2019大晦日の夜に読者様から「生産緑地の2022年問題はどう考えますか」と質問されました。新年一回目の更新は、雑誌や新聞等でよく議論されるようになったこの問題について考えます。
生産緑地の2022年問題とは
世田谷区のちょっと駅から遠いところを訪ねると「あっ、こんなところにも畑が」と思うことありませんか?大都会東京23区でも農業は行われています。しかし23区は、ほぼすべてが市街化区域。農地ではなく宅地やその他の用途で使うべき土地であると定義されています。しかし23区の農地はほぼすべてが親からの相続による農業。代々続く農家を続けたいだけなのに、周りの戸建て用地と同じような固定資産税を払うとなるとみんな破産してしまいます。
そこで、1992年に生産緑地法が改正されて、市街化区域の中でも農地として保全するエリアとして「生産緑地」が指定されました。指定を受けると30年間農地と同じような固定資産税となり、都市の中でも農業が続けられるようになりました。
上記の地図を見ればわかりますが都心3区とその隣接区には生産緑地が存在しません。23区でも外周区に存在していて、練馬区を筆頭に世田谷区と江戸川区が続いています。
1992年から30年後のいま、この生産緑地の期限が一斉に切れることに伴い、東京23区外周区・東京23区外・千葉県北西部・埼玉県南東部・神奈川県で更地の宅地が大量に供給されて不動産価格暴落を招くと言われていました。
しかし、私は2つの点からさほど心配することはないと思っております。
生産緑地法は2017年に改正されていて、「特定生産緑地指定制度」の指定を受ければ従来の税制優遇措置を10年間延長できる
どうもこの生産緑地法改正についてフォローする情報があまり周知されていないような気がします。
生産緑地法による生産緑地は2022年で期限を迎えますが、その後「特定生産緑地」に指定されれば、引き続き固定資産税は農地と同じ扱いとして受けられます。では2032年になるとどうか?再度申請すれば更に10年延長できます。
しかも、改正に寄って、面積要件が引き下げられる他、直売所や農家レストランを建設することが可能になります。
なお、特定生産緑地化せず生産緑地のままにすることも可能ですが、固定資産税が段階的に引き上げられます。
現在の生産緑地は、駅から遠い場所が多く、特にマンションとするには向かない立地が多い
練馬区の生産緑地や、世田谷区の生産緑地はインターネットから閲覧できます(世田谷区はせたがやi-mapから都市計画情報→都市計画施設等)。
たとえば、練馬区の中でも生産緑地が数多くある練馬区立大泉西小学校付近ですが、GoogleMapで見るとこのような感じです。ここは埼玉県新座市との県境。
たしかに、まとまった戸建て街の他に畑が点在しています。ここが全部、マンションやアパートに変わったら大混乱でしょう。
しかし、ここは駅から相当遠い立地。最寄りは大泉学園駅か保谷駅なのでしょうけど、歩くと30分以上します。
これは極端な事例としても、最近売れ筋のマンション立地とはなり得ないところが多いんですよね。もちろん、戸建てが大量に供給されればまた別でしょうけど、売りさばくのも相当苦労するところが多いでしょう。
生産緑地問題が2017年改正である程度解消されたのにも関わらず、いまでもたまに話題になるのは、この問題を利用して消費者の不安を煽り、物件の販売や取得につなげたい不動産業界に悪用されているような気がします。日本はだいたい激変緩和措置が取られることが常で、不動産価値暴落のトリガーとなるような政策を、日本国がするとは思えません。
情報にはあまり踊らされないように気をつけたいですね。
2年前くらいに某榊さんがマンションにメガトン級の影響がありとか書いてますね。やっぱリアの方は、、、ですね。プロとは思えません、