Twitter上で流れていたグラフを見て、昔のことを思い出しました。
築年数に応じた中古価格の09年と13年がレインズにあったんで比較グラフ作った。築10年から20年の物件に対する評価がぐっと上がったように見える。まともな物件を新築10年で売るのは良い戦略では無かったね pic.twitter.com/jAmdsJsjQ9
— 小林 大祐 (@dkoba) January 18, 2015
2009年は築11-15年でがっくり下がっていたグラフが2013年では一直線となっていますね。となると、10年目手放しの妥当性は税制と販売戦略の歪みくらいしかなくなります。ただし、売却にはには3%取引コストがかかります。
僕も似たようなことを昔考えていたことを思い出します。
ちょうど2009年くらいのあたりです。このころ築20年を超えたあたりの物件の値下がり率が低いことに注目し、どうせ買うなら値下がり率が低い物件がいいよね、と1980年代後半の物件をネット検索しまくって実際に数件見に行きました。
ちなみに、小林さんのグラフのデータはレインズで公開されているこのデータを使用されていると推測します。
築年数から見た首都圏の不動産流通市場
2010年版:http://www.reins.or.jp/pdf/trend/rt/rt_201003.pdf
2014年版:http://www.reins.or.jp/pdf/trend/rt/rt_201403.pdf
のらえもんも一応同じグラフを作ってみました。データが同じなので全く同じ結果。
一応、このグラフにバイアスがかかってないのか考えてみました。いくつか考えられるのは以下のとおり。
- 1都3県のグラフなので、埼玉、千葉といったマンションの事例が含まれる
- 平米単価30万円以下(=60平米で1800万円以下)のマンションとなると郊外物件事例に引っ張られていそう
- 生存バイアスがあり、築20年、30年を超えるとまともでない物件はそもそも成約が付かない
- 2009年から2013年の間に成約事例の平均築年数があがっているなら、そもそも上記グラフは右にずれる傾向となる
↑うーん、4が成立しちゃいそうですね。。。
よく見るとこの4年の間に築0-5年の出発点が平米5万円プラスされています。築0-5年から築16-20年までの傾き(5年間で約-9万円)はどちらも一緒なので、出発点が高くなって事例平均築年数が増えた分、グラフが右に4年分ずれただけ、という結論っぽいです(つまりこの4年間、マンションを持ち続けても価値は下がってない!)。
面白いことに、都心3区(千代田区、中央区、港区)の平均築年数が他地区よりだいぶ低いんですが、東京都の事例数の1割強なので全体に影響を及ぼすほど強い影響はなさそうです。千葉県・埼玉県は東京全体よりも平均築年数は2~3年程度築年数が高くなっていますが、東京の事例数が圧倒的なので郊外バイアスはそこまで強くなさそうです。
驚いたのは、あの時考えていた築20年からの購入戦略が成り立ってたというところ。あの当時、実際の物件を見にいくと、1980年代後半のマンションは今と間取りの考え方がかなり違っており、新しく住むには大規模リフォームが必須で、そのあたりの費用と新築より高い維持費用、パートナーの意向も勘案して、築20年からのの購入戦略を破棄した覚えがあります。ただ、リフォーム費用をいったん払ってしまえば、その後の価値があまり下がらないなら、分譲マンションに住みながら住居費を安く済ませるという戦略が成り立ちます(2013年のデータを見る限り大丈夫)。先ほどの「3:生存できるマンション」という立地条件を満たしたマンションなら、今後もこの戦略はできそうです。
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