マンションを売り出す時、仲介マンからは「このくらいの価格で売れると思いますが、ちょっとだけチャレンジしてみましょう。そのチャレンジ分は値下げ交渉分として取っておきましょう」と囁かれるはずです。このチャレンジ幅は人によって違いますので、いや売却を急いでるから、もうワンプライスで!という人もいれば、さほど焦ってないからがっつり乗せておく。という人まで売主事情によって様々です。
それはさておき基本的に、中古マンションは価格交渉フェーズがあると思っていいです。ただ、ライバルは他にもいますから、自分がこの価格と思って買い付けを入れても、売出し値と同額の別の買い付けが入ってしまえば購入することができません。このへんは微妙なさじ加減が難しいところです。良い条件・良い部屋というのは、多少割高でも満額買い付けが入ることもあるのです。
湾岸の今を伝えるこのブログでは、2018秋にどれだけ指値すればいいのかの目安こっそり教えちゃいますね。。。。
こちらは江東区豊洲アドレスかつ築2007年~の比較的新しいマンションで、ここ1年間の売出事例坪単価と成約事例坪単価の差がわかる185事例をプロットしたものです。この坪単価差×坪数が交渉した値下げ代となります。
最小値はもちろんゼロ(=満額買付け)。満額買付けが入ったのは全事例に対して19.5%でした。逆に考えれば80.5%は何らかの値下げ交渉があることになります。最大値は35.5万円の差がありました。売出しと成約の平均坪単価差は5.68万円となります。
上図は、売出しと成約の坪単価差が全体のどれだけの範囲に入るかをプロットしたものです。坪単価差4万円で5割、同11.6万円で9割に達します。70㎡≒21坪とすると、坪単価4万円差は84万円の指値、11.6万円差は244万円の指値を意味します。最近の値下げ幅は結構低いんですね。。。
江東区湾岸エリアで言いますと、有明1丁目と東雲1丁目も同条件で調べています。
こちらは有明エリア。満額買付け率は32.3%で、およそ1/3が値下げ交渉なしで売買締結したことになります。値上がり局面は、売出しと成約の差が縮まります。豊洲より小さいのは有明の方がより値上がり角度が大きいからでしょう。平均坪単価差は3.98万円。ほぼ端数10万円単位の切り下げくらいの交渉で妥結することになります。最大値は20.8万円となりました。
一方でこちらは東雲エリア。満額買付け率は34.5%。平均坪単価差は4.21万円、最大値は35.7万円でした。有明と同様、10万円以内に事例が固まってますね。
上記条件で中央区全域でも出してみました。433事例ありました。
さすがに事例が多いのと元々の坪単価が江東区より高いことはあって、30万円前後の坪単価差がいくつか見られます。最大は豪快に61.8万円差(!)。銀座の事例でしたね。
P.S.
こちらのエントリのもととなったのは以下の記事です。
これとは別の、ある湾岸エリアのタワマンについて、最近の取引事例を調べてみた。東京都江東区の湾岸エリアで、中古物件の在庫が減少していると聞いたためだ。
確かに、売り出し物件は一時期に比べて少なくなっていた。逆に成約事例は増えている。驚いたのは、売り出し中の住戸価格の1坪単価と、成約事例のそれに大きなかい離が見られたことだ。ざっくり眺めていると、50万円から100万円、売り出し中の価格の1坪単価が下がっている。これはどういうことなのか。
人気中古タワマン価格に異変… 不動産好き富裕層の意識に変化か?
zakzak https://www.zakzak.co.jp/eco/news/180910/eco1809100002-n2.html
私の肌感覚と真逆でしたので、改めて調べてグラフ化してみた次第です。上記で調べた限り、この記事にあるような「江東区の湾岸エリアで50万円~100万円の売出しと成約の乖離が見られる」事例は、一つも見つけられません。また「大きな乖離」も無く、むしろ長期的に見れば売り買い双方の目線の乖離は縮まっています。難解な日本語ですのでこの記事の私の読み方が間違えているか、定義が違うのかもしれませんね。
この記事へのコメントはありません。