2018年初頭の湾岸中古タワーマンションの相場情勢が、エリア毎にどうなっているのか分析するエントリの第四回。今回は有明編です。このエントリではタワーマンションの相場調査であり、ワンルームマンションは調査範囲外であることご了承ください。
有明には現在、住友不動産売主の複合開発「シティタワーズ東京ベイ」が販売中で、他にも大和ハウス(258戸)と東京建物(300戸)が開発する物件が今年中に販売開始ではないかという噂です。後者2マンションの平均坪単価も気になるところですが、周辺の中古マンション相場を知っておくと、意思決定もしやすいでしょう。
今回の調査対象マンションは、以下となります。
オリゾンマーレ(2004)、ガレリアグランデ(2006)、ブリリアマーレ有明(2009)、シティタワー有明(2010)、ブリリア有明スカイタワー(2011)、ブリリア有明シティタワー(2014)。括弧内は竣工年です。
まずはこの直近2年間である2016年と2017年の成約事例坪単価を、各マンション毎に色分けした散布図がこちらとなります。
(各事例グラフはクリックすると大きくなります)
おっと。坪450万円を超える成約が1つ(BAC/北西角高層階)あるので、ずいぶん上側にグラフが偏ってます。上限坪単価350万円で引き直したのがこちらです。
こうみると、坪単価相場で3つのグループに別れます。
- オリゾンマーレ、ガレリアグランデ
- ブリリアマーレ有明、シティタワー有明、ブリリア有明スカイタワー
- ブリリア有明シティタワー
グループ別に見ていきましょう。見やすくするために、各グループで縦軸が変わりますが、ご了承下さい。
1:オリゾンマーレ、ガレリアグランデ
どちらも、プロパストが作ったデザイナーズタワーマンションです。有明最古参の2棟で27階建てとなっていますが、ロビーなどに使われている素材など、随所に拘りが見えます。オリゾンマーレが坪230万円、ガレリアグランデが坪210万円ラインとなっており、この2年の傾向はほぼ横ばいといえるでしょう。
・オリゾンマーレは、有明テニスの森駅・国際展示場駅ともに既存の有明タワーマンションの中では一番近く、交通利便性の良い立地です。将来的な懸念点は南東面に住友不動産プロジェクトのホテルアネックス棟が建ってしまい、北西面は大和ハウスが15階建て板状マンションを建設予定です。特に北西面はタワーパーキングが敷地境界ぎりぎりに建てる計画となっていて、ルールの範囲内とはいえ、結構厳しいですね。幸い、共用施設が集約されている最上階の景観は保たれます。
・ガレリアグランデはシティタワー有明と並んで、どの駅からも遠いというハンデがあります。兄弟マンションであるオリゾンマーレより築年数で浅く、より大規模なのにも関わらず、坪単価が弱気なのはこの理由からということと、首都高向きの南西向け低層階とシティタワー有明向きの成約事例が多いからです。
2:ブリリアマーレ有明、シティタワー有明、ブリリア有明スカイタワー
坪280を超える成約があるものの、低めの成約がこの1年固まってて出たことにより、若干下げ基調のシティタワー有明。
坪240〜280に全体の8割以上の成約が集まり、ボックス相場になっているブリリアマーレ有明
活発に取引され、坪300台の成約もあるブリリア有明スカイタワー
と、2016年初頭は完全に横並びだった3マンションですが、こうして坪単価の散布図を見ると、若干差が開き始めています。私の相場観では、この3マンションは同じ価値だったのですが、トレンドを見るのは大事ですね…
・ブリリアマーレ有明は、プロパストが有明で関わった最後の物件ということもあり、有明の中でも共用施設が最も充実し、かつ豪華です。豪華さでは有明はおろかここを超える湾岸物件はほとんどない、のですが逆に共用施設を見て「将来の修繕が怖い」と二の足を踏んでしまう人も多いと聞きます。また、豪華な共用部に比べて専有部は普通です。
・シティタワー有明は、「眺望に優れた有明の立地」を最大限に活かしたダイレクトウィンドウを楽しむタワーマンションです。また、棟状比に優れていて、間取りのプランはワイドスパンが多くなっています。ガレリアグランデと同じく、有明の端にあることからどこの駅からも遠いのが弱点ですが、メイン方向の南東側は学校、北西側は有明アリーナと、今後の眺望面は確定された要素が多いです。
・ブリリア有明スカイタワーは、豪華すぎた先行ブリリアマーレ有明を研究して中庸を取った物件といえます。タワー駐車場を12階までとしてここを内廊下にして13階以上を外廊下にしました。共用施設は先行物件に譲りますが、それでも規模は都内有数です。北西側は有明西学園で眺望が確定。南西面以外はほぼ今後の眺望に懸念点がありません。また下のテナントにスーパー文化堂が入っていて便利ですね。
3:ブリリア有明シティタワー
チャートは完全に上向きです。1LDKの成約も多いのですが、有明唯一の坪300物件です。のらえもんの本音を言わせてもらうと、なぜここまで評価が高いのか、様々な要素があるにせよ、ちょっとわからないですね・・・
・ブリリア有明シティタワーは、震災後に企画されている現状では有明唯一の新世代タワーマンションです。免震で敷地全体に液状化対策がされています。最上階すべてを共用施設にするコンセプトは兄弟物件のブリリアマーレにならっていますし、コンテンツもプール以外は全部入りといったところです。庭は先行2物件より狭いものの植栽ががんばっていて、豪華さを感じられます。
成約と在庫の比較グラフ:
最後に、成約と在庫の比較散布図を出してみます。
2015年から坪400オーバーで売り出していてまだ成約付いていない物件があるので、グラフがへんてこになっています。ちょっと特異点なので、グラフから削らせてもらいますと、以下の通りになります。
・有明の相場はこの2年間、基本的にヨコヨコだったことがわかります。在庫と成約の対比で在庫がほとんど成約と変わらない(=つまりすぐ売れてもおかしくない)と思えてしまいますが、ちょっと「オリゾン・ガレリア」と「それ以外」のグループ別にして散布図を取り直します。
有明タワーマンション成約−在庫グラフ(オリゾン・ガレリア)
有明タワーマンション成約−在庫グラフ(オリゾン・ガレリア以外)
ということで、やはり、成約データと在庫の希望価格には若干の乖離が見えますね。ここから買い手と売り手が互いに折り合いを付けて、新しい成約データとなっていきます。
しかし、この2年間はほとんど相場が変わっていない、という結論でした。シティタワーズ東京ベイの売り出しで相場が若干上がったかと思っていたのですが、むしろいままで過剰気味だった在庫が無くなった。という状況です。いまの在庫データを一瞥するとこれから上がり傾向になるという前兆だと私は考えます。
オリゾンマーレ400m表記3分よりブリリアマーレ有明350m表記3分からの方が有明テニスの森駅に近くないですか?
国際展示場駅にもオリゾンマーレ750m?表記9分とブリリアマーレ有明750m表記8分で同じ距離か少なくともブリリアマーレ有明の方が近いですよね。
いかがでしょうか?