小ネタ

地方のリゾートマンションに40年後の都会のマンションの未来を見た

異常気象とも言えるほど暑かった11月3日〜5日の三連休ですが、読者の皆様はどうお過ごしだったでしょうか。

連休の私の過ごし方は、既に引退している親族がコロナ前に数百万円ならと遊びで買った、とあるリゾートマンションを借りて二連泊していました。これは伊豆スカイラインで撮った富士山です。11月というのに山頂の雪が溶けていました。

あまり正確な数字を出すと物件を特定されてしまうので、多少ボカして書きますが、向かったのはバブル前に建てられた大規模なリゾートマンションです。窓からは相模灘が見え、日当たりはとても良好。借りたマンションは見たところ修繕もされていて小綺麗です。ホテルと違っていいところは、洗濯機が使えるので、着替えをさほど持っていかなくてもいいところ、そしてキッチン付きでとても広いことでしょう。夜はテレビを見ながらゆっくりとリビングで過ごします。

マンション内の共用施設も充実していました。伊豆の大規模リゾートマンションにはよくある露天風呂、共同浴場やプール、卓球などが楽しめます。庭園もあり、私のような本人以外のリゾート利用のためゲスト駐車場も用意されています。温泉はもちろん源泉かけ流し。泉質も良いので風呂から上がった後もポカポカ感が続きます。きちんと整備されたテニスコートもありました。テニスコートの予約表を見るとこの3連休で私以外の利用はたったの一組だけ。時間を気にせずに楽しむことができます。永住はともかく、1週間程度のワーケーション滞在にはとてもピッタリだと思いました。いま、円安で海外に行くことがとてもコスト高となり、ホテルはインバウンド需要でコロナ時の数倍はザラです。

アイキャッチとこのイメージ画像はAIに書いてもらいました。AIが考えた「伊豆のリゾートマンション、そのテニスコート」です。ここまで豪華じゃない。なんとなく配棟の雰囲気がエクシブ湯河原離宮に似ている…

伊豆は早くから観光地化されたこともあり、半島内に数々の観光スポットがあります。インフレの波はまだ伊豆まで来ていないのか、ふと立ち寄った食堂では地物のアジ活造りの定食が1,300円でした。この値段でつみれ汁までついてきます。最高!

外泊は、ホテル・会員制リゾート(エクシブや東急リゾート)・リゾートマンションと、左に行くほど1回あたりのコストが高く、右に行くほど保有コストが高くなります。ということは、保有コストを外部化できる親族のリゾマン体験は最高ですね(笑)、冗談はおいておいて、伊豆で十分に安くなっているリゾートマンションなら、これはこれで二拠点生活やワーケーションとしてアリな選択肢ではないか?そう思うくらい満足度が高い旅行でした。もちろん連休初日の大渋滞を除いてです。

※結局小田原でランチに立ち寄ったこともあり、東京を朝9時に出て、現地のマンションに付いたのは17時で、真っ暗でした。帰り道は学習して17時までマンションで過ごした後に渋滞が解消された神奈川の海岸沿い〜戸塚経由で帰りました。3時間ちょいで済みました。

 

実はこの旅行の目的は単に遊びに行くだけでなく、親族から「このマンションの管理の行く末は大丈夫なのか、私はずっと戸建て住まいでマンションのことは一切わからないから見てきて欲しい」という裏テーマがありました。きっと地方リゾマンの現状などの番組かネットニュースを見て不安になったのでしょう。

マンションによって流儀は様々でしょうが、今回のマンションは理事会の議事録が事務所のそばに掲示してある、情報公開がきちんとされている物件でしたので、部外者の私(といっても区分所有者から調査を依頼されただけの立場ではありますが…)も閲覧することができました。

・・・・・

いきなり、出だしの議事録が定時時総会の議事録で、総会時の緊急動議によって理事および監事が全員解任されていました。そして次の臨時総会では前理事と管理会社所長の問責決議が可決。かなりボカしてはかいてあるものの、これはきっつい…まるでかの有名な秀和幡ヶ谷レジデンスの管理組合の理事会クーデターを見るようなドラマでした。

その後も以前の管理の停滞を吹き飛ばすように、築古とは思えないWebでの理事会が1ヶ月に2度ペースで次々と開催され、矢継ぎ早に運営の改善提案をされているのが垣間見えます。このマンションはこの理事たちなら大丈夫、と理事会議事を読みながら思った時にふと最後のページ、つまり前月の理事会議事録を読むと、とある高齢者居住者のイビりでサービスの根幹を担うスタッフが辞めてしまい、大きなサービスダウンを余儀なくされていました。理事会は、数ヶ月前にはこのスタッフをねぎらうために、物件規模からするときちんとした設備投資をしたはずなのですが。区分所有者と理事会との一問一答を見る限り、かなり権利を声高に主張される方がいるようです。

といっても、マンション本体については問題がなく、外壁塗装もしっかりされており階段やその他の施設なども痛みはありません。管理崩壊、建物修繕放置のようなことはなく築年数を考えると驚くほどこざっぱりとした印象です。きっと、メリハリが効いていたのでしょう。

滞在中は、居住者の方と何度もすれ違いましたし、お風呂でも会いましたが、半分以上は後期高齢者。みなさん、リゾート利用(このマンションでは借りてきた利用者をこのようにいうようです)で見ず知らずの私にも「こんにちは」「お先に失礼します」「さようなら」と丁寧な挨拶をする方ばかりです。
親族にはありがとうと述べて、今の理事会はがんばっていらっしゃるようです、と報告しました。

帰ってきて、読んで衝撃を受けた議事録とマンションで感じたことを思い返していました。

  • 見たところお金が足りない。修繕積立金は平米100円ちょっと。決算をきちんと読む時間がなかったが、たぶん、いまの建物を修繕するので手一杯で新しい投資をすることも難しいし、立派な共用部も壊れたら修繕するのが負担に感じるだろう。幸い、外壁塗装を見る限り10年以内に塗り直していて、鉄部のサビや外壁のヒビなどはほぼ見られないので、建物については向こう10年程度は安心かもしれない。なお管理費は都内のタワマンも真っ青の平米500円を超えています。
  • 居住者は半分以下、かつほぼ後期高齢者。夕方6時に外側からバルコニーを明かりを見たら、電気がついていたのはおよそ1/4。大目に見ても半分しかいない。3連休だというのにゲスト駐車場はガラガラだった。決めつけは良くないが、高齢者は原資が限られているため、負担増を極端に嫌がる。
  • 周辺のインフラが壊滅している。最寄りのコンビニまで2kmは離れている。最寄りスーパーは5km以上。しかも山道であり、車がないと日常生活は厳しい。マンションから買い物のシャトルバスは出ているが、1日4本(これでもすごい)。たぶん他のリゾマンとの乗り合いバスだろう。移動販売車も来るみたいだが、週1日・1時間のみのようだ。
  • 周辺の働き手不足も顕著で、外から呼ぶのもおそらく難しい。サービスダウンになってしまっても新しい人をすぐ補充できていないし、議事録を見る限り目処もまだついていなさそう。
  • 周辺インフラといえば、幹線道路から物件までの道は、古い橋を渡る必要があり、ここもそのうち修繕が必要そう。そのインフラ維持に人手やコストを出せるのか。

薄々皆さん気づいている通り、上記の根本的な解決方法はありません。固定資産税と管理費、修繕費はかかり続けるため、どこかで見切りをつけて売却する必要があります。どのタイミングなら売り抜けられるのか…見極める必要があります。

うーん、しかし東京から3時間ちょいで行けるとはいえ、年に4回程度使うという親族が後期高齢者になる頃に自分で運転して行くのかな。建物が次の大規模修繕を考え始める前には、手放したほうがいい気もする…といっても借りて最高に楽しんだ手前、その直後に「ありがとうございました!ところで、このリゾマンは構造的に浮上が難しいので運転がしんどくなったらすぐに手放し時でしょうね、手放すまではまた貸してください!」とはなかなか言いづらいなとモヤモヤした気持ちを抱えました。

上記のような問題は、超高齢化が進む日本では30〜40年後は東京のマンションでもそこかしこで起こりそうな気がします。伊豆のリゾートマンションでみたのは、建物と居住者の老いだけでなく、周辺インフラと市町村の老いの同時進行でした。東京で顕在化しそうなその時に、自分は何をしているんだろうなと考える、三連休明けの深夜でした。

 

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