スムログ・DJあかい先生のエントリを見て、今回はちょっとカジュアル目に。
新築マンションの価格高騰しています。各社必死に総額を抑えようとしたコストダウン策があまりにも行き過ぎて60平米台前半3LDKが財閥系マンションでも普通に見られるようになりました。こうした現状に対する悲鳴がそこかしこで上がっています。こんなのは長く続くわけないと。雑誌やヤフーニュースの見出しを見れば、東京オリンピック前の今年に?いやオリンピックの年に?それともオリンピック後に?「マンション価格大崩壊」「不動産バブル崩壊」と、特集が何度も組まれています。お前らいつそれ起こるの。不動産バブル崩壊って言いたいだけじゃないのか。小一時間問い詰めたい。
(東洋経済 2019年3/23号表紙より)
残念ながら、新築マンション価格の崩壊は様々な理由により今すぐ起こりそうにはありません。なら中古マンションなら下がるんじゃないのー!たしかにドン高値で土地を仕入れている新築マンションよりも、個人が売り主の中古マンションの方が価格弾力性が高そうです。
しかし、現実は「見たことがないような高値で新築物件が売っている周辺の中古マンションは、釣られて上がってしまう」です。
ここでわかりやすい事例を見てみましょう。プラウドシティ東雲キャナルマークスが、周辺中古マンション価格に与えた影響です。
プラウドシティ東雲は豊洲駅徒歩10分でありながら、アドレスも物件名も東雲。東雲キャナルコート目の前でイオンがすぐそこで生活利便性が良いという新築マンションです。第一期1次販売100戸の平均坪単価は325.3万円と、東雲エリアの新築マンションとしてはレコードを記録しました。
このマンションが販売される前、すぐそば東雲キャナルコート内の中古タワーマンション相場は一部を除き、坪220〜280と、湾岸エリアの中ではかなり選びやすい価格帯となっていました。
東雲1丁目 築浅マンション成約事例:
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プラウドシティ東雲の価格が発表されると、このエリアの代表的なタワーマンション、「パークタワー東雲」と「プラウドタワー東雲」以外のタワーマンションがわかりやすく上がりました。正確に言えば、下限値が切り上がった、とでもいいましょうか。坪220以下の成約事例は昨年9月以降にほぼなくなりました。
東雲1丁目 築浅マンション成約事例2:
Wコンフォートタワーズ・アップルタワー東雲キャナルコート・キャナルファーストタワー・ビーコンタワーレジデンス・ブランズ東雲
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東雲1丁目 築浅マンション成約事例3:
プラウドタワー東雲キャナルコート・パークタワー東雲
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プラウド、パークタワー両タワーのマンションは、まだ直接の影響は見られません。この二物件の取引相場は、そもそも切り上がったエリアの下限値とはほど遠かった、ということなのでしょう。
豊洲4丁目の板状マンションは、プラウドシティ東雲の豊洲駅へのルートと近いところから、ほぼ同一エリアとして、検討者から比較されています。こちらもわかりやすく上がりました。グラフに出すとすべてのマンションがきれいに上がってます。私は東京フロントコート推してたのですが、手頃な価格で出ていた物件はしばらく前に消滅しました。
豊洲4丁目 築浅マンション成約事例:
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新築マンションは莫大な広告をかけて集客するわけですが、その一部の顧客は周辺中古マンションと価格と効用を比較して流れるからです。特に築浅マンションとは機能に大きな差は無いので、純粋にどちらが魅力的かの比較になります(もちろん奥様の新築買え圧って高いのですが)。いわば広告費のトリクルダウンが周辺マンション相場に起きている。
これと同じ現象が、湾岸だけでなく、他のエリアでも見られます。この2年で中古が局所的にものすごい上がったのは武蔵小山ですね。武蔵小山ほど湾岸が上がらなかったのは、新築中古の坪単価差がそこまでではなかった事、中古在庫がそもそも多い事が要因としてあげられます。
新築マンションが出た直後から周辺中古マンションの価格へ波及するには若干のタイムラグがあります。ですのでお得に買いたかったら、「エリアレコードを記録しそうな新築マンションのすぐそばの中古マンション、条件いい部屋を買え!」ってことになりますね。
またこうした相場環境下だと、出た瞬間の新築マンション価格は高いかなと思っても、周辺がわかりやすく上がるのでだんだん相場並みに見えてくる、というマジックでもあります。
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