絞られると、がんばりが出ません。

    「売り主ためにがんばっている」といっても、、、、

    これは実際にそこの部長に言われたのですが、
    結局、相場より100万高く売っても、彼らの売り上げは3万(3%想定)にすぎないので、そんなに変わらないとのこと。

    • ありきた
    • 2013年 8月 27日

    今時珍しい不透明で閉鎖的な業界ですよね。両手取引禁止も業界を挙げて反対しましたしね。

    • 豊洲物件保有民
    • 2013年 8月 30日

    通常の一般市民は頻繁に不動産取引を行うことは無く、せいぜい一生に数回でしょう。不動産仲介業者からすると、将来も継続的にFeeを落としてくれる見込みの薄い一般客より、おいしい仲介案件に割り込ましてくれる可能性がある同業者との関係を優先する傾向があるのは紛れもない事実です。不動産業界ではマーケット状況に疎い客からうまく吸い上げるべく手ぐすね引いて待っているといった状況でしょう。よって仲介業者に顧客の立場での最善努力を期待してはいけません。マーケット状況を十分リサーチして、仲介業者を複数使うことは必須です。

    • のらえもん
    • 2013年 8月 31日

    >>豊洲物件保有民さま
    私自身、「マーケット状況を十分リサーチ」できているかはわかりませんが、みなさんが私のブログを見て湾岸マーケット市況のチェックに役立てることができるようなブログにしていきたいです。

    • KTT契約者
    • 2015年 7月 10日

    片手取引も下記の様に課題が有ります。
    価格設定の妥当性は東京カンテイさんなどに有償見積もりをお願いして、両手仲介業者には専有部と管理状況の調査に基づく保証をして頂けると、買主売主とも安心感がえられるかも。

    http://mw.nikkei.com/sp/#!/article/DGXMZO88413200T20C15A6000000/

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