不動産仲介は、物件を売りたい人と買いたい人をマッチングさせるお仕事です。マッチングが完了すると、それぞれから仲介手数料をいただけます。
- 物件を売りたい人に仲介が
- 物件を買いたい人に仲介が
それぞれ付くのですが、両方兼ねると収益は倍になります。いわゆる「両手」です。
売り物件の媒介を預かった仲介会社が、他の仲介会社を経由した顧客からの内見・申し込み依頼を正当な理由なく断る行為は明確に禁止されています。しかし、実際には守られていないのが現状です。むしろこの1年間、囲い込みはひどくなる一方です。
先日あまりにもひどい事例を聞いてしまって、義憤から呟いてしまいました。なお、どこの物件で仲介店なのか、私の口からは絶対に言うことはありません。
今聞いた話。
某有明のタワマン。6000万円台前半専任で預かってる某仲介店が空室なのにこの3週間囲込んで他業者からの内見を徹底的にブロック。
売主がー見ないでほしいークリーニング中なのでー
他店からの内見殺到なのに断り続けて今週値下げしてオープンルームするってさ????????????— のらえもん (@Tokyo_of_Tokyo) September 3, 2020
ずっと担当者に繋がらなかったり売主が留守でしたが、値下げ前の価格で問い合わせ山ほど入れたのに通らず、わざわざ値下げして週末オープンルームにしたら、その前に申し込みが入ったそうです????
やったね???????????? https://t.co/qFOU55rTJV— のらえもん (@Tokyo_of_Tokyo) September 3, 2020
のらえもんは、湾岸タワマンのマンション名と部屋の広さ、方角を言われればだいたい50万円程度の誤差で、目安の成約価格を言うことができます。これ、湾岸仲介の方でしたらご納得いただけると思います。私はいつも業務で査定しているわけではありませんが、湾岸タワマンはそれくらい相場が決まっていて、エリアを長いことウォッチしていればわかるのです。大きくズレがあるとしたら部屋が汚いとかペットのニオイが染み付いているとか、そういう特殊事情以外はない世界です。
今回、私が見かけた物件は、「ちょっと強気だろうけど、その価格なら値引きなしずばり売れるでしょうね」というラインで当初売出しをしていました。実際、有明はいま売り主が強気価格で出すことが多いので、相対的に魅力がありました。実際、多くの内見申し込みが入りました…が!まったく売主側仲介が他からの内見を受け付けませんでした。
「売主が今は見ないでほしいと言っている」
「クリーニング中なので待ってほしい」
そういう理由で断っていたようなのです、空室なのに。
そうこうしているうちに、〇百万円ほどお値下げしてオープンルームをすることに。やっぱり値下げしたら水準より割安になったのか、オープンルーム直前には申し込みが入ったようなのです。売主は仲介手数料を払った上に値下げ分の損と時間を無駄にして、囲い込んだ仲介店は両手分の仲介手数料をゲットしました。
売主から媒介契約を受けている仲介店は、準委任契約を結んでいることと同じであり、売主の意向を無視して仲介側が勝手に他からの内見依頼を断るのは善管注意義務違反です。しかも大手の看板を抱えていながら、です。長いこと不動産業界の悪習といわれていますが、日本で最も取引が盛んで、相場がほぼ見える東京湾岸エリアでも旧来と同じような囲い込みを見ると、意図が見え見えなだけに嫌悪感しか抱きません。
湾岸エリアだけでも、囲い込みは無くせないものなのでしょうか。
そういえば、私が上記の呟きをしたところ、こんな引用リプライが来ました。いったいどこの仲介店なんでしょうねぇ?
この仲介店からのメッセージが本当だとすると、非常に問題であります。
「同条件でせった時に、当社のお客様が優先になります」
本当にこんなことを文章で送ってしまううっかり仲介マンがいるんですか?きちんと宅地建物取引業法第34条の2を読んでください。完全に違反です。
媒介契約を締結した宅地建物取引業者は、当該媒介契約の目的物である宅地又は建物の売買又は交換の申込みがあつたときは、遅滞なく、その旨を依頼者に報告しなければならない。
媒介契約を受けた仲介店がフィルタリング(囲い込み)をしたり、自社のお客様を優先して売主に伝えることは、完全に宅建業法違反です。宅建士の資格を持っているかさえ怪しいものです。私だったらこのキャプチャをそのまま都庁の不動産業課に転送して、報告するところでしたけど、優しい人で良かったですね。
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