ここ数ヶ月で、急に住まいスタジアムへのお申込みが増えたとの報告を受けました。
なんでだろうと考えたのですが、自問自答しているうちにだんだんわかってきました。消費者側の待ち疲れです。
数年前から不動産オリンピック天井説は盛んに言われていました。「不動産価格の暴落はオリンピックの年だ!いやそもそもオリンピックまで持たない、前年2019年には暴落するぞ!」みたいな記事をたくさん読んだ気がします。今から2〜3年前にはそういう記事ばかりネットでは溢れかえり、ついには心配した実家の母が「オリンピック前にもうすべて手仕舞いしてこっちにきたらどう?」と私に電話をかけてくる始末です。
余計なお世話だと思ったのですが、子を思う親が決して悪いわけではなく、単に数年前の世間のトレンドが「賢い人はオリンピック前後の暴落を待ってから住宅を買う(もしくは暴落前に売る)」だったのだと、気づきました。私自身がそう考えていなかったので、この充満するムードを見落としていたのです。怖い怖い。
しかし現実はどうでしょう?
私は数年前から、オリンピック前後での暴落はほぼ無いと言い切っていましたが、予想の通り2019年の今になってもやはり首都圏の実需マンションにおいて、相場は下落していません。既に高いと言われていた3年前の相場を今見ると、安く見えてしまうくらい不思議なものです。
もちろん、全国一様に土地やマンションの値段が上がっているわけではありません。東京都内ですら、駅から遠い物件は敬遠されてなかなか売れなくなっている一方で、人口がこれから減っていく郊外といえども駅前のシンボルタワーは飛び上がるほどの価格で販売され、そして売れています。2016年の水準から、マンションの価格指数は更にあがっているので、あの時スルーしても今はもっと高く買わないといけないわけです。
(国土交通省の不動産価格指数、関東地方データより。2012年1月から2019年2月までを抜粋。住宅地や戸建住宅はほぼ横ばいを続ける中、区分所有のマンションだけが独歩高であることがわかります)
住宅の購入はいつまでも先延ばしできるものではありません。いつくるかわからない暴落を待つのを諦めて、今の相場を受け入れる人が増えつつある、というのが実感値です。土地の払い下げ価格から逆算して、発売前に安いはずだと大人気になった晴海フラッグ狂想曲はこの延長線上です。
- 地方から人が消えつつある一方で、東京都への人口の流入は続いています。
- 車を持たない人が増えています。
- 共働き世帯が増え、専業主婦世帯の割合を抜きました。
- 初めて購入するマンションをいきなりファミリータイプにするのではなく、家族構成に合わせてステップアップするように買い換えようという夫婦が増えています。
こうした世の中の大きなトレンドを理解すると、たとえダウントレンドになったとしても大きく値下がりするマンションを選ぶリスクを減らせるでしょう(個人的には黒田日銀総裁の任期2023年4月以降がどうなるかに注目しています)。首都圏のマンション需要は、新築と中古あわせて年平均8万戸あるからです。またマンションは、住宅ローンの残債以下では原則売る人がいないという商品である以上、急激に大きく下がるものではありません。確かに価格は高いのですが、その価格が説明できるものであれば、買ってもいいのではないかと思うわけです。
住まいスタジアムは、個人の趣向にはあまり立ち入らず、選ばれた中から将来の資産価値的に最善のものをご提案しています。
国土交通省の不動産価格指数のデータは非常に興味深いのですが、
一戸建てが値上がりしていないのはなぜなのでしょうか?
私の考えられる仮設は以下なのですが、のらえもんさんの考えがあればエントリを起こしてみてください。
・仮設1
戸建てのデータ精度が低い
(どのようにデータを集めているかは不明ですが、売り主申告中心だと小規模・非上場業者の多い戸建てのデータはいいかげんになると思われます(マンションは大手の割合が大きいのでコンプライアンスの厳しいご時世比較的正確?))
・仮設2
戸建てはとんでもなく不便な地域の占める割合が高い
(東京・神奈川・埼玉南部が中心のマンションに対して、戸建てはその他の関東地方の割合が大きい。ミクロで見てもバス便とかの割合が高い。個人的には理解できないのですが、匿名掲示板でもマンションなら駅徒歩5分以内、戸建てなら20分以内通いというダブルスタンダードの人が結構いそう)
・仮設3
細切れの土地は戸建てにしか使えないから値段が上がらない
(マンション用地はホテル・オフィス・商業施設などと競合するから上がってる。)
仮設によって将来性も違ってくると思うので、気になってます
(仮設1なら将来性はトントン、仮設2なら将来はマンション優位、仮設3なら戸建て優位の可能性も・・・)