ask.fmにて以下の質問をいただきました。
逆梁のマンションが最近少ない気がするのですが気のせいでしょうか? 順梁、逆梁それぞれにメリットデメリットがあるのでどちらが優れているわけでもないと思うのですが、順梁が流行っている理由があるのでしょうか? やはりコスト面でしょうか?
たしかに最近、逆梁工法を採用したマンションが少なくなっていますね。外観がコンクリート柱が前面に出るため、私はこちらの方がデザイン的には好きなのですが・・・いくつかの要素で逆梁工法が少なくなることを説明できると思います。
順梁と逆梁の違いをおさらいします。
マンションは上に伸びる柱とそれを連結する梁、そしてスラブと呼ばれる床面で構成されます。この柱と梁の位置取りによって、順梁か逆梁に決まります。
順梁最大の欠点は梁がサッシの下側天井からはみ出るため、サッシの高さが制限されるということです。従来ですとこの2mサッシですら達成できず、1.9mサッシになっているマンションも数多く見られました。当然、梁の上下の厚みを薄くすればサッシは高くなりますが、限界があります。よって奥行き方向に拡大したのが「扁平梁」でこれにより2mを超えるサッシも可能になってきました。
逆梁は、柱と梁を外壁面まで追い出すことによって、天井までのサッシを可能をしています。これは大きなメリットになります!
しかし、最大2mのベランダ幅に梁のコンクリートが面積を食ってしまうことになりますし、結局足元の眺望は消えてしまいます。また、子どもが手すりを登り転落するというリスクが増えてしまいます。また、逆梁は順梁に比べて建設コストがかかります。
ということで、
- 建築コストの増大のなか、コストアップ工法が採用しづらい
- 専有面積が減少傾向の中で、容積対象に入らないベランダの実効面積を稼ぐためには順梁が有利
- 扁平梁工法の進化により順梁&限られた階高ながら2.2mサッシを実現(ザ・ガーデンズ東京王子など)
ということで、時代のニーズ的に順梁のメリットが増大していてなかなか逆梁を採用しづらいのでしょうね。
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