拙ブログでは今までに「免震と耐震マンションの間取りの違い」や「狭い部屋での収納問題」など語ってきましたが、マンションの間取りを語るうえで、「スパン幅」について別項を設けて言及していないのは片手落ちだと考えました。このスパン幅については本当は長い説明が必要なのですが、図を用いてなるべく簡略に説明したいと思います。
スパンとは「間口の長さ」のことで、
・スパンが狭い=奥行きが長く壁が多い(いわゆる、うなぎの寝床)
・スパンが広い=奥行きが狭く窓が多い
という傾向があります。長○工の板状マンションのほとんどは6m前後で、8mを超えてくると「ワイドスパン」と一般的には言われます。
スパンが狭いことのメリットは上下階防音に多少有利なことと、暖房効率にすぐれているくらいしかありません。圧迫感を感じやすく、通風採光に不利と考えます。
私は、基本的にはワイドスパンの方が良いと考えます。図で説明しましょう。
70平米に固定し、スパン幅を6mから1mづつ上げていくと以下のようになります。板状マンションですと図の上下方向が窓になり、左右方向は壁になります。
70/6 ≒ 11.7m
70/7 = 10m
…
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9mを超すと、縦横比率が逆転します。一般的に部屋の横幅が3mあれば、ある程度のクリアランスが取れますので、スパン幅9m設定の部屋になると南側に3室部屋を並べることができます。
これが8mあたりの微妙なラインですと、3m(LDK)・3m(洋室1)・2m(洋室2)と、洋室2の横幅が微妙に狭くて「使いづらい」設定が多くなります。2mですと、シングルベッドを横向きに設置できませんので、机が小さい子供部屋の完成となります。
スパン幅6mですと3室は無理で、リビングに3.5mほど振り分けると、残りは2.5mしかありません。当然残り2室は北面に振り分けることになります。
こうしてみると、9mスパンがだいぶ余裕あるのがわかります。スパン幅を広くするには、表面積を大きくすればいいわけで、同じ面積で同じ室数とるなら、南面にずらっと並べた板状の形よりも、南面と北面の部屋、もしくは東面と西面の部屋などを用意する等すればできます。さらにタワーマンションは縦に長い構造上、東西南北4面に部屋を用意することになります、採光と販売政策上、北側の部屋のスパン幅を広く取った物件をよく見ます。
トライスター型はタワーマンションよりさらに表面積が大きいので、平均スパン幅の拡張が期待できます。事実、SKYZの東向きはスパン幅が広く取られていました。
もちろん、日本のマンションは長い経験上南側部屋の販売が絶対有利でしたし、建設コストも維持コストも板状マンションのように同じ向きでそろえた方が安くなります。長○工さんの大規模マンションのほとんどが同じ形でスパン幅を6m付近で統一されているのは経済的・販売的に有利な形状だからです。
住宅コストにかけることのできるお金は人それぞれですから、私は否定しませんが、住み心地に直結するスパン幅が狭くなりがちなのはトレードオフの関係となります。
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