無視しても良かったのですが、せっかくなのでとりあげます。「都心にも迫る過疎化の波 豊洲のタワーマンションでも限界集落化か」という煽り記事が波紋を呼んでいます。
都心にも迫る過疎化の波 豊洲のタワーマンションでも限界集落化か
http://news.livedoor.com/article/detail/10507999/ (魚拓)例えば30代、40代が多数を占める現在の豊洲地区の人口構成は、40年前の高島平団地(板橋区)にそっくりです。かつて『東洋一の巨大団地』と呼ばれた高島平団地ですが、今は65歳以上の高齢者が住民の4割弱となっている。もはやこれは都心の“山村”です。分譲マンションが多く、長期ローンを組んで購入することが一般的な湾岸エリアでは、20年、30年は人の移動が起こりにくいため、高齢化がさらに早く進みます。
うーん、東京湾岸エリアの中古物件成約戸数はここ数年堅調に伸びていますし、東京の中で最も活発に取引されているエリアなんですけど。この記事の”地域エコノミストの藻谷浩介氏”はこの現実をどう解釈するのでしょうか。
地域住民として、そして湾岸エリアの不動産をここ数年ウォッチし続けたブロガーとして意見を述べますと、高島平団地と同じようになることはないでしょう。
これは昨年の5月に書いた2つのエントリが僕なりのファイナルアンサーのつもりです。
湾岸の行く末って多摩や千葉の新興住宅街と一緒なわけ?
湾岸の行く末って高島平団地と一緒なの?&ランキング公開
まず、エントリー層として近隣に賃貸マンションがかなりあり、また分譲賃貸も少なくない比率で入居が進んでいる事実があります。賃貸マンションに一生住む人はすくなく、ここで地縁が自然とできた人は、入居の入れ替えが行われます。
そもそも、湾岸以上に急速な高齢化が進む地域がいっぱいあることを忘れてはいけません。こちらは急速に進む東京区部の老年人口密度です。
超高齢社会をむかえた東京23区の将来 – 第60回NSRI都市・環境フォーラム資料
原データは 「2030年の東京 part2 超高齢社会データブック編」 森記念財団 都市整備研究所
問題にすべきは、東京北側区部の急速な老齢化であって、湾岸地区ではないですね。そもそも湾岸地区は上下移動はすべてエレベーターでフラットアプローチ。公共交通機関もバス地下鉄と揃っていますから、戸建てエリアよりよっぽど集積が進んでいます。
地方では、郊外をシュリンクしてコンパクトシティ化しようと進めている最中ですが、都心に近い東京湾岸エリアはコンパクトシティの東京版といえます。過疎化&高齢化の心配をするのは、データを見る限り他の地域でしたほうがいいですし、高度に集積されたコンパクトシティは高齢化の準備もできているのです。
P.S.
しかし、なんでこういう批判が東京の湾岸エリアにおいてのみフォーカスが当てられるんですかねぇ・・・世田谷区の方がよっぽど高齢化を心配した方がいいです。
地震の時の津波がきたらという煽りもなぜか湾岸地区ですしね。
南海トラフとかきて数10m級の津波がきたら東海道線以南の湘南地区の戸建てとか全滅なんですけどね。
湾岸地区は東京湾で波が拡散されて数mまで減衰するのに、頭の悪い人はわからなみたいです。
所詮、三流メディアは「正しい」かどうかではなく、PVを稼げるかどうか。そのためには、キャッチィーな悲観的な記事が受けるんですよね。
のらえもんさんも、くいついてますし。釣れてるということですねー
まったく、のらえもんさんに同意です。
そもそも数々の問題提起や懸念があるのは当然ですが、湾岸で起こればそれより前に他でも起こりうる事ばかり書かれてる気がしてならないです。
さらにデータや理論に基づいた物でもなく、全てイメージで語られている点も低俗と言わざるをえないです。
言論の自由がありますし、何を書くのも自由ですけど湾岸地区を何とかして貶めたい意図が見え隠れして気持ちが悪いです。
のらえもんさん
いつも拝見させていただいております。大変勉強になってます。
ただ、一点 のらえもんさんの書き込みで、湾岸についての記載ですが、震災リスクに関して、液状化とそれに伴うインフラの破壊についての評価がなされていない気がします。湾岸マンション、ひいては湾岸地域全体の(心理的、資産的)リスクってそこではないでしょうか。
私も同意見です。
東京駅・品川駅付近のオフィス街が再開発によりまだまだ発展することが見込まれていますので、そのオフィス街に近いベットタウン(通勤電車の混み方が激しくないベットタウンはそうないはず)である湾岸付近が急速に過疎化するとは思えません。会社に近い・郊外のような整備された街並み・西エリアより安いという条件を満たしている限り、利便性が評価されるトレンドが急速に変わらない限り、衰退はしないでしょう。
震災リスクですが、埋立地は液状化によりライフラインの途絶がリスクとして考えられますが、埋立地は海抜ゼロメートル地域ではないので、堤防の決壊による水没リスクはあまり考えられません。また、湾岸のライフラインが壊滅するような震災が発生した場合、火災が都内のいたるところで発生すると考えられます。液状化リスクとと火災リスクなどを天秤にかけて、自分はどちらが許容できるのかで場所を判断されるのが良いと思います。
液状化で命はとられませんが、火災では命の危険性があります。
私はそちらの方が怖いですね。