先日、スムログ上対談を行いまして、デベロッパー社員である和田さんと2人で1.5時間ほどお話しました。その後、NewsPicksから「コロナ後の不動産市場(住宅)について取材したい」と言われ※、これまた1.5時間ほどお話したのですが、語っていくうちに自分の中でもこの2ヶ月間、考えてきたことがいろいろクリアになった気がします。
※きっと、こんな記事を書いたからだ…中の人に読まれたらしい。おそれいります。
どちらの成果もネット上で記事になった段階でまたご紹介いたします。
私、3月中旬に日経平均株価が底のときに、株価はまだ下がると思っていました。だって世界中で人の移動が消えたんですもの。景気が悪くなるのは間違いない。業種によっては死ぬところも多いでしょう。といっても、雇用を多く吸収する産業が見当たらないし、世界の景気だってこれから悪くなる。となると、、、新築マンションについては、体力のないデベロッパーから値引きして在庫を解消していく、だから一部デベロッパーから値下げが起こる、そう予想したのです。
しかし、株価はこのエントリを書いた直前が直近の底でした。ここから世界中で景気対策の発表と超金融緩和が起こり、世界中で株価は急回復しました。
ここでもう一度ファクトを確認してみると、東京都の人口は10年間で80万人くらい増えています。一方で、最悪期だったリーマンショック後の2009年よりも新築マンション供給戸数は絞られています。この2点は、新築マンションの価格を上昇させる要因となります。一方で、雇用者の所得は増えていません。もし不景気になるとしたら所得が減るのでこれは新築マンションの価格を下落させる要因です。
ではどこで釣り合うのか…実はもうひとつ大きな変数があって、それは貨幣価値です。
ステイホームで、数カ月分の個人消費が完全に消えました。これはデフレ要因です。一方で、世界中で超金融緩和と巨額の財政支出の予算が組まれています。日本もその例外ではありません。これは逆に強烈なインフレ要因です。面白いことに、政府支出の増加は赤字国債の乱発であり、通常なら国債金利が上がるのですが、むしろ金利が下がっているのです…金利高の不安が薄らいでいるとなると、昔ほど不景気が許されない時代ですから政府は支出を増やしてでも景気を底上げするインセンティブが生まれます。
デフレとインフレがある程度釣り合い、穏やかなインフレ程度で収まるなら、希少なものにより多くの値段が付き、供給が増やせるものの値段は変わらないか、より下がるでしょう。アメリカでは供給が限られているものの値段が上がっています。
アメリカの物価は一様に上がってきたわけではありません。医療費、学費を筆頭にサービス価格は大きく上昇。一方、モノのインフレは鈍いです。①中国製品の輸入拡大、②ネット通販普及で流通の競争激化、③スマホが既存品(カメラなど)の需要取り込み――などが構造要因とされます。 pic.twitter.com/nBcdcpyK7T
— 後藤達也(日経の記者) (@goto_nikkei) May 25, 2020
私はこの金融緩和で日本も米国と同じように、人・サービスが高級品になり、いわゆる供給が多いモノは下がる…そして希少価値のある不動産は上がると思います。といっても東京でも「希少価値のある不動産」はほんの一部の地域。そして、湾岸エリアは将来的にニュートラルくらいで、多くの郊外(つまり供給が増やせるモノ的な場所)は、価値が低下して下がるのではないかと。
同心円状で輪切りにした時に、外側程面積は広く、希少価値は薄いですからね。郊外でも中核都市駅の駅前などの特殊な物件なら上がる可能性は高いです。
さて今回、コロナ対策の資金供給は強烈でゼロ金利で多額のお金を投資家達は調達しています。その行き先は…実業があるならまずはそちらでしょうけど、そうでなかったとしたら?戦後の歴史を考えると、経済危機の度に格差は縮小せず、拡大する方向に進むのでしょうね。残念ながら今回もその方向に進みそうです。
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