こちら、スムログに来たお便りなのですが、なんとなく「マンション購入・住まいを応援するスムログ」とはちょいと毛色が違う質問なのかなと思ったので、のらえもんブログで取り上げることにします。
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差出人: ストレスフル子
メッセージ本文:
初めまして。
今、本気で悩んでおり、藁にもすがる想いでマンションのプロの皆さまに相談させていただきたく、メールをさせていただきました。
4/20に賃貸マンションに入居しました。三〇不動産が展開するパーク〇〇〇ス(郊外の小さな規模の物件)です。賃料は高めですが、耐震性、ペット可(いつか飼えたら飼いたい)、大手なので安心(と人から言われた)、立地、防音性の高さの観点から選びました。何よりも1番重視したのは防音面でした。
以前の分譲賃貸では、幹線道路や隣人・上階の音に悩んでいました。また給気口の部分の戸境壁が薄かったり、隣人が窓を開けているとこちらの生活音が給気口から聞こえている気配もあった為、最終的には他人の音にも自分の音にも敏感に反応するようになってしまい、更新せずに引っ越すことを決意しました。
更に、給気口から入ってくる幹線道路臭や(一時期入って来ていた)タバコ臭、油料理の臭いにも悩んでいたことも原因です。
(この後、ストレスフル子さんのいまの物件について書かれていますが省略します)
あまりに悩みすぎて前置きが長くなってしまいました。すみません。
お訊きしたいことは、座談会でも話題になっていたようにパーク〇〇〇スは結局のところ、どこまでいっても賃貸仕様なのでしょうか?防音設計と謳っていても、以前の分譲賃貸(コンクリ壁220-240、幹線道路沿いの為二重窓、幹線道路の音で他の騒音がある程度カバーされる)の方が防音性は高かったでしょうか?住人も幹線道路沿いに住むくらいなので、ここまで神経質ではなかった気がします。成り行きで幹線道路沿いに住んでいた本来はかなり神経質な私ですら参ってしまうくらい、ここの住人は神経質な気がします。
後日、ご近所と管理人さんへの挨拶の手紙とプレゼントをポストに入れて様子を見るつもりですが、そもそもここは早々に引き払って、分譲賃貸かミュージションなどの本格防音マンション、または戸建てに移った方が良いでしょうか?(中略)落ち着いた環境で頑張るつもりだった在宅ワークも集中できず、その他の時間もリラックスできず、引っ越し早々追い詰められている為、少しでもお知恵を貸していただけますと幸いです。
何卒よろしくお願い致します。
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うーん、まず「防音」について考えてみましょうか。
防音・遮音・静音、、、いろいろ表現はありますが、外側からの音をシャットアウトするのか、内側からの音を外側に伝えないのか、目的がそもそも変わりますね。
幹線道路沿いや線路そば物件によくみられる、T-2/T-3サッシとか防音2重サッシなどは外側からの音を内側に伝えないために採用されます。先日訪問した、ルフォン上野公園ザ・レジデンスは、山手線の方向を向いている住戸は2重サッシを採用していました。サッシから音が漏れているのなら、遮音カーテンなどもありますね。
この他、換気口からの音が気になる場合も。その場合は、換気口にサイレンサーなどを自分で取り付けたりすることにより、音を減衰させることができます。
幹線道路沿いだからといって、スラブの厚みが増すわけではないので、上階でお子さんの走り回るが聞こえなくなるわけではありません。窓を閉め切っていれば子どもの叫び声が聞こえなくなるかもしれませんが…
そして「パークアクシス(あ、言っちゃった)が防音な設計なのか」ですが、もちろん通常の木造や軽量鉄骨アパートに比べて防音面では優れていると思いますが、一般的なRC造分譲賃貸に比べて優れているという点は特にありません。
ここの説明見ても、「これくらいは今日びどこの物件も同程度以上は対策とっているよなー」という感じですね。
ストレスフル子さんが不満を感じているのは主に3点
- 他住民の立てる音が気になる
- 自分自身が立てる音が周りに聞こえているのではないかと焦っている
- 周辺はじめ管理人にも挨拶できていないままである
という感じですよね。まずは3を今からでも遅くは無いのでご挨拶に伺うというのはどうでしょうか。お互い顔見知りだと「ああ、あそこの坊ちゃんが走ってるなー」と自分の中で納得が言ったりします。
1についての解決はシンプルで「最上階に引っ越すしかない」だと思います。マンションの騒音トラブルは左右方向より上下階方向の方が多いもの。最上階ならそのトラブルからある程度解放されます。
2については、最上階に住んだとしても解決されませんストレスフル子さんがおっしゃるとおり、より完璧に自分が立てる音を他の人に出したくないなら、防音音大の前にあるような演奏しても良いミュージシャン仕様のマンションなどに引っ越すしかありません。しかし、再度の引っ越しはまたコストもかかりますよね。
そうなると、部屋内の中にもうひとつ、防音ルームを作るというやり方が考えられます。コストが安く有名なのは「だんぼっち」ですが、そこはコストとの兼ね合いで、もうすこし本格的なものから設置が手軽なものまでいろいろあると思います。
少なくとも、都会で音を完全無音にする住宅というのは無理な注文というものです。音というのは感覚的なもので、いったん気になるとずっと気になってしまいます。遮音を上げるにはそれなりのコストがかかる(だから部屋の中に更に部屋を作るタイプのはだいたいギリギリ狭く設計される)ので、「一般的にクレームが入りにくい最大公約数」に合わせて物件は設計されています。ストレスフル子さんは、最大公約数以上の感覚をお持ちのようですので、どうしてもダメなら、
ソフト的に解決→ご近所に挨拶に行き、音が漏れてそうなところは自分で解決。スラブからの騒音(走る音など)はもう諦める
ハード的に解決→最上階に引っ越して部屋の中に防音室を置くか、音大生仕様のマンションに再度引っ越し
まぁどちらかだと思います!健闘を祈ります。
のらえもん様
ご回答、本当にどうもありがとうございます。かなり精神的に参っていたので、真摯に耳を傾けてお付き合いいただけて、救われる想いです。
1番気になっているのは、2の自分の出す音(にまた反応されるのではないかというビクビク感やプライバシーの漏洩)なので、まずはだんぼっちについて調べてみようと思います。
3のご近所への挨拶も、数日以内に済ませます。それにより、のらえもんさんの仰るように、1もある程度解決しそうです。
それでもダメなら、本格防音マンションも考えてみようと思います。
そして、防音仕様として認識していた設計が特別なものではないとのこと…目から鱗です。某サイトさんに、ミュージション等には劣るものの一応防音設計の賃貸として載っていたので、てっきりそういう仕様なのかと思い込んでしまっていました。もしかしたらかなり古い記事だったのかもしれません。
プロならではのアドバイス、本当に勉強になりました。本当にどうもありがとうございました。