損が少ないマンション購入

「高い新築マンションの最割安部屋」と「安い新築マンションの最高額部屋」どちらが幸せか

永遠のテーマでもありそうなこの話題。車なら一つ下のクラスの最上級グレードと、上の車格の最下級グレードの価格がほとんど変わらないのと一緒かもしれません。ここで先日聞いた一組の親子のお話をします。

某氏の父親は、とある新築マンションの「最上階角部屋・ルーフバルコニー付き・ロフト付き・眺望も通風も最高で、騒音も全くない、とある郊外都市の中規模マンション」の部屋を買いました。

某氏は、とある新築マンションの「使いやすい間取り・眺望のバランス・騒音の問題も無く、棟内でもっとも割安に思える中住戸部屋、都心にほど近い大規模マンション」を買いました。

父親の方は自宅マンションがもう一つ有る中での買い増しです(賃貸に出した模様)。実はこの2つのマンションの購入時期は非常に近く、価格も偶然ながらほとんど同じでした。が、それはさておいて。

(ロフト付きマンションの事例。当然このマンションではありません)

親子で全く別の選択をした両者。2人に感想を聞きました。

某氏の父親:近所のモデルルームを見に行ってひと目で気に入り、二度目の訪問で契約していた。安い部屋から比べれば総額は倍以上だったが、幸い郊外なのでそこまで高い買い物ではなかった。部屋の前の共用廊下は、自分の家族以外入ってくることすら無く、プライベート感が抜群。ルーフバルコニーは誰からも覗かれることもなく、素晴らしい景色で風通しもよく、洗濯物もすぐ乾く。ルーフバルコニーはとても広くてガーデニングなども楽しめた。花火大会の時は、テーブルなどを置いて大いに楽しんだ。確かに駅から若干歩く距離ではあるが、自分は朝早く起きて出発する癖があるから、都心から距離がある程度あることは全く問題とはしなかった。

(ルーフバルコニーのイメージ画像。画像出典:ワコーレマンションシリーズより)

マンションが安かったこともあり、同じ棟内には息子より若い家族などが多かったが、家族ぐるみの付き合いをした。花火大会の時には、理事会メンバーを家族ごと招待したところ非常に喜んでもらえた。

しかし、一番下の子供が全員独立した後の自分たちに、この家は広すぎた。夫婦2人で100㎡以上、バルコニーも合わせれば200㎡以上のスペースは必要なかった。棟内で一番広いので面積比例の管理費と修繕費も気になってきた。そこで、10年経って売り出したが、郊外である程度駅から遠いということもあり、近所の新築建売戸建てとバッティングすることとなった。

結局、地元に勤務する高年収夫婦が買っていった。子供がいながら、家を長時間留守にする必要があるため、戸建て以上のプライベート感が欲しかったとのことだった。成約した値段は買った時から900万円くらい下がったが、10年間の満足度を考えれば非常に良い買い物だったと思う。

息子の部屋にも遊びに行ったことがある。ずいぶん狭い部屋なのに同じ価格で、駐車場も高く、こちらで買えばいいのにと思った。ただ、通勤には便利なのだろう。30分で職場に着くのは若い頃を考えれば羨ましかった。

−−−

某氏:私は、当時の自分の年収から買えるギリギリのラインで、その棟内で一番割安だと思える部屋を第一期で申し込んだ。このマンションの平均価格は当時の年収からはとてもじゃないが届かなかった。申し込んだ住戸は特に問題がないはずなのに、戦略的に価格を下げた広告用ともいえる部屋で、抽選にも当たるラッキーさもあった。当時は結婚してからまだ2年。子供も産まれていなかったので、先は長いと思い2LDKとした。

通勤も職場まで30分。以前の1時間かけてた生活に比べれば天国だ。春には自転車通勤もした。ゲリラ豪雨にあって以来しなくなったけど。

棟内の住民層は自分から見てもとても良かったと思う。駐車場には外車がズラリと並び、サラリーマン家庭で育った自分達夫婦とはまるで世界の違う人達ともよく会話した。最上階の住戸にお呼ばれした時は、置いている家具やとてつもない大きさのワインクーラー、そして普段見ている景色とはまるで違う、別世界の眺望に驚かされた(自分も一応、眺望の抜けがある住戸を買えたと思ったがここまで差があるとは…)。棟内格差は感じたが、自分としては驚きや嬉しさの方が勝っていたと思う。しかし、妻は違う考えを持っていたようだ。

父親のマンションにはよく遊びに行った。息子も広い家の方が好きなようで、「次はいつおじいちゃん家にいくの?」それが帰り道の口癖だった。

そして、購入時は適度な広さだと思ったが、やがて荷物も増え、また子供ができたことにより、2LDKでは手狭さを感じることになった。そこで、息子が小学生に上がるタイミングで住み替えられる別の新築マンション・3LDKを検討。また第一期の抽選に当選した。いまの持ち家を査定に出すと1000万円以上、買ったときより上の査定結果が出た。この価格で売れるならと売却先行したが、買った時の値段+900万円で買ってくれる人が現れた。いまの新築マンションにも大変満足しているが、やはり住民層は以前と同じように自分よりかなり上のクラスが買うマンションで、引け目を感じないか?といえば嘘にはなる。

−−−

さて、この親子。どちらのほうが幸せだったでしょうか。
息子の方が、金銭的にも時間的にも得をしたはずなのに、親の方が住まいにおける人生を楽しんだ感はありますね。

私はどちらの道も合ってもいいと思います。もちろん、中庸を狙うというのもありですけど。

 

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コメント

  • コメント (1)

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    • ののママ
    • 2020年 2月 16日

    幸福感は相対的なものだと言いますから、わたしは自分よりもハイクラスな人々に囲まれて生活するのは避けて下町に住んでいます。
    川と大きな公園が至近、見晴らしも良い下町で、都心の職場までドアドアで25分です。

    富裕層の住む地域では習い事もキャンセル待ちのようですが下町ではそういうこともありません。

    ママ友と遊ぶ時、見栄は要りませんから、お互いの家で飲食物はスーパーで売っているようなものの持ち寄りでOK。飲み会はチェーン居酒屋で。

    住人も、面倒なプライドなど無く、気さくで、それでいて学歴など教養は高かったりします。

    見栄が要らないので余計な出費も無く、その分投資物件を買い足して収入を増やしていますが、都心に住むメリットを感じません。

    純粋に楽しく人と繋がることができるこの地域に住み続けたいとは思いますが、子どもが電車通学できるくらいの歳になった時には通勤距離を徒歩5分くらいまで縮めたいです。

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