マンション価格が高すぎるという悲鳴のような質問が来ました。
のらえもんさん
夫(33)、妻(31)、子ども(2)の3人家族です。
のらえもんさんが語る湾岸タワーマンションに憧れて、探し始めたものの、高くて私たちには手が届かないと感じ始めました。
(中略)
もう少し待てば価格が下るから待ちなさいと両親に言われています。でものらえもんさんのTwitterを読むとマンション価格は下がらないと読めます。
頭金がもう少し貯まるまで数年待ったほうがいいでしょうか?アドバイスをお願いいたします
マンション価格は下がらない、と私は考えています。いま、テレビを付けると毎日のように値上げのニュースが流れてきます。長らく支配的だったデフレが終わり、ついにインフレが始まった…のですが、残念ながら需要から来るインフレではありません、円安とコロナや戦争によるサプライチェーンの混乱、そして資源高によるものです。
日本の円はいつの間にか相当安くなり、1970年代の水準まで下がってしまったのです。
ご両親は数年待てば価格が下る、というのはバブルからその後長らく不動産価格が下がっていたので、「不動産価格が上がり続けたこの10年はイレギュラーで、いずれ正常に戻る」と思われているのでしょうし、説得力もあるでしょう。しかし、この10年、つまり黒田日銀総裁が行ってきたのは、「インフレが起こるまで日本円を刷り続ける」という方向性でありました。この10年で円の実効レートが3割下がったのは間違いなく、黒田日銀総裁の「成果」とも言えるでしょう。これで国内に雇用が増えて、収入が増えてくれれば狙い通り、といったところですが、物の価格が上がっても、給料まではなかなか反映されていません。もちろん、この期間で最低賃金は相当引き上げられましたが、大企業にお勤めのサラリーマン層は、10年間で給与水準が高くなった、懐が厚くなったとは感じていないはずです。
話をもとに戻しましょう。
土地価格・エネルギー価格・建材価格、土地はともかく、マンションを作るための原価はすべて上昇基調にあります。
この状況下にあって、マンションの価格が下がるのか?答えは否です。コストの顕著な上昇は、将来価格が上がることを示しています。マンションデベロッパーは、赤字ではモノを売りませんから、新築価格はより一層高くなるでしょう。その時、個人が買えるか・買うかは別の問題です。
では、マンションの価格が下がるシナリオはあるのか?のらえもんブログ上で以前からお伝えしている通り、住宅ローン金利がひとつのキーになると思っています。金利が低いままで、かつ夫婦ともに正社員でローンを組める状況であるからいまの価格が正当化されています。
円安を止めるのにひとつの有効な手段、それが金利を上げることです。米ドルが金利を上げて日本円との金利差が広がったので円安が進みました。しかし、低金利に慣れすぎた我が国はこの間、1000兆円の国債を積み上げてしまったので、1%ですら金利上げると大変なことが起こりかねません。金利が上がったらその分毎月の元本支払い余力が下がるため、購入できない人が増えるし、ギリギリ背伸びしていた家族から払えずに手放すケースが増えることが予想されます。
パワーカップルが価格時の上昇に耐えきれず、みんなが徒党を組んでマンションを買わなくなる…需要と供給の関係からマンション価格の下げを考える人もいます。しかし、この場合も難しいかと思います。上記のグラフで分かる通り円の実効レートは1972年水準、この数ヶ月の短期間で更に10%も円相場は下がっています。2022年4月13日現在はもはや1960年代の円安水準に突入していると考えても良いでしょうこうなると、海外からのお客さんのほうがお金を持っているため、購入しに来ます。デベ側も払ってくれるのなら赤字で日本人に売るよりも黒字で外国人に売ったほうが良いのです。コロナが終わって人々の交流が活発に戻れば、購入しに来る海外客が復活するでしょう。海外から見向きもされない場所なら?そこなら価格が下がるかもしれませんね。
−−−
ですので、「マンションをいま購入できる人」「お気に入りのマンションが見つかったけど相場が高いし悩んでいる人」に対しては、「過去の数字はいったん忘れて買えるうちに買ったほうが賃貸から生活のクオリティは上がるし、なにより同じ部屋に住む子どもの成長は全く待ってくれませんよ」と、アドバイスしています。
あ、この予想が外れたら大変申し訳ございません。過去、私はコロナ直後に予言して大外ししたことがあります。
この記事へのコメントはありません。