2023年12月14日 21時からTwitterスペースでKIZUNA FUCTORY稲垣氏をゲストにお迎えして送らせていただいた「どこにいった湾岸2024年問題 反省会」本エントリはその書き起こしコンテンツです!
のらえもん:みなさんこんばんは、のらえもんです。今日は、ツイッタースペースに稲垣ヨシクニさんをお迎えして1時間ほど、「どこにいった湾岸2024年問題 反省会」と題して行おうと思います、稲垣さんよろしくお願いします。
稲垣:稲垣ヨシクニです、どうぞよろしくお願いいたします。
のらえもん:まず、なぜこのタイトルでやろうと思ったか?をお話させていただきますと、いわゆる「2024年問題」のおさらいをしておきますと、晴海フラッグの引き渡しが一年延期となり、パークタワー勝どきと晴海フラッグの入居が2024年の1〜3月に開始、ここで合計7,000戸近い民族大移動が起こるわけですね。湾岸エリアからの住み替えでこの2マンションに来る人はだいたい1,000戸くらいと予想していて、その他にPT勝どきと晴フラの即転売住戸が全部の10%出るとすると、まさに恐ろしい数が一気に仲介市場に流れ込んでくるわけです。このエリア、年間成約数500戸程度のマーケットですよ?
それを見越した動きとして、2023年秋頃から売出しが増えて、需要を超える飽和状態になり、住み替え先と元の住戸、ダブルローンを嫌う売主から値下げして…というシナリオを提唱していました。しかし、現実には起こっていない。むしろ、2つのマンションの購入を諦めたお客さんが周辺のタワマンを購入していて、特に晴海のドゥ・トゥールなんて特に上がってきています。最後のラストリゾートだった東雲タワマンも猛烈に上がってる。現時点で2023年問題おこりっこない感じ、だから反省会なんです。今の取引状況や雰囲気、今後を確認しようと。
でも、こんなの2021年の時点で読めるわけないよ…と。現場の感覚として稲垣さんどうでしょうか?
上がりやすいエリア、上がりづらいエリア
稲垣:新築が多いエリアは活況になっています。普通、新築マンションが大量に供給されるエリアは頭打ちになりますが、今回は逆。値上がり幅も大きい。逆に、新築の供給がないエリアは、この数年値段が据え置きのところも多いと感じます。つまり「全体が上がっているとは言えない」ということです。
のらえもん:この中でも、築年数によって差が出ますか?
稲垣:築浅、具体的には2010年以降の物件は値上がりしています。築古については値段が変わらないか、むしろ在庫あまりで値段が下がっているところもある。
のらえもん:築浅が好まれている理由は何でしょうか?
稲垣:はっきりいいますと、見た目で選ばれていますね。銀行の評価の出方などを考えても、築浅のほうが選択しやすいです。
のらえもん:月島はそうですね。この1年で評価が上がったのが、もんじゃストリートに面しているMID TOWER GRANDです。新築時は懸念点を言われたものです、やれもんじゃ焼きの臭いが上がってくる、パチンコ屋と同じ棟内とかダメなど。出来上がってみるとパチンコ屋は目立たないし(よくあの程度の露出で抑え込めてます…)、足元に活況がある。良いマンションと評価が上がりました。
稲垣:そうですね、全体的に見て築浅のマンションは新築とも比較しやすく、新築が上がっているので築浅マンションが上がる、そういう構図です。
東湾岸エリアと西湾岸エリアの情報発信量
のらえもん:稲垣さんが西湾岸エリア、いわゆる港区から品川駅周辺の湾岸タワマンの発信者とすると、私のメインは東湾岸エリア、中央区と江東区の湾岸タワマンをメインにしています。しかし、情報発信量に違いがかなりある。私のTLに西湾岸エリアの人ってあまり出てこないんですよね。稲垣さんはどうでしょう?
稲垣:・・・私も一緒ですよ。
のらえもん:西湾岸エリアの人は湾岸と一括りにされたくないとか笑
稲垣:いやいや、それはない。しかし総戸数が少ないというのはありますね。最近入居のタワマンは「ブランズタワー芝浦」と「プラウドタワー芝浦」くらい。これから出るのは、住友不動産と日鉄興和の2つのタワマンくらいですからね。東湾岸エリアの供給戸数に比べると圧倒的に少ないです。
のらえもん:プラウドタワー芝浦のブログを書いても…PV数は東湾岸タワマンほど読んでくれませんでしたね。坪単価600万円近いタワマン住民の方は、ブログなんて読まずに意思決定されるのかもしれません。
稲垣:笑
まだこれから値段が上がりそうなエリアについて
のらえもん:先日、すんで埼玉さんと話したんですが、彼が面白いことを言ってました。
「はっきりいって、今のマンション高騰についていけるのは2馬力の人、つまり共働きです、と。共働きと行っても、東京に通う総合職の2人となる。年収600×2人とか。そして埼玉県は彼らが東京に通うことが現実的な場所でしか、もう値段は上がらないのではないか。逆に言えば、東京都心に無理のない電車通勤ができる埼玉県南の一部エリアだけはまだアップサイドがある」と。
稲垣:ほう。最近は、共働きの人でも高年収の人が多くなってきました。
のらえもん:正直に言いますと、いま湾岸エリアは海外勢の買いがトップラインを形成しています。都内の方もそうですか?
稲垣:予算によりますね。5億円以上の物件を考える方、それは「会社を売却した方」もしくは「海外の方」になりますね。世界中に拠点を持っていて、日本に来た時用の物件として買う方はかなり多い。そして台湾、中国の方が多いですね。彼らは「台湾有事」という日本人が今ひしひしと感じている脅威は産まれながらもっていて、今更という感じでしょうか。
1億円前後というとミドルアッパー層くらいの方が買われますね。昔と違います。
のらえもん:外国勢の買いについて考えたいのですが、今彼らが熱心に買ってくれているのは、円安だからじゃないでしょうか。岸田政権が始まったときは110〜115円でした。いまは145円?一時期150円までいったじゃないですか。3割安だ。そりゃ買いに来ますよ。海外勢の購入は全体の1割かもしれませんが、トップラインの価格相場を牽引しているのは彼らで、相場が引っ張り上げられていることを湾岸からは感じます。2024年に円高に一気に触れたら、また空気が変わる可能性もありますね。
といっても、これからマンション価格はどうなる?
のらえもん:いま日本はインフレにもう一度入っていきました。インフレはものの値段が値上がりしていきます。不動産だけさがるわけがない、むしろ先に上がるもの。もうだいぶ前から上がっていますね。もし、円高に一気に振れたら…?その時は海外勢がいなくなって、緩やかな値上がりになるのではと希望的観測を持っている。
稲垣:とはいっても、建築費が高騰していますから、これからの新築マンションは値上げさざるをえない。新築狙いなら待っていても幸せはない。価格は維持するであろうと思ってます、低金利は続くと思っていますし、金利は長期的に上がらないのでは。個人的にはここでステイしてもらえるといいなと思っている。
のらえもん:新築マンションの値段なんて、デベロッパーの言い値ですからね。これを消費者が買うか買わないかは全く別の話です。給与水準だって上がっていませんから。デベロッパーはまだ値段が上がる、上げるという事業計画ですが、それに日本人消費者がついてこれるかは別の世界観です。そういえば、何年後かに行われる再開発を待ってますがどうでしょう?という質問をよくもらいますが、私の答えはシンプルに「待つの早めた方がいい、今あるものを買っとかないとより高くなるものを買わないといけなくなるよ」とアドバイスをしています。
稲垣:海外だと、そこに住んでいる地元の人が都心部のマンションを持っていないじゃないですか。
のらえもん:まさしくロンドンはそうなってますね。
稲垣:あれが日本にも来ていると思ってます。地元の人は都心から少し外れたところに住む。日本も底に近い様相になるだろうなと。
のらえもん:はるぶーさんと知り合ってから10年以上が経ちますが彼は最初から「日本のマンションが異常なんだ、海外はその国の中心部ではべらぼうな金持ちしか買えない。普通の日本人が一生懸命働いたら都心部のマンションを買えてしまっていた、いまが異常だ」とおっしゃってましたね。
建築費の高騰について
稲垣:建築資材単価が変わっています、世界的なインフレによるものだから歯止めが効きません。円安、労働規制も効いてダブルパンチです。
のらえもん:だから今あるものを買う方がいいんですが…また買ったら買ったで維持していく義務を負います。管理費と修繕費、これはどんどん上がるしかないですね。大規模修繕工事の見積もりを取ると、金額が以前より上がっちゃってるんですよ。やばいですね。
稲垣:といっても、賃貸も上がっています。私の管理物件もマーケットの相場を見て、オーナーさんからあげてほしいという依頼が来ています。交渉することが増えている。東京のファミリータイプの賃料が目に見えて上がっていますね。
のらえもん:借りるも買うも地獄ってわけだ。
この間、ダイヤモンド誌の企画で”デベマン”と話してたけど、建築費が地獄って言ってましたね。建設会社に見積もりを取る。その後企画を煮詰めて再度見積もりを取る、もう値上がりしている。こりゃ販売価格の見直しかダウングレードだ、といっても迷っているうちに更に上がると。
買取再販、どうよ?
のらえもん:この間、「買取再販※の在庫が積み上がっている」というつぶやきを見ましたけど、稲垣さんどうでしょう?
※中古マンションを買い取って、リフォームを入れて再販すること
稲垣:参入業者がものすごく増えたんですよ。2020年では都内で買取再販事業を行っている会社ってざっくり30社くらいだった。今はなんと200社あります。しかし、売りに出されている供給数は変わらないんです。となると、業者間の物件取得の争いが激しくなりますよね?つまり高値で仕入れるということです。
高く売らないと利益が取れない物件が増える=在庫あまりの状況になっていて、値下げしないと売れない。そういう流れです。
これは実際の弊社のデータですが、2021年は物件の取得から再販の決済までのスパンが130日でした。2022年は160日。2023年は200日になっています。
のらえもん:なぜ200社に急増したのでしょう?
稲垣:新規参入業者の大多数が、ワンルームを販売していた業者さんです。彼らは、ワンルームをオーナーから買い取って転売する業者でした。とある事業者が価格破壊を起こしたので、このワンルーム再販事業が成り立たない、そこで買取再販に参入してきているのです。
対談本編はここまで。続きの寄せられた質問にお答えした部分はこちらからどうぞ
次回は2023年12月23日21:00〜同じくスペースにて、「マンションの売主であるデベロッパーとインフルエンサーの関係性について」というマニアックな話題を1時間お伝えします!まだの人は予約登録しておいてね!
先日、タイムラインを駆け回った話題とこれからのネット発信のあり方はどうあるべきか、つらつらと1時間語ります。
このテーマは@okapi_poke さんに提案されました。
クリスマスイブイブの夜なのに、こんなテーマのスペースを聴ける孤独な中年男性はぜひ聴いてください!https://t.co/6Z1x5Oj9JU— のらえもん (@Tokyo_of_Tokyo) December 16, 2023
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