不動産業界を外から見た

超低金利下の住宅ローンという制度にはバグがある

フラット35の不正利用のニュースが揺れています。住宅ローンはそもそも「自分が住むための物件」ということで、使途は自宅用に限定されていましたが「自分が住んだことにして最初から人に貸すために購入する物件にフラット35を使う」という技を、不動産業者と利用者が悪用して、投資用ローンの偽装をしていたのです。

フラット35の超低金利を使っても購入者にはほとんどキャッシュフローが出なかったということですから、それじゃどんだけ物件を高く売ってたんですか(笑)とも思いますが、スルガ銀行の融資が止まった以降、投資系不動産業者のヤンチャが目立つので、これはまずいと住宅金融支援機構が全件調査に乗り出すという報道も出ています。

「フラット35」の不正利用、住宅機構が全件調査へ 防止策に限界も
日本経済新聞 2019/5/15 2:00長期固定金利型の住宅ローン「フラット35」の資金使途が自己の居住用ではなく投資用だったという不正利用疑惑を受け、住宅金融支援機構はすべての融資先について同様の事例がないか調査を始める。本来認めていない投資目的の利用を排除するため審査などの融資実行前の対策を強化する。自己の居住用か投資用なのか判別しにくい場合も予想され、対策の課題になりそうだ。
(中略)
今回発覚した事例は特定の不動産会社が関与しているとみられているが、機構は5月中にもすべての融資案件から疑いのある例を抽出する作業を始める。フラット35は2017年度末で約68万件、15兆円の残高がある。

元々、このブログでも1軒目の住宅ローンを残したまま2軒目を買いたい場合は、1軒目はそのまま持っておく理由を銀行に説明つけてから2軒目はフラットで、、、なぜなら銀行は住宅ローンの残債を審査の対象に入れるけど、フラット35は入れないから、という紹介をしていました。なぜこのバグがずっと残されていたかを考えると、既に家はあるものの家族の分離や家族構成の変化、転勤先での住宅購入などの救済を目的としていたかと思われます。

リクルート発行の「都心に住む」ではなぜか住宅ローンを抱えたまま3軒持っている方が紹介されてそこに居住中じゃないことが大っぴらに公開されてて「???」となっていたのですが、フラット35を使った投資目的での実需用マンション購入は、個人でやるぶんには運用として黙認されていたも同然でした。例えば沖縄の分譲マンションの購入者でフラット35使う人のほとんどが永住目的じゃないことを代理店側も承知と聞いたことあります。
住宅支援機構が問題視したのは、不動産業者が投資用マンションをフラットで購入する不正利用スキームでビジネスしていたからでしょう。こういう業者は、さっさと畳んで次の法人名でやりはじめるんでしょうけど。

(画像出展:都心に住むより)

今後、フラット35の貸出基準が厳しくなったり、居住チェックが激しくなったりするかはわかりません。が、このような買い方をする人はそんなにいないはずなので、実需マンション市場の影響は軽微と考えます。

—–

そもそも、投資用ローンと住宅ローンには明確な金利差があります。貸し手側から見れば住宅ローンは、実際に住んでいるから投資用より返済を優先するはずの比較的安全な債権とはいえ、この金利差に注目するのは借り手として当然のことだと思います。

いわば持ち家優遇の制度におけるバグでして、震災以降、このバグをうまく使ってアービトラージにチャレンジした人は、リスク低めの割には短期間でかなりの利益を上げることができました。マンションが高騰している現在、今後もできるかとうかは不明ですが、少なくとも「35年の住宅ローンを組むやつは情弱www」と言って賃貸にとどまっていた人とは資産にかなり差がついたことは事実です。

私は、25歳くらいに初めてマンションを買いたいと思っていたのですが、当時はさほど購入する強い動機がなくて躊躇しているうちに、人生の転機がありまして、購入検討をそこでやめてしまいました。いま、会社勤めの若い人には時間があるので、低金利のうちに再流通価値の高い物件を購入して、与信と時間を味方につけて住みながら、想定物件売却金額-残債=資産を積んでいくというのは良い事と思いますね。低金利だと、返済初期から元本返済割合が高いので、残債減少スピードが速いのです。

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コメント

  • コメント (1)

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    • ksrper
    • 2019年 5月 16日

    不正行為を正当化するな!

    >いわば制度のバグでして、震災以降、このバグをうまく使ってアービトラージにチャレンジした人は、リスク低めの割には短期間でかなりの利益を上げることができました。

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