最近、のらえもんに立て続けに3件相談が寄せられました。相談内容はほぼ同じで「HARUMI FLAG(or幕張スカイグランドタワー)とザ・パークハウス新浦安マリンヴィラを並行検討していたのですが、晴海が発売延期してしまったのでマリンヴィラの方を真剣に考えています、どうでしょうか?」と言われたのですが、湾岸妖精、新浦安はノーマークエリアで正直答えようがありませんでした。
このままではいけない。そういうムーブメントが一部でもあるなら見なければ。
ということで、新浦安まで行ってまいりました!
見た後、「なるほどここを検討する人の気持ちもよく分かる…」という内容でしたので、こちらのブログで報告させていただきます。なお、販売員からは「湾岸エリア、特に豊洲や有明から一定のお客様がいらっしゃいます」と自信満々で言われました。知らなかった。
新浦安駅前のバスターミナルで現地行きバス停の場所に迷い、バスに揺られること13分。現地に着くと広大な敷地に建設中のマンションとモデルルームが姿を現します。
キーコンセプトは「RESORT, MADE IN JAPAN」
モデルルームのコンセプトムービーでは、リゾートマンション的な紹介のされ方をされていました。本物件の共用施設ではレンタルルームがあり、キャンプセットもビアンキの自転車も、サップ(!!)も貸してくれるらしいです。なお、子どもが二人いる夫婦の設定でした。最近の都心マンションのコンセプトムービーでは、夫婦二人もしくは一人っ子設定が多かったのでそこも雰囲気違いますね。
さて、本物件は工区が第一期と二期に分かれており、入居も分譲も別時期に行われます。今は第一工区の販売が行われています。
海側のテラスプラザとベイプラザが第一工区で2022年1月入居。敷地内真ん中を通るヴィラプロムナードを挟んだ向こう側、サニープラザとカームプラザは第二工区で2022年11月入居となります。団地全体で管理する分の負担する分の関係上、第一工区の住民は、第二工区の入居が始まると管理費が安くなる珍しい設定です。
物件概要:
- 物件名:ザ・パークハウス 新浦安マリンヴィラ
- 地上4階建15棟構成マンション
- 総戸数528戸
- JR京葉線・武蔵野線「新浦安」駅(南口)より18系統バス13分「高洲海浜公園」バス停下車徒歩1分
立地・周辺環境
新浦安の新町(日の出・明海・高須地区)に似た場所を無理やり上げるとすれば、幕張ベイタウンかと思います。同じ海沿いに計画的に作られた街並み、平成に入ってからの開発、広い道路と歩道、駅前にはパチンコ屋やいかがわしいお店などは排除など。暮らしやすい環境は揃っています。
ただ、冒頭にも述べた通りここはバス便マンション。毎日の通勤はバスを使うとしても、週末含めて生活を考えれば車が必須の場所です。このため、駐車場の付帯率も100%と全戸1つ割り当てられています。ただし新浦安では珍しい、一部機械式駐車場設定…ここは高さ制限12m地区のため、4階建て低層マンションの15棟配置にせざるを得ず、広大な敷地をもってしても建築面積が喰ってしまい、自走式駐車場の面積が全部とれなかった、と推察します(なお、ライバル物件のクオン新浦安はここよりきつい高さ10m制限のため、1F住戸が半地下設定です)。4階建てだから「ヴィラ」を名乗ってます。
すぐ隣の街区には大きめのスーパー「オーケーストア」がありますが、ここは21時までの営業。最寄りのコンビニは駅側に歩くこと15分以上行ったセブンイレブンか、橋を渡った向こう側の三井ガーデンホテルプラナ東京ベイの中にあるナチュラルローソンにいくしかありません。どちらにしても、つっかけでちょっと、という距離ではありません。
本物件は上記マップで分かる通り、居住可能なエリアの一番海際となります。道路を挟んだ向こう側には高須海浜公園があり、その隣つまり本物件の正面側は現在重機が入っている場所となりますが、浦安市の土地利用計画では「観光漁業基地」となっていて、何が建つのかはちょっとわかりません。なおモデルルームの立っている場所は「誘致施設用地」となっていて、将来何が建つのかはまだわかりません。
この土地利用計画を見ると、もうほぼ土地は残っていないことがわかります。500戸を超える大規模マンションかつ新町エリアでは「プラウド新浦安パームコート」以来の実に10年ぶりの大規模マンションとなります。
本物件最大の魅力となる、部屋から海が見える箇所は、第一工区のテラスプラザとベイプラザの南東向き、こちらの3Fと4Fになります。
当然、この2棟の南東向きは最も高い坪単価が付けられています。最上階から階段を登ってさらにルーフテラスに出る設定住戸もありましたが、一期一次で瞬殺となりました。地元買い替え需要強い。
建物・内装
さてこちらのマンションの注意点を上げるとすると、
- 東京湾向き2棟はハイサッシ(2200mm)設定、それ以外は通常サッシとなります。
- フロアや棟ではなく、専有面積で内装ランクが分かれます。~106平米からの設定となる白基調の内装が人気とか。
その他の仕様は以下の通り
- リビング天井高2450mm
- 奥行2000mmバルコニー
- スラブ厚200mm、直床二重天井
- ディスポーザー有
- タンクレストイレ
- オール電化
- 保温浴槽
- 可動ルーバー面格子
先にも書きましたが、本物件は12m制限地区の4階建てなので階高は3m以内。長谷工さん施工のマンションの中でも、ランクは上の方を使用されていますが、驚くほど高仕様というわけではありません。
一方で特筆すべきなのは、このマンションが「ZEH-M Ready」仕様であることです。徹底した高断熱により、光熱費が年間10万円ほど下がると聞いてほう、と思いました。「断熱がいいので床暖房はあえていれていません」と言われましたが、そこまで自信があるのか…普通はバルコニー側と共用廊下側の2面しか断熱材を入れませんけど、こちらは左右の戸境壁、更には天井にも断熱材が入っている、五面断熱とのことでした。
戸境壁に断熱?と思われるかもしれませんが、これは批判が多い、いわゆる「長谷工二重壁」部分にきちんとウレタンを吹いて充填しているということですね。コンクリ壁に直接施工だとできない仕様でして、二重壁をうまく使っているなと思います。
また、低層であることを活かして屋上に太陽光発電を並べていますね。この太陽光で専有部の電力が賄えるわけではありませんが、毎月の管理費は若干ではありますが下がるということです。
よっぽど自信があるのか、上記のような「いえの燃費」という資料まで渡されました。上下左右が保温になる関係から、角部屋や1F最上階住戸ではなく、中住戸の燃費(というより保温性)が特に良いのですね。
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共用施設
敷地内に共用棟が2つ用意されます。それぞれ「ヴィラハウス」「アネックスハウス」と名付けています。
メインエントランスの横にあるヴィラハウス・ブックカフェには、TSUTAYAがセレクトする1000冊の書籍が置かれます。こちらでは有料でコーヒーの提供もあるようですね。また、近所の公園などで楽しむためのレンタル道具があるレンタルスペースが配置されます。
敷地の東側にある「アネックスハウス」には、1FにパーティーリビングAとB、2Fには宿泊施設であるヴィラスイートAとB、そしてフィットネススタジオが配置されます。
さらに第二期工区となる、サニープラザの1Fに無料で利用できるコ・ワーキングラウンジが用意されます。営業の方によればここはフックが強いとのことでした。
ベイプラザの1Fには「ウィズラウンジ」にはボーネルンドがプロデュースするキッズスペースができます。
500戸規模のマンションと考えると、共用施設は充実している方ですね。
価格
現在、第一工区のテラスプラザとベイプラザ、そしてカームプラザの一部が売り出されています。第一期が終わって、いまは先着順販売の時に行きましたので、本物件で一番良い条件の東京湾が見える南東向きの最上階はほぼ売り切れていましたね。その他でしたらまだまだ選べます。
第一工区の全戸平均坪単価坪単価は220万円ほどでしょう。坪単価だけで考えるとマンション高騰期にこの価格はかなり魅力的(実際、東京近郊エリアなら坪単価最安クラス)!!!とも思えるのですが、平均専有面積96平米という物件ですので、総額6000万円、7000万円が中心のマーケットとなります、そしてこの価格帯は東京23区と一部被ります。
部屋から毎日東京湾が望める価値は、約600万円。
そして東京湾沿い棟の一部最上階のみに設定されたルーフテラス(5380mm x 6650mmの屋上空間)を専用で使える価値は、約1000万円となりました。
この価格設定でも、ルーフテラス付き含めて最上階はほぼ瞬殺だったので、既存新浦安住民の買い替え客にとっては安かったのでしょうね。「ここを落ちたら買わない」という指名買いも多かったそうです。
さて、仕様が良いわりに東京近郊物件の坪単価としては最安クラスですが、本物件はバス便物件ですから、その分は大きく割り引く必要があります。新浦安駅からJR京葉線で東京駅まで直通16分!と強調されても、駅を降りてから物件までバスで15分弱かかるとなると…乗り換えなどのタイムロスを考えると、実質的に海浜幕張徒歩13分物件と東京駅(実質有楽町駅)までの時間はほぼ同等ではないでしょうか。そう考えると、街自体のコンセプトの近さから言っても本物件最大のライバルは、やはり「幕張ベイパーク スカイグランドタワー」なのでしょう。
また、新浦安の新町エリアでは、専有面積100平米超えが当たり前ではありますが、本物件は平均専有面積96平米、そして86平米設定が非常に多いことを考えると、将来の競争力的にどうか、というお声があることも一部ありますし、同意もします…しかし、それでも90平米以上あればほとんどの人は不自由することのない広さとなりますし、周辺大規模マンションより築年数が最低10年以上新しいですから、中古になって横一線に並んだとしてもそこまで不利にはならないのではないか?と判断します。
また、南東向き住戸と北東向き住戸でさほど坪単価差がないのは驚きました。東京湾沿いに近いバス便物件であることを考えれば、総額的に届かないならともかく、この価格差でしたら、日照条件の良い南東向きを購入した方が良いかと考えます。できれば東京湾に面した2棟ですが、海が見えないバス便物件住戸がほぼ7000万円~ということを考えるとちょっと勇気がいるのは同意します。
通常、マンションの1Fは下からコンクリートが冷えることもあり、敬遠されることも多いのですが、本物件はZEH-M Readyを満たすため、ピット階にウレタンを吹きつけて断熱するという徹底ぶりです。中住戸ほどではありませんが、1F住戸の寒さ・湿気という点では気にする必要はありません。となると、防犯上の問題とプライバシーですけど、一部の1F住戸は「バルコニー側から専用駐車場に出られる」という設定があると聞きました。通常、防犯を気にしてそういうことはしないと思うのですが、新浦安の新町エリアの治安の良さを考えれば、日々の利便性が勝る、ということなのでしょうね。こう考えると、1Fと2Fの価格差を見ると、日照条件が良いなら1Fも大いにありだと考えます。
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比較対象となるマンション
新築マンション
晴海フラッグ:東京都でありながら、潜在的に本物件最大のライバルとなります。駅が遠い・周りに何もなく陸の孤島・6000~7000万円で新築3LDKが買えるという価格帯・広めの住戸が多いというコンセプトとなると、やはり晴海フラッグが比較一番手候補に上がるはず。違うのは「必ずしも車を前提としない」「何もかも新しく作る」「なんだかんだいっても東京都中央区」という3点になるかと思われます。
晴海フラッグの方が管理費・修繕積立金を考えると、1~1.5万円前後高く、更に機械式駐車場利用料で考えると晴海(3万)、新浦安(0.6~1万)と高コストになります。車前提の生活で比較すると晴海は毎月3~4万円の維持費増加は見ておかないといけない。金利1%35年換算で、月4万円の増加は1400万円となり、実質の差額は坪単価以上です。
5~10年くらい住むと考えると、晴海フラッグは周辺中古よりも棟によっては安い一方で、新浦安マリンヴィラは周辺中古より2割程度高いので(周辺は10年以上経った中古が多く、15年落ちマンションでも坪160万円程度であるので築年数補正をかければほぼイーブンともいえる水準)、10年後今と全く同じ市況だったと仮定すると売却込みでの「車あり10年間の総保有コスト」はあまり変わらないかもしれません。あと、2024年3月入居というのはかなりネガティブポイントですね。
マンションブロガーのらえもん渾身の晴海フラッグレポートはこちら:
幕張ベイパーク スカイグランドタワー:最初にのべましたが同じ千葉県で、まったく新しい街という点では新浦安と幕張はよく似ています。更に坪単価220万円とこちらもほぼ同じ価格帯。スカイグランドタワーは海浜幕張駅から徒歩13分と歩ける距離の一方で、新浦安マリンヴィラは駅から徒歩圏内ではないため、東京駅まで毎日通勤する実質の分数を考えるとほぼ同じと判定します。
維持費はスカイグランドタワーの方が管理費は若干安いが修繕積立金は高い。駐車場料金は自走式1Fで1.8万~屋上で0.9万円のため当初の維持費はほぼイーブン。もちろんタワマンのため、将来の維持費はスカイグランドタワーの方が高くなるでしょう。
タワーマンションと低層マンションのため、タワーマンションに憧れがある方はスカイグランドタワーを並行検討しても良いと思います。
クオン新浦安:モデルルーム未訪問のため、詳細なコメントは差し控えます。ただ、こちらよりも高級志向で低層免震という凝った作りです。その分坪単価も高めですね。
中古マンション
新浦安新町エリア(高洲・明海・日の出アドレス)の大規模マンションが比較検討対象になるかと思います。
日の出エリアの「パークシティ東京ベイ新浦安Sea/Coco(2004/2005)」は直近1年間に5つの成約があり、平均成約坪単価は坪179万円でした。専有面積はすべて100平米を超えています。
明海エリアでも利便性が高い低層の「プラウド新浦安マリナテラス(2009)」は坪216万円と築10年を超す物件ながら本物件にかなり近い成約となっています。
同じ高洲エリアで一番築年数が近い「プラウド新浦安パームコート(2011)」はこの1年で8つの成約があり、坪177万円でした。100平米超えで眺望がさほど望めない部屋は5000万円を切るくらい、10階を超えると5000万円後半に乗ってくる相場観となります。
本物件は駅から遠いのですが、新築マンションであることを考えれば、坪220万円というプライスは、ご近所からの買い替え客が半数を占めるというのもうなづけます。
液状化をどう考えるか
総評に入る前に、新浦安のマンションを語る上では避けて通れない液状化についても語っておきましょう。
液状化についてはのらえもんさんはどうお考えでしょうか?高洲という立地状、高潮と工事が有明より古い作りの液状化が心配です。その分有明などより安いからしょうがないのでしょうか。
— ワーママYU (@cookmama2mi) January 9, 2021
本物件の敷地に関しては液状化対策が施されており、その点では心配ありません。東日本大震災による液状化で大きく被害を受けたのはマンション躯体ではなく、そこに接続するインフラ部分。つまり道路と下水管でした。震災後に道路部分の地盤改良は行われましたし、下水管も強度の高いものに交換されています。そして新町は、他所の人が思うほどには液状化の被害が少なかった、というのことも事実なのです(報告書のリンク)。マンホールの浮きやケイヨーデイツー、ヨーカドーの被害等はありましたけどね…
地震で人が無くなるのは、津波・建物倒壊・火災の3つです。液状化では人は死にませんから、生死の問題ではないことは確かです。液状化しない台地に住みたかったら、海の周りのリゾート感ある場所はハナから選択外でしょう。私は、メリットデメリット考えてもメリットの方が大きいと考えます。それは東京湾岸エリアにも同じことが言えます。新浦安のマンション価格は震災後3年をかけて元に戻ったのはその証です。
総評
「駅遠戸建てとリゾートマンションを足して2で割った感じだったな」というのがモデルルーム訪問直後の印象です。
本物件をデベロッパーが入札で取得したのは震災直前の2011年3月4日でした。お話は聞いていませんが、このマンションの企画を考えていた頃は、最近の新築マンション販売トレンドと真逆な立地であることもあり、危機感はあったかと思います。それがZEH-M Ready採用など仕様の高さに繋がったと推察します。
そして、コロナ禍で在宅ワークが急速に普及したことは、本物件からすれば神風に近いものだったはずです。また、晴海フラッグが五輪の延期に伴い、販売中止と引き渡し延期になったことから、2024年3月入居を待ちきれない需要の受け皿になっていることも確かです。この2つの僥倖が本物件を魅力的なものとしております。
新浦安は千葉県の中でも相当特殊なエリアです。新築マンションで専有面積100平米がゴロゴロ。総額で6000、7000万円を超えるようなマンションが大量に売れるのは千葉県の中でもここしかないでしょう。住民の学力のレベルは相当高く、中学受験を考える方も多い場所です。車があれば、大型スーパーやホームセンターにすぐ行けますし、イクスピアリもすぐ近くですね。家族がディズニーファンならここは幸福度が高そうです。こちらをお考えの方は、周辺の中古も並行して見られて、「100平米を超えるマンションとはどういうものか」を一度実物で体験されたら良いかと思います。
私は、在宅ワークが多くなったとはいえ、やはり通勤の事は考慮に入れる必要があります。そう考えると、ここはちょっと通勤には辛いな、という判断でした。ニッチなニーズかもしれませんが、週4・週5在宅ワークが確定して”広いマンションに住みたい”方にとっては非常に魅力的な場所ではないでしょうか。
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