新築マンションを供給しているデベロッパーは、IR情報等で今後の経営計画を発表しています。例えば三井不動産であれば、IRライブラリの通期決算資料スライドを読むと、今後の見通しが書かれています。これをまとめると、来年以降の新築マンション動向が読めてしまうのです。Major7と呼ばれるデベロッパーのうち、大京を除く6社の動向を見てみましょう。
本エントリは、大京穴吹不動産セミナーでお話した一部のスライドを流用します。
彼らの用語である「ランドバンク ◯◯戸」というのは、これから分譲マンションとして開発できる用地から採れる部屋数を意味しています。
三井不動産レジデンシャル
マンション界の横綱、三井不動産レジデンシャルは「豊富なランドバンク」として、約27,500戸を潜在的な在庫として持っています。2022年から24年(そのほとんどは2022年末には入居済み〜既に販売活動開始している)で11,500戸。つまり平均年4000戸弱を供給します。その後の在庫も豊富です。
ブランド別売上を見ても、中小型物件から高額物件、大規模物件まで幅広く手掛けていて、中小型で全体の5割以上を占めていることから、これからも三井は小さいマンションから大きいマンションまで手掛けていきそう、ということがわかります。
三菱地所レジデンス
一方の三菱地所レジデンス。あまり用地仕入れができていないのがわかります。これが意図的なものかはわかりませんが、これからは年2000戸弱の供給にとどまりそうです。大中小規模や再開発の割合などは書かれていなかったので、詳細は見えないのですが、22年3月に比べて23年3月予想は売上額が約半減します。
野村不動産
一番異色なのが、野村不動産です。用地ストックは21,790戸と絶好調で、かつ再開発・建替割合が40%を超えています。
再開発・建替え案件:7,000億円(7,760戸)という表記は、1LDKなどの狭めの部屋を含めた平均で、ざっくり1戸約1億円で売ろうとしているということになります。野村不動産の建替えプラウドはこれからとんでもなく高い(笑)。
住友不動産
住友不動産は、ランドバンクを明かしていませんので、これからどれくらいの供給を行うかはわかりません。ただし、販売の目標売上額を見ると、この数年減少傾向にありますので、供給数は減っていくようです。ただし、目標営業利益は売上が減少しながらも据え置きですから、利益率を高める傾向にあります。
また、竣工一年超と竣工1年以内の販売中戸数(売り残し)を住友不動産は発表しています。これを見るとストックはこの1年で増やしていることがわかります。供給は絞られてくるけど、将来の利益確保のために完成在庫も確保する、そうした姿勢が決算資料からわかります。
東急不動産
東急不動産のランドバンクは8,700戸。なんと2026年3月期は400戸しかなく、これから東急不動産分譲マンションを見るのが極端に少なくなってくるでしょう。ただし、ランドバンクの内再開発案件は66%と突出して高いことがわかります。2027年以降に東急不動産の再開発マンションが現れてくると予想できます。
東京建物
ランドバンクは7800戸(なお最新の2022年12月期第三四半期では9,100戸)。面白いことに、過半数は東京の外で用地仕入れが行われています。意地の悪い言い方をすれば、Brilliaはこれから東京建物ではなく郊外・地方建物になっていく、ということです。
まとめ
6社の結果と考察を短くまとめます。
- 小中大規模をこれからも卒なくこなしていくのは三井不動産
- 各社用地仕入れに苦労しており、時間はかかるが利益率の高い再開発案件にシフトしていく。特に野村と東急
- Major7のランドバンクを見る限り、これからよくても供給横ばい下手すると減
再開発は駅前タワー物件になることが多く、これからもいろいろと再開発物件は出続けそうです。全体的に供給を絞っていく構造なので、待っていても新築マンションが安くなることを期待するのは難しいかなと思いました。最終的には金利動向が鍵を握るとは思います。
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