質問箱にこんな質問が来ましたので、真剣に作らせていただきました。
“Q:タワーマンションの個数を分母での売買回転率(単年、累計)のランキングデータってあるんでしょうか?僕は、その率はそこそこ高いほうが健全でよいと思ってます。同年代の住民が低い流動性で一緒に高齢化(永住化)する事はよいこととは思いません。価格と管理の品質を維持しながら年齢等の入れ替わりが継続するマンションこそスラム化しないと考えます。(そのためには、間取りの多様化も必要条件)ブログで掘り下げていただけませんか? 個人的な印象でははるぷーさんのマンションなどは、まとまりのよさが逆に将来不安に思います…。”
ググってみましたがそういう視点でのデータ、残念ながらこの世に存在していないですね。ということで、本ブログ読者ならおなじみ湾岸マンション価格ナビさんにデータ提供いただきました。データは原則300戸以上かつ”湾ナビ対象マンション”別の平成26年10月〜平成30年9月、計4年間の成約事例数となっています。各マンションの戸数*4年で割ると、年間の売買回転率が出てきます。(THE TOKYO TOWERSのみ対象マンションではないので参考値)
物件名 | 戸数 | 累計成約事例数 | 年間売買回転率 | エリア | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
クロノレジデンス | 883 | 54 | 1.5% | 晴海 | |
ティアロレジデンス | 861 | 43 | 1.7% | 晴海 | 3年 |
キャピタルゲートプレイス | 702 | 39 | 1.6% | 月島 | 3年半 |
勝どき ザ・タワー | 1420 | 84 | 3.9% | 勝どき | 1年半 |
THE TOKYO TOWERS | 1981 | 161 | 2.0% | 勝どき | 除賃貸813戸 |
プライヴブルー東京 | 513 | 20 | 1.0% | 豊洲 | |
東京フロントコート | 981 | 74 | 1.9% | 豊洲 | |
スターコート豊洲 | 740 | 67 | 2.3% | 豊洲 | |
アーバンドック パークシティ豊洲 | 1481 | 130 | 2.2% | 豊洲 | |
THE TOYOSU TOWER | 825 | 100 | 3.0% | 豊洲 | |
シティタワーズ豊洲 ザ・ツイン | 1063 | 173 | 4.1% | 豊洲 | |
シティタワーズ豊洲 ザ・シンボル | 850 | 100 | 2.9% | 豊洲 | |
SKYZ | 1110 | 89 | 2.0% | 豊洲 | |
BAYZ | 550 | 17 | 0.9% | 豊洲 | 3年半 |
パークホームズ豊洲 ザ・レジデンス | 693 | 10 | 1.0% | 豊洲 | 1年半 |
Wコンフォートタワーズ | 1149 | 83 | 1.8% | 東雲 | |
アップルタワー東京キャナルコート | 440 | 53 | 3.0% | 東雲 | |
キャナルファーストタワー | 415 | 45 | 2.7% | 東雲 | |
ビーコンタワーレジデンス | 440 | 54 | 3.1% | 東雲 | |
ザ 湾岸タワー レックスガーデン | 456 | 57 | 3.1% | 東雲 | |
プラウドタワー東雲キャナルコート | 600 | 56 | 2.3% | 東雲 | |
パークタワー東雲 | 585 | 48 | 2.1% | 東雲 | |
オリゾンマーレ | 413 | 40 | 2.4% | 有明 | |
ガレリアグランデ | 483 | 55 | 2.8% | 有明 | |
ブリリアマーレ有明 | 1081 | 100 | 2.3% | 有明 | |
シティタワー有明 | 483 | 51 | 2.6% | 有明 | |
ブリリア有明スカイタワー | 1085 | 101 | 2.3% | 有明 | |
ブリリア有明シティタワー | 600 | 39 | 1.9% | 有明 | 3年半 |
ブリリア辰巳キャナルテラス | 232 | 30 | 3.2% | 辰巳 |
売買回転率のトップは、シティタワーズ豊洲 ザ・ツインの年間4.1%となりました!5年で約20%所有者が変わることになりますね。反対に、同じ豊洲でもプライヴブルー東京は年1%しか所有者が入れ替わりません。ちなみに、大規模郊外ファミリーマンションの入れ替わり率は多くても2%、だいたいは1%からそれ以下と考えます。湾岸マンションは回転率が高いマンションばかりということになります。
ただ私は、この年間売買回転率だけでは測れないファクターがあると思ってまして:
- 全戸に対するファミリータイプ住戸の比率
⇒当然1DK~2LDK比率が高いと回転率が高くなる - 間取りが永住向きか否か
⇒同じ2LDKでも60平米と80平米では回転率が違うはず - 一次取得層がエントリーしやすい価格帯か
⇒レックスガーデンやブリリア辰巳は4000万円台が多く、書いやすく売りやすいため、回転率が極めて高い。また、レックスに限らず東雲各タワマンも同様の傾向 - 入居者の属性
⇒入居者の多くがいわゆる高学歴サラリーマン層だと、全国・海外転勤も多くなる。自営業や地元企業比率が高いと転勤は無い - 引っ越した後でも持っていたいかどうか
⇒最初から長期保有目的の投資や、引っ越しても売り出さず賃貸に出す人が多いマンションもあるかも。売買回転率が高くなくても賃貸入居が多い場合は入居者の入れ替わりは当然激しくなる。これを調べるためには全戸の所有者事項謄本(1通145円)を取る必要があるが… - 新築時からの価格上昇
⇒売りに出せば大きく儲かるなら、いま売ってしまおうと考える人が多くなる(入居直後の勝どき ザ・タワーなど)
ですので、この数字はこうしたファクターでかなり変わると思いますし、「ちょうどいい、気持ちのいいところ」というのはマンションよりけりなんでしょう。個人的には500戸以上の規模で3%を超えると毎週のように引っ越しを見ることになりそうで、入れ替わりの激しいマンションだな、と感じそうです。
表形式はスマホだと見にくい端末もあるかと思いまして、一応、画像版もつくりました。
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