ファイナンシャルプランナーというお仕事は、単なる相談業務では食べていけない、というのが業界の常識と聞きます。そんな中、シェアーズカフェというFPのお店を開かれて業界の常識に挑戦されているのが、中嶋よしふみさん。その彼の著作です。彼のお店へ相談料を払って来店される方は、ほとんどが住宅を購入される方。中嶋さんも、住宅と住宅ローンへの向き合い方について一家言をお持ちです。
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ぶっちゃけ、世の中に流通しているほぼすべての住宅ローン指南本は、私の意見と合いません。
「なるべく頭金を入れるべく貯金をして」「できるだけ低金利で」「節約して繰り上げ返済に」「繰り上げ返済でこんなにお得に!」というような主張ばかりで辟易しています。
例:住宅ローンはこうして借りなさいの書評
中嶋さんの住宅ローンに対する、ご主張は違います。
- 繰り上げ返済は急がなくていい、貯金を増やしてからでいい
- 頭金を多く積むのは間違い。途中の繰り上げ返済でも代用できる
- もし教育にお金をかけたいのであれば、きつくても奥様は退職しない方が良い
といったご主張は、私の感覚とフィットしますし、このような考え方が正しいと私も思います。
また、限界ギリギリの予算で家を買おうとする風潮(そして暗にそれを勧める住宅営業について)ことについても、「家を買うことより、安定した生活の方が大事」と諫められています。
ところどころ私と意見が違うところもあるのですが、それは「日本人全体を相手にした一般化した意見」と「都心や湾岸タワマンのような特殊な世界でしか通用しない意見」の違いでしかありません。私も日本全国で売られる書籍ならこう書くだろうな、と納得しています。
ということで、「これから住宅ローンを借りる人」が読むべき入門本として☆5つです。
住宅というのは、自分と家族の幸せを増加させるための商品ですし、住宅ローンはこれに付随した商品です。
車も、子供の教育も、国内海外旅行も、外食も、服飾も。すべては「自分と家族の幸せを増加させるための商品」です。
恋は盲目といいますか、しばしば「住宅を購入することが自己目的化」してしまう人を多く見ます。なぜだろう、と考えたのですが私の結論は、住宅が人生で買う最大の高額商品だからです。オレはこんなに大きな買い物ができたんだ、大人になったんだ・・・それを乗り越えることに、買ったときには自信と幸せを感じるものかもしれません。
ですが、幸せとはあくまでも多項式の解であって、自分が最大限買える住宅購入が、もしかして家族にとってはそれほど重要ではないかもしれない、ってことは頭の片隅に入れておいた方がいいかもしれませんね。そんな頭の体操にこの本をお供にどうぞ。
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