HARUMI FLAGのモデルルーム訪問記、続きます。
(HARUMI FLAGの”アトラクション”一番の目玉。iPadを持って動きます)
HARUMI FLAGのアトラクションですが、最高に力が入っています。湾岸物件で今まで一番最高の演出だったのは勝どきザ・タワーだと思っていますが、今回はそれに迫るものがあります。ぜひ一度体験してみてください。
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維持費
管理費や修繕積立金も見せてもらいましたが、「あくまでも予定でまだ決まっていません」と念押しされました。それにしても、このマンションの維持費は複雑怪奇です。
PARK C棟6A86A 平米あたり
管理費 棟:180円、街区:53円、全体:89円 = 合計:322円
修繕費 棟:83円、街区:52円、全体:10円 = 合計:145円
PARK C棟6C87B 平米あたり
管理費 棟:170円、街区:53円、全体:89円 = 合計:312円
修繕費 棟:86円、街区:52円、全体:10円 = 合計:148円
SEA A棟4A90A 平米あたり
管理費 棟:140円、街区:68円、全体:89円 = 合計:297円
修繕費 棟:98円、街区:58円、全体:10円 = 合計:166円
SEA B棟4B96 平米あたり
管理費 棟:201円、街区:68円、全体:89円 = 合計:358円
修繕費 棟:115円、街区:58円、全体:10円 = 合計:183円
ということで、「全体管理費と全体修繕費はどこでも統一」、「街区ごとに統一された管理費と修繕費」、「棟の事情ごとに管理費と修繕費が違う」ということで、どの棟を選ぶかで管理費は平米あたり最大60円(=80平米で月4,800円)くらい変わってきます。
更に、入居時に払う修繕積立一時金は120ヶ月分。100平米を超える部屋だと、諸費用の一部として200万円取られます。
管理組合は、全体・街区の二層にわたる管理組合が結成され、街区は棟毎に棟部会を作ります。
街区はSEA(野村不動産パートナーズ)、SUN(三菱地所コミュニティ)、PARKと全体(三井不動産レジデンシャルサービス)それぞれ管理会社が違いますから、細かい管理費の差が出ることになります。街区が同じでも棟別の仕様により、管理費に差がつけられます。初期設定で合計平米500円を超えるSEA B棟の設定は「非タワマンかつ超都心の低層物件でない」点で、北千住の某マンション以来はじめて見ました。この管理費でも、SEA B棟にはコンシェルジュカウンターは無く、お隣C棟に設置されます。
晴海フラッグは街区まるごと防犯カメラがついていて、その数はなんと750以上。この数がどれだけすごいかといえば、日本版ゲーテッドタウンだと言われたセコムが分譲主の「グローリオ蘆花公園」の防犯カメラ台数は120台でした。間違いなく防犯面でも日本一お金がかかっています。
この他、インターネット使用料2,200円、タウンマネージメント費500円、自治会費100円、テレビ使用料550円が、広さにかかわらず一律でかかってきます。このため、月額の維持費は90平米くらいで4.5万円~となっていて、非常に高いと言わざるを得ません。
高額のインターネットは、「強力な通信インフラ」を使って街区をまたいだエリアネットワークが用意されているためだと思われます。テレビ使用料は、4K左旋と8K放送対応のためでしょう。月500円のマネージメント費の行方ですが、晴海フラッグの歴史コーナーのほかにマンション住民のコミュニティ形成のために季節により多種多様なイベントを開くとされていますし、他にもデジタルサイネージの維持費に使われるようです。
(画像出典:HARUMI FLAG公式Webサイトより)
このマンションは、更に全住戸にエネファームと蓄電池を標準装備しています。エネファームは高いエネルギー利用効率をほこり、光熱費が23%安くなるとの謳い文句ですが、私はこの設備は過剰だと思ってます。エネファーム本体の寿命は10年超~15年位らしく、10年を超えて故障して全交換となると持ち主負担です。また一定の使用回数を超えると、継続使用点検をする必要があります。本物件に要望書を提出した人に送られる資料では「継続使用点検を受けても最長20年までしか使用できない」と書かれています。
エネファーム本体価格は補助金適用前で200万円。補助金で数十万円割り引かれますが、どう考えても削減できるランニングコストをイニシャルコストが上回っています。もちろん、停電時でも蓄電池があるおかげで、発電と給湯が可能であることの利便性を割り引いてもです。
プリウスとプリウスPHVとの差額を燃費で取り戻すのは、ほぼ不可能と言われてますが、それに近いものがあります。毎年年間約1.0t(ブナの木なら年間200本分)のCO2削減効果がある!というエコ効果を否定するものではありません。でもPHVに乗りたい、選びたい!という人もいっぱいいるじゃないですか。
長々と、維持費の高さとその理由について述べましたが、すべては快適な生活と最新の暮らしを実現するためであることは間違いありません。使い切れないほどの共用施設を利用できるのは、このマンションに住む方の特権です。なんといっても、地下駐車場で街区がすべてつながって、地上はアスファルトではなく、庭園であるというのは大きなメリットです。地下駐車場の出入り口はすべてのマンションの地下一階で直結していますから、車を使う方にとっては高級感と利便性、セキュリティとプライバシーの確保が圧倒的に高いと感じるでしょう。
周辺相場
本物件周辺の湾岸エリア新築マンションと比べても割安な水準で、それはモデルルームでも事細かに説明されます。プレゼン資料で紹介された物件の2019年2月までの供給平均坪単価は、
- ドゥ・トゥール 中央区 勝どき駅徒歩9分 坪366万円
- ベイサイドタワー晴海 中央区 勝どき駅徒歩10分 坪403万円
- パークタワー晴海 中央区 月島駅徒歩12分 坪344万円
- ミッドタワーグランド 中央区 月島駅徒歩2分 坪428万円
- シティタワーズ東京ベイ 江東区 有明駅徒歩3分 坪344万円
- プレミスト有明ガーデンズ 江東区 有明テニスの森駅徒歩2分 坪305万円
- プラウドシティ東雲キャナルマークス 江東区 豊洲駅徒歩10分 坪328万円
- ローレルタワー ルネ浜松町 港区 浜松町駅徒歩10分 坪451万円
- 品川イーストシティタワー 品川区 品川駅バス7分徒歩4分 坪339万円
- シティタワー品川パークフロント 品川区 大森海岸駅徒歩5分 坪335万円
- シティタワー大井町 品川区 大井町駅徒歩4分 坪433万円
- プライムパークス品川シーサイド ザ・タワー 品川シーサイド駅徒歩3分 坪312万円
ということで、どの周辺マンションよりも坪単価は安い計算となります。ただし、他のマンションは60平米~70平米で刻んでいる事が多く、このHARUMI FLAGのように80~100平米の3L・4Lといった間取りはあまりありません。総額で比べると、こちらのほうが高くなることも多いです。
すぐご近所の板状マンションで築10年になる、ザ・晴海レジデンス(平均成約坪単価270万円)・晴海テラス(同単価坪275万円)と比べても坪単価は、割安感を感じます。もともと、各種報道で坪270前後ではないかと言われていましたがこれだとかなり割安水準で、発表された坪300弱の水準でも一応は、周辺相場と比べて勝ち負けできる水準です。
総評
前のエントリの最後で、”日本が今できる最高水準のインフラに乗った意識の高い生活、というべきものですが、高水準のインフラは維持費の高さに繋がります”と書きましたが、意識の高い生活をするにはタダではありません。料金が発生して、それはこのマンションの持ち主全員で負担するべきものです。
そもそも、このマンションは、水素社会に全ベットした作りです。各街区には水素パイプラインが引かれて、純水素燃料電池が共用部に電力と熱を供給します。うわー、すごい。意識が高い。
(画像出典:HARUMI FLAG公式Webサイトより)
水素エネルギー社会実現の旗振りを、いま日本政府が一生懸命していますが、水素社会って鶏が先か卵が先かみたいな話でして、インフラが整わないと燃料電池やそれを動力とするバスや車が普及しないという矛盾に、なら街をお金をかけていちから作っちゃえ!というのがこのHARUMI FLAGのテーマの一つでもあります。
しかし、本当に水素が次世代の動力源足りうるのか。そもそも私は疑問を持っています。バッテリーの低価格化と進化が、エネルギーの貯蔵と可搬性という水素の持つメリットを上回るんじゃないか。。。特別に作られたプロトタイプはコストが高い。というのはのはガンダム世界の話だけではなく一般常識です。
ですから、この坪単価の安さは、「世界でも最先端にチャレンジする街へのエントリー料」なのです!そのかわり維持費がお高め。都心から直線距離が近いのに最高の陽当り(一部)と眺望(一部)が坪300万弱から楽しめる。最高じゃないですか。ぜひ、晴海フラッグのプレゼンテーションをご覧になってみてください。街全体のコンセプトが好きな人は、絶対にハマると思いますし、自信を持っておすすめできるマンションです。
このマンションを、「駅から遠い」「総額が高い」「維持費が高い」とコスパ的にdisるのは簡単なのですが、普通のマンションとして捉えるとこのマンションの価値を見誤ると思いますね。最新機能満載のプリウスPHVみたいなもんです。そもそも2020東京オリンピックレガシーそのものですし、水素社会の今後の展開によっては、このマンションに住んでること自体がファッションになり得る物件です。
最後に。
海向きの眺望が優れた90平米の部屋に8,000万円を払い、毎月5万円スタートの維持費を払って、固定資産税が数十万円/年かかる。駅から徒歩20分かかるから車が必須だと思いきや、駐車場代は3万円かかるマンション、4,000戸以上あるのに一体誰が買えるんだって?
湾岸に結構多い、物件をフルローンで買う人だと40歳1馬力1,500万円のエリートサラリーマンであっても子どもにちょっとでも良い教育を、と考えだすと資金がショートします。もちろん頭金を貯金や贈与で3,000万円出せる、もしくはフルローンでもいま30ちょいでその年収があれば大丈夫かと。また、夫婦800万円づつの共働きであれば維持可能です。購買層は、東京だけはありません。おそらく日本中だと思われます。日本唯一の選手村跡地分譲マンションを維持可能な経営者や士業、地主の方々はたくさんいらっしゃいます。入居者の平均年齢は他の湾岸物件よりも高いはずです。
私がデベロッパー様に今からでも遅くないので絶対にやるべきだと進言するのは、商業施設をワンフロア増やして、そこにSAPIX晴海校とインターナショナルスクールを全力で誘致することでしょう。特にSAPIXの有無は、ここを買うママさん層にとってはビビットに響くポイントのはずです。
晴海フラッグについては、いくら書いても尽きないのですが、長くなりすぎましたので、また別のエントリにさせていただくとして、一旦ここで筆を置かせていただきます。ありがとうございました。
もし周囲を囲まれたPark VillageのD棟の坪単価が最安だったら、坪単価最高の電車を利用しない富裕層とA棟の富裕層と、バス利用の庶民が同居する街になります。
複雑な管理費・修繕積立金の構成は、嗜好の違いを調整する緩衝材なのでしょうか?
朝日を浴びながら朝食を食べ、風に揺れる公園の緑りを借景しながら昼食、バルコニーのガーデンチェアーに横になりながら、海からの照り返しで日焼けを楽しみ、夕暮れの日の入りを見ながら東京タワーに灯りがともるのを待ちます。
夜風を避けダイニングテーブルからレインボーブリッジの灯りを見ながら夕食、お金を払う価値はあると思います。
エネファームって最新のが入っていて、買い替えが10年後ならもっと安くなるよね?現状100万しないくらいだし、間違った情報かなあと。
ブナの木はたしかによくわかんないけど、
普通のガス給湯器入れるよりはいいと思う。