のらえもんが、実際に寄せられた相談を元に、どのように回答するかシミュレーションしたケーススタディ集です。メールで寄せられたご相談に対しての返答を個人情報をぼかしてブログネタにさせていただいてます。
初夏から売り出したマンションがなかなか成約しません。不安になってきました。売るのをやめるべきでしょうか?
Q:
有明の自宅マンションの売却活動を初夏から始めましたが、なかなか成約しません。
条件としては、
(以下略)
仲介さんはとてもいい人で、今が売り時とおっしゃられていたのですが、不安になってきました。(以降とても長いメールでした)
A:
条件を見ると単純に売り出し価格が相場より高すぎますね。最近、ポストに「今が売り時」と週に3・4通DMがやってきますが、正直うんざりしてます。いま売出しの価格でしか満足できないなら、一時売り出しを中断したらいかがでしょうか。
こちらの散布図をご覧ください。
こちらは有明1丁目の成約(成約日時)と在庫(登録年月日)をプロットしたものです。5月あたりに入ってから、成約が6000万円以内に固まっていることがわかります。
実際、有明でマンションを探す人の大半は予算が5000万円前後です。となると、売主の希望が高すぎてマッチングしていないのです。
こちらは坪単価をプロットしたものです。坪260万円くらいより下だと成約する確率がかなりたかく、280万円あたりだとなかなか成約しないのが実情です。しかし、大半の売出し価格はそれより上のラインを攻めています。平均290とか。
僕は、買い希望の人も売り希望の人も相談メールをもらいますが、最近このミスマッチが有明に限らず、ほうぼうで起きているのを目にします。その値段で買いたい人がいるから成約するのであって、希望だけではなかなか難しいですね。所得が高くなっていない現状は特に。
成約データを見ても、結局当初の売値ではマッチングせず、値下げした順に売れています。豊洲徒歩5分の新築マンションがある今、その価格からどれだけ説得力のあるバリューが出せるかだと思うんですよ。
仲介さんにとってみれば、高くても安くても、「売却活動」そのものが起こらないと収益になりませんから、「今が売り時」で焦らす戦略は商売的に正しいとは思いますが、最近のDM合戦を見るとモラルハザードが起きて、夢見がちな査定金額を産み、結果として売却活動期間が間延びしてる事例が多発しているんじゃないかなぁと。
不動産販売くんの査定が眩しすぎてクラクラくる。倍くらいになりますね、買値より。売れたらいいね。 pic.twitter.com/EcDW67Dvrj
— 投資信託 (@terukitasako) August 13, 2015
上記の散布図作成なんてさくっと5分ですから(まさかできない人ばかりじゃないよね)、夢ばかりじゃなく最初から現実と夢の境目あたりで納得させてくれる仲介屋が出てくれると取引がより活発になるはずです。あんまりやりすぎると不動産市況が冷え込みますよ。
いつも楽しく拝見させて頂いております。
当方が知人から話を聞いている限りでは有明は坪260~270万円だとかなり回転しているように聞いていたのですが、成約分布をみると坪260万円以下で回転が良くなるようですね。
のらえもん様は今後有明近辺の成約坪単価をいくらで予想し、どういう推移をしていくとお考えでしょうか。
欲との闘いですよね。
私も売却活動したことがありますが、数字上ではたかだか坪単価20万円の差って分かっていても、なかなか売出価格を下げることができませんでした。