不動産デベロッパーが売主の新築マンションと違い、中古マンションの売主はほぼ個人が主体です。そのため、エスカレーター式に物事が進む新築と違い、不確定要素が大きいとも、また裁量の余地があるともいえます。
新築マンションの値引きテクニックはネットである程度公開されていますが、中古マンションについての値引き交渉についてはあまりありません。先程書いたように不確定要素が多いので、「必ず使えるテクニック」ではないのですが、汎用性の高いテクニックを公開させていただきます。
なお、以前私のブログでも「新築マンションの買い方・値引きがある物件の見分け方については書かせていただきました。
中古マンションの値引き交渉とは
中古マンションの売り出し価格は、売主側の「言い値」です。ですから、売出価格の決定はいろんなパターンが考えられます。
例えば、
- 通らばリーチ程度に、相場よりかなり高い値段を付けていて、売主もそれを知っている。売却期間を眺めに通っているので半年くらいはこれで様子を見て売れれば段階的に値下げしようと思っている。
→売り始めて最初の頃は、値引き交渉は通らないです。数か月経ってから値引き交渉が可能になります。 - 次のマンションがすでに決まっており、売却条件もついているためすぐに売らないといけない。できれば高く売りたいが、それ以上に期限までに売る必要がある。
→値引き交渉が通る可能性が高いです。 - 離婚で共有不動産を手放さなければならず、早く売りたい。
→こちらも値引き交渉が通る可能性があります。 - 売主側が無知・もしくは何らかの事情があり、最初から相場より安く出ている。見学客が多くてすぐに申し込み客が付きそう。
→この場合はほぼ値引き交渉は通りません。 - 不動産仲介が強気の査定結果を出して媒介を取り、売主側も当初信じたものの、まったく見学客がつかずに3ヶ月後に値段を下げた。しかし、まだ見学客が来ない…
→売主側が不安になっていると、値引き交渉が通る可能性があります。
注意したいのは、例えば1や5の場合、値引き交渉を通して、契約が成立しても結局相場並みで4のような最初から相場より安い住戸よりお買い得度が少ない場合があります。
交渉は買付書で希望額を書いて行うので「指値」と言われます。ですがここではわかりやすく「値引き」と表現しています。
値引きの相場は
2017年の調査ですが、東京カンテイさんがこのような資料を出しています。
この価格乖離率の定義は:
価格乖離率=(取引価格 - 売出価格) ÷ 売出価格 × 100%
です。表を見ると中古マンションを売り出してから3か月の間に67.3%が取引成立し、3か月目で決まった物件は平均6.83%値引きされて成約に至っている。というデータです。1か月以内の短期で決まった物件ですと価格乖離率は3%となります。
なお、このデータは平均売出価格が2,500万円~2,700万円程度です。このブログがメインターゲットにしている東京湾岸タワーマンションの世界では、
・平均売り出し期間はもう少し長く
・値引きなし決着率は若干高い
という結果になっています。
湾岸タワーマンションエリアにおける値引き額の目安と値引きゼロ円のパーセンテージについて:
値引きを飲んでもらうテクニック
冒頭でも「売主は個人」と書かせていただきましたが、これは「買主であるあなたはお客様ではない」ということです。これを絶対に勘違いしてはいけません!また、見学している物件を買いたいライバルはあなた以外にもいることを忘れてはいけません。
まずは意思決定を素早くしておきましょう。そのために住宅ローンの事前審査を通しておきましょう。申し込みは簡単です。自分の予算よりちょっとだけ高い価格のマンションで事前審査を申し込みます。一度通ればその物件を買わなくてもよく、物件チェンジということで審査はスムーズにいきます。事前審査が通っていない客は、売主との取引をまとめる仲介マンに対しても取引ができる人であるという証明ができていないのです。
居住中物件などの見学など、買付の前に事前に売主とコミュニケーションができる場合:
・売主に対して礼儀正しく接しましょう。質問できる機会があれば、できるだけ気持ちの良い取引ができるような質問を投げかけましょう。
・「あの人になら売りたい」という印象を残すことが何より大事です。ライバルと同時に買い付けが入っても、「同じ条件だったらこの人に売りたい」「少し値引きされたとしても、この人に引き取ってほしい」と思わせたら勝ちです。
空室見学など、買付の前に売主とコミュニケーションができない場合:
・仲介マンに「この部屋が欲しいんだけど、この指値が通るか感触が知りたい」と伝えましょう。売主側仲介マンができる方なら事前に値引きに対してある程度の幅を持たせてもらっています。
・切れるカードが極端に少ないので、どうしても指値を飲んでもらいたいときには「決済日は売主の都合に合わせる」「残置物があってもかまわない」「瑕疵担保期間免責を入れる」など、売主に少しでも有利な条件になりそうなことを提示するのはいかがでしょうか。
どちらにも共通することは、この物件が欲しいという熱意と素早さ、そして人柄です。個人間取引では、人柄が与える影響をバカにしてはいけません。
実際の事例
身バレ覚悟で私自身の事例を一つご紹介しましょう。
- とあるマンションをポータルサイトで常にチェックしていました。新着は欠かさずみていたので、月曜日に掲載開始された物件が相場より安いことに気づきました。
- すぐに電話をかけると、土日にオープンルームを行うのでそこで来てほしいといわれました。しかしそこで引き下がらず、事前に見せてほしい。火曜日でも水曜日でも木曜日でも有休をとって伺うと仲介に伝えたところ、火曜日に見学を入れることができました。なお、別の物件ですでに事前審査は通していました。
- 火曜日に見学に行ったところ、専有部はとてもきれいに使われていて、なぜ相場より安かったのか理解不能でした。仲介より提示されたここ数年の成約事例を見てもやはり割安な水準でした。なぜかを尋ねると、売主が持っている資産管理会社の一部資産入れ替えのため、売却を急いでいるとのことでした。
- 見学後、仲介に電話をかけ「とても気に入っている、できれば買付書を出す前にもう一度夜間帯に見たい」と伝え、特別に木曜日の夜も見せていただきました。
- 当時はまだ若かったので、決断に時間がかかりました。今だったらこの木曜日の夜で買い付け申込書を書いたでしょう。土曜日の朝イチに見学に行き、その場で買い付けを書きました。申込書を書いている途中で仲介から伝えられたのは、この土日のオープンルームですでに8件の事前見学予約が入っていたことでした。
- 本来なら満額で申込書を書けばよかったのですが、「恥ずかしながら予算が若干足りない。できれば端数切捨てでお願いしたい」と申し出たところ、仲介マンから「オープンルームの申し込み状況では、満額で申し込みが入ると思う。しかし、既に三回来ていただいてる、売主に熱意は伝わると思う。売出価格より50万円だけ下に書いていただければあとは売主とまとめて来ます」と言われました。
- 日曜日に満額買い付けが入ったものの、売主から「一番手で熱心に見学されたあなたに売りたい」と言われました。売主側が余裕がある人だったので正直、相当ラッキーでした。
私の場合は、「売主側に何らかの事情があり、最初から相場より安く出ている。見学客が多くてすぐに申し込み客が付きそう」な状態だったにも関わらず、「この物件がほしいという熱心さ」と「事前審査を通しておくことによりライバルよりスピーディーに動けた」、「仲介マンを味方につけた」いう3点で、多少の値引きをゲットした上で無事物件を購入することができたのです。
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以上、中古マンションの値引き必勝法はありませんが、初心者が躓くかもしれないポイントを並べさせていただきました!値ごろ感のある人気物件はすぐに無くなるのが常ですので、人より早く、熱意を持って動きましょう!
「では、住宅予算はどれくらいにすればいいのか」「資産価値の高い住まい選びをしたい!」という方は経験豊富なFPと住宅アドバイザーに相談できる「住まいスタジアム」をおすすめしてます!
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