モデルルーム訪問

住井はなさんに聞く「コロナ後のマンション販売手法や流行している設備」

すまいよみさん対談に続き、新都市生活研究所ブロガー同士の対談企画第二弾!

新都市生活研究所が運営するマンション内の暮らしを紹介するメディア「としとくらし」の編集長で、スムログやTwitterでもおなじみのマンションブロガー「住井はな」さんに「コロナ後に変わった?マンション販売手法や流行している設備」というテーマで1時間ほど語りました!コロナ後のモデルルーム訪問数は10数回しかないのらえもん(逆に私はマンションブロガーといえるの…か?)が、いまも精力的に訪問されている住井はなさんに、教えを乞うというコンテンツです。

のらえもん(以下のら):住井はなさん、いつもありがとうございます。はなさんは、様々なデベロッパーのモデルルーム訪問を精力的に行っていらっしゃいますが、2021年、いやコロナ前とコロナ後でマンションの販売手法が明らかに変わったな、と思った事を教えていただけませんか?

コロナ後のマンション販売手法

住井はな(以下はな):そもそもの話として、モデルルームに人を呼ばなくなってる傾向があります。以前は、モデルルームにまず来てもらって気分を上げてもらいたいという狙いがありましたが、今はモデルルーム訪問の前にエントリーした人からオンライン商談を開始するケースも増えています。公式ホームページ見ても案内が始まっていないようなのに、実は事前案内が始まっているパターンです。
オンライン商談で価格も話してしまって、それでも買う気のある人、かなり確度の高い人だけをもうモデルルームに呼んでいますね。ですから、モデルルームに来たら購入まで早くなったとも聴きます。モデルルーム訪問は最後の一押しだったり、検討はもう終わってて間取りを決めに行ってる、みたいな。

オンライン商談の流れ。画像出展:クレヴィアタワー御堂筋本町公式Webページより。

はな:棟内モデルルームも増えています。これも決まるまで早いと。私は関東エリアしかわかりませんが、関東エリアのコンパクトマンションだと、7~8割くらいはもう青田買いじゃなくて竣工売りじゃないかな。モデルルームを作らない、棟内で販売する。パビリオンを作るのは大規模マンションとなっていますね。

のら:モデルルーム、マンションギャラリー、パビリオン。呼び方はそれぞれですが、作ること自体が減っているんですね。竣工売りと青田買いの境目はどのへんでしょうか?

はな:体感ですが、100戸以下くらいでしょうか。実物を見せて売るっていうのがすごく増えています。

のら:それって本質的にはいい傾向だと思いますね。

はな:そうですね。イメージではなく実際の間取り、天井高、仕様が見ることができる。通風や日当たり、騒音も実際にチェックできるという意味では、検討者側としてもメリットです。モデルルームだって、自分のプランじゃないと全然イメージわかないですし。実際に買える部屋を見れますから、住んでからのギャップが少ないでしょうね。だからすぐ決まる。物件見学に行ったら、もう契約の早い人の内覧会は始まってるみたいなこともありました。竣工売りだと、割とすぐ入居できるのも大きなメリットですね。

のら:僕は実は大規模マンションしか、買ったことがないです。第一期に買うと最初の契約のハンコをしてから実際の入居まで、2年後、3年後まで引っ張られるじゃないですか?ワクワクもするけど、ダルいですよね。

はな:ふふふ、そうですね。検討者にとっても、優しくなっているのかもしれませんね。そう思いつつ、私自身はモデルルームで感じる「ワクワク」が好きなので、この傾向はちょっと寂しいなって思うところはあります。といっても、モデルルームすら全く作らない物件も実際出てきています。VRで部屋を全部の部屋を見せます!だから実物作りません!とか。

のら:時代かもしれないけど、それは寂しいなぁ。

はな:あとは前々から住友不動産さんがやってる合同マンションギャラリーですね。住友不動産さん以外のデベロッパーさんでも増えていますが…物件によってちょこちょこ仕様が変わるのでモデルルームから実際の物件はイメージしづらいです。この間取りは実際にはありません!もう少し狭いです、天井高も違います、とか。

のら:普通のモデルルームでも、間取りが50ある中で1つか2つの間取りを再現しています、なので残り48間取りを買う人にとっては実際にはイメージでしかないんですが、「そもそもこの間取りはこのマンションにはありません」と言われちゃうと何のためのモデルルームなのか、わかりづらいですね。

はな:集合形態のマンションギャラリーなら、リビオライフデザインサロン上野はよくできていました。

のら:私も同感です。あれは一緒に行った、はるぶーさん・すまいよみさん・私、全員高評価でした。モデルルームではなくてコンセプトルーム形式でスパっと割り切っているのもよかったですね。レポートも書きました。

はな:ワクワク感も出てたし、一方で”黄金間取り※”のプランもきちんとあったし、これ面白いなぁって。

※リビオの黄金間取り。33平米の1LDKでリビング脇の洋室は狭いながらもセミダブルベッドが置けるプラン。ミニマムサイズながら考え抜かれている。画像出展:リビオレゾン天王寺真田山公式Webページより

のら:企画者にお話も聞けましたが、あの三面ディスプレイの展示で「これで販売のフックになりますか?」「気分が上がりますか?」って何回も聞かれました。伝統的なバリバリオプションと高い家具を入れたモデルルームで気分を上げるのではなくて、別の形で気分を上げようとしている、そこは一緒だなぁという感想です。

はな:コロナだから変えた、というわけではなくその前から考えていたとは思いますが、コロナが販売手法の変化スピードを速めた、というのはあると思います。

あと、デベロッパーが「購入意欲がまだはっきりしていない人」の相談に乗る、というのもやり始めていますね。このリビオもそうですが、野村プラウドさんも始めています。担当者が話を聞いて、物件だけでなくお金の相談もできます、例えば、フリーランスになってまだ日が浅い人の住宅ローンについて、詳しい人からの相談もできるとか。知識が豊富な人が相談を受けてくれるので面白かったです。あと、顔を出さなくてもいいんです。

のら:知識が豊富な人って雇って維持していくのが大変だから、デベがその辺を負担してくれるのは面白いですね。

はな:画面に資料を映してくれますが、割と初心者向けです。「どこから始めればいいの?」から相談できますね。ニュアンス的には顧客を育てる、のような。野村さん日鉄興和(リビオ)さんのチャレンジからは感じます。相談を受けることで、ブランドのファンになってくれればいいみたいな。

のら:この2デベに限らず、モデルルームでオラオラと営業していくスタイルを取るところはほぼ見なくなってきました。私が物件を見ていた最初の頃は次回の予約はいつ?次はどうする?と販売員から詰められた気がします。

さて、最近流行っているマンション設備、仕様はありますか?

最新のマンション設備事情

はな:コロナ禍で、「非接触」モノは明らかに増えています。エレベーターや、タッチレス水栓。最近の企画では劇的に増えました。

LIXILのナヴィッシュ。タッチレス水栓装備は増えました。画像出展:LIXIL公式Webページより

はな:非接触エレベーターも種類があって、住民の鍵をかざすだけで、自分の階に行ってくれるのもあれば、手のモーションでコントロールできるのもありますし、種類も様々ですね。モーションで動くのはかっこよかった!

のら:えー、おもしろい。

ルフォン東中野三丁目公式Webページより。左側の手かざしで上下に手を振ることで、上下階ボタンを兼ねています。

はな:コロナ前だと非接触エレベーターは見なかったので、最近の流行ですね。意外とコンパクトマンションに多く導入されています。逆に、大規模では非接触エレベーター見ないですよね?のらえもんさんが見ている物件ではありました?

のら:いやないですね。大規模だと企画がまだ追いついていないのかな。

はな:コンパクトでは増えています。あと、私も一回しか見たことないんですが、京都のコンパクト物件で1階のラウンジに手洗いカウンター作っていましたね。

のら:ザ・パークハウス堀川六角ですね。私も初めて見ました。あそこで洗ってから自分の部屋に戻る人いるのかなあ?

はな:どうなんでしょうね、でもなんか面白いなと思いましたよね。

のら:手洗いカウンターは、共用部にハマる空間がたまたまあったのかもしれませんね。

はな:あと、玄関前の各戸宅配ボックスはやたらと増えました!ちっちゃいのから大きいのまで良く見ます。大きな玄関前トランクルームと宅配で共通で使うタイプもありました。

のら:玄関前宅配ボックスは今の時代マストアイテムに近くなったでしょうね。しかし、トランクルームと宅配ボックスが共用する場合は容積率不算入の対象にならなかったのでは…防災倉庫と兼ねているのかしら。トランクルームだと自分の荷物が入っているところに業者さんが開けて宅配を置いてくれる運用ですか?

はな:トランクルームの隙間に業者さんが開けて入れてくれる運用だったはず、私は気分的にちょっとひっかかりましたけど。でも共用廊下にそのまま置き配されるよりはいいと思います!

のら:コロナ禍でECは爆発的に伸びましたもんね。一方で再配達の手間は数年前から問題になってたし、玄関前の宅配ボックスは今の時代に欠かせない便利設備でしょうね~

ザ・パークハウス堀川六角の宅配ボックス

はな:でも、大規模マンションだと、各戸前宅配ボックスよりも集中宅配ボックスがまだ多いと思います。

のら:宅配屋さん視線からすると、1階に宅配ボックスがいっぱいあってくれる方がエレベーターと横移動が無くて済むから楽なのかも。少し前のタワマンとかを訪問すると、ここまで宅配が増えることを想定していない造りなので、それこそ共用廊下にヤマトの荷物が一時置きであふれかえっている、みたいなのを見ます。宅配ボックスはいくらあっても足りないくらいでしょうね。

はな:そういえば、10年前、15年前くらいのタワーマンションにお呼ばれするといまよりエレベーターが多いなって感じます。今の方が少ない。

のら:エレベーターはコストもかかりますし維持費も相当ですからね…頻繁に使う宅配業者の動線については前より今のマンションの方が考えられていると思います。

はな:あと、部屋の中の空調に気をつかっています!というマンションも増えました。ウイルスや花粉を除去します、みたいなうたい文句を今年は多く聞きました。

ザ・パークハウス堀川六角の専有部廊下にある換気扇。ウィルスや菌、花粉の抑制、脱臭効果などがあるそう。 住井はなさんザ・パークハウス堀川六角訪問レポートより

のら:たしかにあるあるだ…!天井埋め込みプラズマクラスターとかきくようになりました!

はな:もうひとつ印象的だったのは内廊下物件なのに採光用の窓を付けているところもありました。家にいる時間が長くなったので少しでも明るく過ごしてほしいということなのかな。

のら:それ、超高級物件ですか?

はな:いえ全然。近郊のコンパクト物件です。
テレワークスペースをアピールするモデルルームは凄い増えています!タイプもいろいろあって

  • 収納をテレワークスペースにもできるますよ、という提案だったり、
  • 少し広めの寝室に、パソコンが置けるカウンターが付いていたり、
  • ベランダ側に3畳くらいの洋室があって、そこでテレワークできますというアピールだったり。

のら:田の字間取りのリビングでも従来収納にしたところをカウンター入れてここでテレワークできますという物件もいっぱい見ました。

はな:収納スペースがテレワーク兼用できますという提案はいっぱい見ましたけど、個人的に流行らないかなとは思います(笑)

のら:空調がないもんね。締め切ると暑そう。

はな:窓際に3畳テレワークスペースという提案は多いです。ちょっと前だと、「3畳?中途半端なスペースでどうして区切るの?」と思ったじゃないですか。でも実際にテレワークしている身としては、3畳くらいで仕切られたスペースがあり、かつ窓があるとそれは集中できる気もします。あとは、寝室にカウンター作ってワークスペースも見ますね。

のら:夫婦どちらもテレワークだと、機密の問題もあるし、同じ部屋でテレカンできないから、小さい個室とか寝室兼務とかニーズあるんでしょうね。

はな:あえて離れを作る提案もありました。

のら:伊藤忠のHANAREですね、男の夢。

クレヴィア山吹神楽坂公式Webページより。

はな:(笑)。でもCMではHANAREを使うのは女の人だったんです!子供たちが邪魔してきてパパが面倒見て、お母さんが1人で離れを使うみたいな。CMだからちょっと気遣いがあるような気がします、なんで、いつもお父さんなんだと言われないような。

のら:ほかのデベさんで見ますか?

はな:んー見ないですね。伊藤忠さんの個性ですね。

これから廃れる?設備

はな:今回のテーマと外れちゃうかもしれませんが、私の今後の予想を。「チャイルドミラーはこれから減っていく」と思います!

のら:チャイルドミラー?

はな:洗面台の下のミラーです。

のら:!!!大人からするとあそこは汚れるし拭くのが面倒なだけのスペースですね。

はな:昔、チャイルドミラーが始まった時はすごいアピールしてたと思うんですけど、使った人たちの声が集まると、そこ汚れるしいらないでしょ。ってなったのかも。最近のモデルルームではオプションでモザイクタイル貼りにしている例が多いじゃないですか?今後は、標準でタイルにして鏡にしないのが増えていくと思います。今はチャイルドミラーのアピールもしていません。

ザ・パークハウス堀川六角は下側はミラーではありませんでした。

はな:細かいところでは、洗面台下の綿棒入れとかは無くなっていくかと。

のら:おー、あのパカパカ開く部分!私は使ってないからわからないけどそうなんですね。

はな:ちょっとだけ入るスペースなのですが、ガチャって音がうるさいのと意外と物が落ちるんです、裏に。だから、これもアピールしていたけど、意外と使いにくいからだんだんなくなっていくんじゃないかな。予想でした!

のら:ありがとうございます、設備の細かいところまでチェックされているのはさすがだと思います!ずっとモデルルーム見てきて仕様の変化や販売手法の変化を語れる人って世の中本当にいないと思うので貴重なインタビューでした。来年もよろしくお願いいたします!

はな:ありがとうございました!

次回は、「はるぶーさんに聞く、2021年のマンション管理トピック」です。

 

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