私のブログでもいつも維持費として話題にする「マンションの管理費」について、真剣に考えてみました。そもそも、管理費が高い・安いってあるんでしょうか?額面だけで安い高いというのは危険ではないか?なぜそう思ったのかは後述します。
さて、私の過去のブログレポートで取り上げた中、管理費が最安の物件はイニシア豊洲コンフォートプレイスの94円(!!)/平米。最高値はブランズタワー豊洲の399円/平米でした。なんと両マンションの最寄り駅はどちらも豊洲駅で、4倍以上の平米単価差があるわけです。これはすごい。都内にはブランズタワー豊洲を超える平米500円超え物件もめずらしくありません。
では、この管理費の差はどこからくるのでしょうか?
分譲マンションを購入した時、我々が管理組合に支払うのは「管理費」と「修繕積立金」、そして「駐車場料金」です。修繕積立金についてはまた別途考えるとして、管理費の主な項目を分解していくとこんな感じです。
- 修繕積立金 →大規模修繕に備えて貯金
- 管理費
・清掃費
・管理人費
・警備費
・光熱費
・メンテナンス費
・植栽維持費
・余剰→修繕積立へ - 駐車場料金 →???
細かい費用項目はあれど、だいたいこの範疇に収まります。こうして管理費をざっくり考えると、1:人件費・2:光熱費・3:メンテナンス費の3つに分けられることがわかります。もちろんこのうち最大の費用は人件費となります。たいていのマンションは、管理を管理会社に委託しているので、人件費とメンテナンス費の一部については管理委託費としてまとめて支出しています。
さて、みなさんいまお住いのマンションを考えてみてください。
- 管理人さんは常駐されていますか?
- 清掃は週に何回行われていますか?
- 警備員の姿は見ますか?
これらの仕様は、マンションの規模と住民が求める管理の質により決定されます。
普通のサラリーマンが住むくらいのマンションの場合、まず管理人が常駐(平日9-18等)するには、最低100戸以上の規模が必要となってきます。これ以下ですと、管理人さんは週2、3回スポットで勤務する人になりますし、逆に大規模マンションですと、管理人さんが複数いるのも普通です。
清掃もコストがたいへんかかります。マンションの中がキレイで行き届いた清掃状態とするには、たくさんの清掃の方が必要です。清掃効率はある一定の規模を下回ったり超えたりすると悪くなり、この均衡点は150~200戸くらいと聞いたことがあります。
湾岸のタワーマンションなら当然のようにいる警備員。彼らも板状の中規模マンション以下でしたら配置されることはありません。警備も24時間警備で二人以上の常駐が求められると、相当な人件費がかかります。もちろん安全を買っているわけです。
イニシア豊洲コンフォートプレイスは、管理人さんは常駐していますが、コンシェルジュや警備員はいないはずです。清掃についての情報はありませんが、メンテしやすい形状になっていますから、維持コストが最小限で済むマンション規模になっています。だから安いのです。しかし、何事にも例外があり、高級住宅地のマンションですと小規模でも管理人常駐・毎日清掃・警備員有という物件もあります。そうしたところは、管理コストも高くつくのです。
結局、「規模」と「住民が何を、どこまで求めるか」で人件費に投入するコストが全く違ってくるわけです。タワマンと板状では違うし、小規模と大規模ではかかる人数も違う。横一線で高い・安いと比較できません。
もう一つ、先ほど述べた「駐車場料金」の会計処理も重要です。タワーパーキングも機械式駐車場も、あるだけでメンテナンスコストがかかる存在ですが、自走式駐車場や平置き駐車場はコストがほとんどかからず、駐車場料金はそのまま管理に使うことができます。
自走式・平置き駐車場で、駐車場料金が2万円だった場合、10台で20万円、100台で200万円、300台で600万円、月ごとに入ることになり、これを管理費にそのまま繰り入れると相当大きな額になります。管理費が安いマンションはこの「駐車場料金」を管理費充当している、と考えてよいでしょう。
震災後、マンションの駐車場付帯率は極端に少なくなりました。同時に、駐車場料金を管理費勘定に入れずに修繕積立金へそのまま入れる設定のマンションも登場しています。こうしたマンションは、どうしても管理費が高くなってしまいます。その代わり、後に修繕積立金の蓄積で果実を受け取ることになります。
ですので、専有部の平米あたり管理費が高いか安いかは
- マンションの規模と、
- 駐車場料金の額とその取扱い方、
- 想定する平均的住民がどのようなサービスを望むか
によって、かなり上下します。駐車場料金が管理費に入っているか修繕積立金に入っているか、外部から確認する術はありません。購入検討時に総会資料を見せてもらうしかないでしょう。「値段が高いマンションは管理費が高い」というのは当たり前の話で、住民が管理に求めるサービスレベルが高くなるからです。外国人が多く住む高級マンションは、コンシェルジュは当然英語を喋れないといけませんし、ピカピカの床にはゴミひとつ落ちていてもいけないのです。
幣マンションの1年間の支出の内訳です
まさにのらえもんさんの仰るとおり、人件費が半分近くを占めています
分譲当初から最低賃金も相当上がってきていますから、本当しんどいんですよ…「管理委託費値上げされたからリプレイスだー」と騒ぐマンション、内訳を分析しているのだろうか https://t.co/3QQmNOiPRm pic.twitter.com/BYNLJ3IRoW
— がりべん (@garibenZ) August 30, 2019
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