X界における「マンクラ」というのは2つの派閥がありまして(いきなり暴論)。
いわゆるオールドタイプの、マンションフリーク/マンションオタクタイプは、分譲マンションという建物そのものが好きな人たちだと理解しています。そして、みんな大好き【大規模板状マンション】の建築主は長谷工コーポレーションさんがかなりのシェアを獲得しています。
今回、長谷工コーポレーションが運営するオウンドメディア「マンションプラス」側から「のらえもんさん、新築マンション価格の内訳、知りたくないですか?対談しましょう!」と言われたので、長谷工本社までホイホイ言ってきました。マンションオタク知識をいかに対談コンテンツとして昇華させられるか不安になったのですが、読んでみるととてもおもしろく、みんな気になる価格の内訳、マンション系ゼネコン最大手側が明かす費用の積み上げを明かしてくれるコンテンツですので一読価値あります!まずはこちらをご一読くださいませ。
新築マンション価格の内訳ってどうなってるの?マンションアナリスト‧のらえもんが長谷工を直撃!(MANSION+)
のらえもんブログでは、上の記事を読んでいただいた前提で、原稿に入り切らず泣く泣くボツになったところで、どうしても読者に知ってほしいな!と思ったところを掲載します!
長谷工さんが一番得意なマンションボリュームは?
のらえもん(の):長谷工さんって分譲マンションでいえば超大手。基本目立つ板状マンションはほぼすべて長谷工といってもいいくらいのゼネコンですよね。。。分譲マンションの戸数に占めるシェアはどれくらいですか?
長谷工・石井さん(石):直近では1都3県で165現場(2024.11時点)ほど稼働しています。シェアは埼玉で5割、千葉で6割強。神奈川については、シェアは3割弱くらいですね。東京都では、23区外では4割強と長谷工のシェアが多いのですが、23区内は2割弱にとどまっています。長谷工が最も得意とするのは、10階から12階建ての150戸から200戸程度の羊羹型の板状マンションです。
の:物件の形状は、土地から決まってくるものですか?
石:はい、土地形状からどのフレームが入るかがまず決まってきます。そして法規制の用途地域や日影規制で、建てられる建物のボリュームが決まります。ユニットプランの内容については、その物件がスタートしてから、長谷工と事業主で打ち合わせしながら、エリアのコンセプトを決めていきます。
の:長谷工さんは先ほど、150〜200戸が一番得意とおっしゃられていますがが…例えば、50戸の5階建てとなると、コストはよりかかってくるものですか?
石:物件によりけりですが、1.5倍程度くらいかかってきます。長谷工の場合、戸数によって資材の発注ですとか、郊外が強いというのが強みなので、原価が膨れてくる少ない戸数のマンションは苦手な部分ですね。
の:逆にいうと、200戸のマンションと、1,000戸規模のマンション。原価はそんなに変わらないですか?1,000戸になるともっとコストダウンできるのかな?と感覚的には思っていましたが。
石:もちろん大きければ大きいほどコストメリットがでるのと、1,000戸となると多棟現場になってくるので、工事の施工のしやすさ、材料の発注は楽になる一方で、現場のコストは上がってくる。トータルでは戸あたりの原価は変わらない場合もありますね。
長谷工物件でいわゆる「ワイドスパン」が少ない理由
の:長谷工さんのマンション、梁が少なくなってませんか?
石:デベの考え方によるところかもしれませんね。土地形状に無理があって、プランを入れようとすると、構造に負荷がかかる、コンクリート強度をあげないといけないということになります。
の:そしてこれ、どうしても聞きたかったんですよ…住宅の広さと同じくらい、スパン(間口のこと。住宅のバルコニーなど開口部がある側の長さ)は住心地に重要な要素だと思います。私はかなりマンションを見てきたのですが、長谷工施工物件は標準でスパンが6〜6.4mの間に集中しています。むしろ近年は若干スパンが減少しているような印象を感じるんですよ(早口)ファミリータイプを70平米固定にすると、スパン6mだと、奥行きが11.5mちょいになってしまうわけで…田の字ゆうても比率が1:2じゃないですか。さらに二重壁になってしまうわけで。ここが長年の疑問だったんですよ。。。ズバリ長谷工施工にワイドスパンがないのは、騒音懸念があるからですか?
石:いや、コストが上がるから、ですね。構造の負荷、構造のコストアップにつながります。
上図はお恥ずかしながら2014年にのらえもんブログで掲載した板状マンションの仕組み。この羊羹の切り分けの幅をコントロールして、専有部の広さを決める。
の:純粋にコストの問題だったんですね!
石:間口が広くなればなるほど、構造に負荷がかかりコストはUPしていきます。
今後、大規模板状は建っていくのか?
の:今後、人口減少がある中において、郊外の大規模マンションは今後も作り続けますか?
石:郊外の大規模マンションは長谷工の主戦場ですから今後も作り続けます。ただ今後の販売状況では郊外の単純な駅徒歩15分、20分という物件はなかなか増えていかないと想像できます。もちろん、長い計画の中でこの期間に売り上げをたてないといけないという大人の事情があるかどうかがあれば話は別ですが。郊外でも商業隣接の複合開発など付加価値を付けて販売していく物件は増えていきそうです。
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・・・ということで、特色のある駅遠な超大規模板状マンションは今後難しくなっていくでしょうね(近年の事例で行けば、Brillia City 石神井公園 ATLASとか)。
すこししんみりした感じで、長谷工を後にしたのでした。
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