私はモデルルームに行くと、必ず目線が上に行きます。なぜなら梁と柱を探してしまうからです。柱は平面方向の障害物であり、梁は空間方向の障害物となります。居住空間にまで影響が及ぶ梁が室内まで出張ってる事例は少ないですが、天井の一部が凸部になっているのは気になりますね。
写真はとあるマンションのモデルルームです。クーラーが取り付けられている部分がいわゆる”梁”と呼ばれるものです。梁は柱と柱を横断するものですから、梁の延長線上には柱が必ずあります。
柱はともかくとして、梁はなぜ部屋の中に出っ張っているのでしょう?消費者満足度を明らかに低下させるものですし、消せないのでしょうか?これは階高と構造に深い関係があるのです。
マンションは自身を保つため、そして地震から加わえられる力に耐えるため、ガッチリと固める必要があります。これをラーメン構造と呼び、マンション構造の基本となっています。体感ですが、今出回っている95%くらいのマンションはこのラーメン構造です。
画像出典:三井のリハウス「不動産用語集」より
この梁と柱で囲われた空間に床と壁を取りつければマンションの完成です。柱と梁ですべての重量を支えなければならないため、重く太く作る必要があります。このため、部屋に出っ張ってしまうのです。
部屋に出さない方法は二つあります。
1つは、マンションの階高を高くして、二重天井にして隠ぺいするやり方です。
天井仕上げ材の上に梁をいれてしまうのです。しかし、防音目的で入れられる「小梁」ならともかく、建物の構造に関わる「大梁」を隠ぺいできるほど階高を高く作ることは困難です。マンションとは経済性を求められており、階高を高くすることは間違いなくコストアップだからです。特殊な要因で階高を高く取ることができたマンションのみができる解決方法といえるでしょう。
ちなみに、小梁すら隠ぺいできないマンションは絶対的な階高が足りていないマンションです。中古マンションの場合は、二重天井の概念が無かった時代かもしれません。
もうひとつの解決方法は、柱と梁で支えるラーメン構造をやめて、柱の代わりに壁を構造体とする壁式構造とすることです。(ただし、開口部の上に梁は存在します。更に窓を大きく取るためには、その部分は壁ではなく柱と梁で構成する「壁式ラーメン構造」というハイブリッドな構成を通常とります。ごく一部ですが、純粋に柱と梁が一切ないマンションも存在します。)
壁式は柱がないため総じて間取りが良くなる傾向となりますが、ラーメン構造と違い、壁を取っ払うようなリフォームが難しい弱点があります。
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