先日立ち寄った書店で話題の本の中に入っていたので紹介します。
著者は都市計画出身の不動産コンサルタントの方です。
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23区格差 (中公新書ラクレ) 池田 利道中央公論新社 売り上げランキング : 258 |
“23区格差”とタイトルは仰々しいのですが、中身は落ち着いたトーンです。年収の話も出てきますが話の本筋ではなく、むしろ統計から見た23区それぞれの特徴を丁寧に掘り下げている感がありました。たとえば、現在ほぼ1強となっている港区の平均年収は2000年頃からはじまったとか、65歳以上シニアが働く割合で一番は台東区の4割超え・最低は北区。北区シニアの労働参加率が低いのはサラリーマン引退世代が多いから、などです。
中野区・杉並区・目黒区が抱えている問題もこの本で知りました。
あとがきで明らかになりますが、もともとこの本は東京都北区のコンサルから始まってますので、北区の記述割合が多く、江東区にいたっては湾岸部しかほぼ触れられず、深川地区・城東地区についてなどはほぼ記述がない(笑)など偏りがある内容ではあります。
といっても、この本の価値を減じるものではありません。東京23区は日本の中枢であり、そして区ごとにカラーがかなりはっきり分かれます。これは地形の高低や川、そして災害や歴史などが積み重なってできたもので、こうした本を読むといかに自分が23区を知らなかったかがわかります(私自身23区内の出身ではありません)。
そして文化の発展に欠かせない定着率がむしろ街の発展の足かせ、つまり流動性が低下する二律背反を本質的に孕むものだということを本書で気づかされました。
印象論的な部分も多いのですが、街を知る・住む街を探すには良い一冊かもしれません。
目次
前章 多極化する23区に生まれる「格差」
第1章 23区常識の「ウソ」
第2章 ニーズで読み解く23区格差
第3章 年収・学歴・職業で非凡な区、平凡な区
第4章 23区の通信簿
最終章 住んでいい区・よくない区を見極める方法
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