湾ナビメルマガにて、某豊洲タワーマンションの評価額が伸び悩んだことについて、私にどう思うかメールで聞かれたので、一般論としてブログ上で回答します。
たしかに湾岸タワーマンションで、新築販売時平均坪単価を評価額が下回ったのは、あまりない事例かと思います。しかし、普通の新築マンションは「ハンコを押す時が最も高く、ハンコついたときから1割下がる」と言われている商品でした。資産価値の維持などを最大限気にするなら、新築ではないほうがいいのかもしれません。
ではなぜ、湾岸タワーマンションは新築購入時よりも評価額が高まるマンションが多かったのでしょうか。中古マンション価格形成の3要素を挙げると下図のようになります。
1:全体相場の上下動
不動産のマクロ相場は上下動します。直近のピークはリーマンショック時の2008年でしたが、いまの相場水準はそれを更に上回っています。大規模の新築マンションは契約から入居まで2年くらいのタイムラグがある物件が多く、この間に全体の水位が上昇していれば上がることになります。リーマン前の湾岸タワーも、リーマン後の湾岸タワーも、相場水準が上がっているので、全体として上がっているのです。
2:地域の相対的魅力
不動産は、美人コンテストと同じ要素があります。美人の定義を決めることは容易にはできませんが、誰もが魅力あると思うエリアであれば、価格が吊りあがります。湾岸タワーマンションの立地・利便性・人気は、10年前と比べて大きく上昇しました。この10年間で東京・首都圏の他エリアよりも相対的な魅力が上昇したために、新築時よりも値上がりしたのです。
また、同じ地域に大規模新築物件が建ちつづけるエリアは、新築物件が広域に集客してくれるため、中古マンションの価値が保たれやすいという側面もあります。新築に来たお客さんは周辺中古と比較するからです。
3:築年数経過による減価
一般的に、築年数が経つとマンションは減価していきます。湾岸タワーも例外ではありません、だいたい年4万円/坪程度の減価となっていますが・・・湾岸タワーはこの減価幅よりも小さいマンションがいくつもあります。この減価の罠を超えることができる特別なマンションが「ヴィンテージマンション」と言われます。
話を元に戻しますが、某豊洲タワーマンションの評価額が伸び悩んだ原因は、1の全体相場水位が「分譲時と現在でさほど変わっていないから」、2の「地域の相対的魅力向上スピードが落ちてしまったから」の2点に集約されると思うのです。1年前まで、SUUMOが盛んに取り上げてきたマンションPERが急に紙面に出て来なくなったのは、2007年時はマンション分譲価格が上がっていたのでPERを出すと前よりもかなり悪い数字になるからでしょう。相場水準が上がった時に購入する事情ができた人は、ひとまず資産価値という言葉を脇においておいて「そのマンションを買いたいか・買ったら幸せになるか」ということをまず考えたほうがいいかもしれません。
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