のらえもん宛に実際に来た相談・質問に対して、ブログ上でお答えする、ケーススタディー集です。今回はask.fm上でのご質問でしたが、ある程度汎用性がある質問でしたので、こちらでの回答といたします。
5千万と4千万の借入はどちらがお得でしょうか?
Q:5千万と4千万の借入はどちらがお得でしょうか? 住宅ローン控除のことを考えると5千万のほうが使える枠は多くなりますが、借り入れ当初は住宅ローン控除でカバーされない1千万の利息を負担することになります。 もちろん、金銭的なメリット以外に現金を手元に置いておけることや団信保険の必要コストと捉えることもできるも思いますが、金銭的なメリットデメリットはどのように計算すればいいでしょうか?教えていただけると幸いです。
A:質問された方は、1000万円キャッシュで払うことはできるけど、利息負担と住宅ローン控除、団体信用保険のベネフィットなどのバランスを考えた計算をして欲しいというリクエストと理解しました。
ここで読者のために改めて条件を確認しておくと:
- 物件価格は5000万円以上
- 手持ちキャッシュは1000万円以上
- 住宅ローンは仮に1%・団体信用保険付ローンと家庭
- 住宅ローンを5000万円の枠で審査が通っている
- 住宅ローン控除は一般住宅枠、年間最大40万円
という状態ということですね。質問の諸条件が書かれていなかったので物件価格を5500万円・手持ちキャッシュを2000万円と仮定します。
物件価格5500万円・頭金500万円・諸費用300万円の場合:
住宅ローン借入額:5000万円
手持ちキャッシュ:1200万円
月々返済額:141,142円
10年間満了後*1残高:36,014,826円
住宅ローン最大控除額:3,977,406円
35年間利息額:9,279,788円
10年間利息額:4,756,617円
物件価格5500万円・頭金1500万円・諸費用300万円の場合:
住宅ローン借入額:4000万円
手持ちキャッシュ:200万円
月々返済額:112,914円
10年間満了後*1残高:28,811,794円
住宅ローン最大控除額:3,514,802円
35年間利息額:7,423,768円
10年間利息額:3,805,273円
ということで、頭金を1000万円分積んだ場合、10年間に期間を区切るなら、利息951,344円-住宅ローン控除額差462,604円=488,740円の費用差がありますが、住宅ローン実行時の手持ちキャッシュが1000万円差+生命保険料がプラス1000万円のメリットとの比較となります。
住宅ローン実行時35歳なら生命保険1000万円の月々保険料は1,631円なので、195,720円。ここに手持ちキャッシュが1000万円分が積まれていますので、更に万が一の場合は家族への保証は手厚くなります。更に言えば、とっておいた手持ちキャッシュ1000万円が毎年0.5%の利益を生む運用をするだけで10年50万円の運用益が出ます。
こう考えると、素直に5000万円借りておくほうが、何かと利点が多いと私は考えますね。低金利下の住宅ローンは「借りられるだけ借りる」が正解だと考えます。もちろん身の丈を超えた住宅ローンは破綻の可能性が高くなります。その閾値は統計的に見ると、年収の25%越えとなります。
参考:ノンリコース住宅ローンに対する誤解と日本の住宅ローン破綻率
あまり知られてないのですが、フラット35⇒フラット35の借り換えは可能です。
いつも参考にしています。
わたしも、この超低金利時には、借りられるだけ借りるべきという考え方には賛同します。ただし、この比較には疑問ありです。
>> 住宅ローン実行時の手持ちキャッシュが1000万円差+生命保険料がプラス1000万円のメリットとの比較となります。
ここでいう生命保険料が、団信1000万円分だとすれば、受取人は銀行だと思います。これをフルローンのメリットに追加するのはどういう理由からでしょうか?
>> 手持ちキャッシュ1000万円が毎年0.5%の利益を生む運用をするだけで10年50万円の運用益が出ます。
マイナス金利の時代に、年利0.5%の利益を10年間継続するという前提は適切でしょうか?
フルローンの実際のメリットは、保証料を含む実質のローン金利負担と、ローン控除および余剰資金の運用益との差額のはずです。
数字で比較をすると、じつは借金は少ない方がよいという結論になりませんか?