最近ネタがないので、ask.fmからの質問を載せます。読者様からの質問に答えるケーススタディー集です。
なぜ最近の駐車場付帯率は低くなっているのでしょうか?
Q:
のらえもんさん。こんばんわ。 今日言及されてましたが、なぜ最近の駐車場付帯率は低くなっているのでしょうか?(最近だと3割〜4割程度?) 都心の車離れがあるにしても、マンションを購入できるある程度の所得層であれば所有率は高そうだと思いますし、デベ側としても十分な駐車場がないのは販売のネックにもなりそうですが、どうなんでしょう?
A:
こちらのtweetを見てのご質問だと思います。
この質問、実は一度ブログで書いたのですが、別の視点からも考えてみましょう。
厚生労働省の「平成25年度国民生活基礎調査平均所得」を見ると、この10年一貫して平均所得は下がり続けています。しかし、マンション価格は下がるどころか上がっています。住宅需要は極めて個人的なものから発せられるので、高くなったから購入をやめる、というものではありません。
マンションの価格が上がるということは、他の消費を減らす必要があります。
住宅・車・教育が人生の三大支出ですが、住宅の価格が上がると車が犠牲になるのです。エコとかロハスとかそういう観点ではなく、これは不動産・建築業界と自動車業界の家庭の可処分所得奪い合いレースなのです。
最上階の割高坪単価を購入できる人は車を相変わらず持てますが、大多数の人は車を処分して都会のマンションを購入するようになっています。そのため、湾岸部のマンションの車保有率は下がる一方です。機械式駐車場は莫大なメンテナンス費用が発生することから、「空きがちょっとだけある」状態が分譲後のマンションの経営状態では一番です、満車順番待ち状態は売却のことを考えると良くありません。車を持っている人の選択肢から外れてしまうからです。
そのため、デベロッパーは駐車場の面積を縮小させつつあります。駐車場収入は通常管理費の補てんとなりますから、駐車場付帯率が低いマンションは管理費が高くなるでしょう。それでも、埋まらない巨大機械式駐車場を維持するよりはマシです。湾岸部のマンションは人口の増加と共に生活利便性も大幅に向上しました。そのため車を持たなくても生活ができるようになっています。
豊洲にららぽーとが無い時代のマンション、例えば上図の「東京フロントコート」は豊洲駅徒歩4分にも関わらず、自走式立体駐車場を100%付帯でしかも月1~1.4万円と破格の値段です。決してボランティアではなく、当時はそうでもしないと売れなかったからです(マンション名の冠が”豊洲”ではなく”東京フロント”という漠然とした名称にも注目です。豊洲と名付けてもイメージがそもそもないので売れなかったのです)。今売り出し中の「パークホームズ豊洲レジデンス」は駐車場付帯率が40%ですが、デベはそれでも売れると判断していますし、最近のアンケート調査から駐車場は5割も必要ないことを知っているのでしょう。
一方、ここ最近首都圏高速道路の開通が相次ぎ、車の交通事情は劇的に改善されています。湾岸部は車を使うには非常に便利な場所です。
駐車場付帯率はここ10年で劇的に変化しましたが、これは将来の中古マーケットにおいて、「駐車場が欲しい」かそれとも「より築浅が欲しい」かという軸でまず2分されていくでしょう。
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