久しぶりのマンション購入検討初心者シリーズ、今回は壁芯と内法面積についてです。この二つについては下の図1枚で説明できてしまいます。
モデルルームに行き間取り図を見せられると、広さは上図の壁芯面積の表記となります。これは建築基準法の建築確認では上図でいう壁芯が適用されますし、施工で狂いが生じにくいからです。
一方で、人が実際に生活するとなると、壁の厚み部分は使えません。よって壁内側の実効面積=内法面積が本当の面積と言えます。登記簿謄本記載の面積は内法面積が採用されていますし、税制優遇対象は内法で50㎡以上がマストです。
以上は当たり前の理解ですが、上図を頭の中に入れておいて、次の二つの間取りを見てください。クリックすると大きくなります。
間取り①のすべての部屋は、コンクリートの壁と直接部屋が接しておらず、二重線になっていることがお分かりになるでしょうか。これがいわゆる「長谷工2重壁」といわれるものです。コンクリートの壁に直接壁紙を貼らず、壁の内側に木軸を組んで石膏ボードを貼りその上に壁紙を貼ります。
この工法によるメリットは、
- 戸境壁コンクリートを平滑面にしなくても良い
- コンクリートの収縮による壁紙破れが起こらない
- 壁にビス止めできる
くらいしか考え付きません。1・2は売主のためであり、3はメリットですが、実効面積を小さくするほどのメリットは感じないのです。この工法による壁厚みの増加は両側で約16cm~20cm。戸境コンクリート壁が仮に18cmだとすると、片側で18cm分(18+18/2=18)が壁の中の面積として消えることになります。
一方、タワーマンションの戸境壁はコンクリートではなく、吉野石膏の耐火遮音壁が使われます。A-2000-WI採用のマンションをよく見ますね。136mmでコンクリ260mm相当の遮音効果がありますが、直接叩くと伝わるのでデメリットもあります。コンクリート壁を湿式壁、耐火遮音壁を乾式壁ともいいます。
仮に同じ間取りを作るとすると、これはどれくらいの差となるのでしょう?
長谷工さんの標準的な間取りですと、玄関からベランダまでは11.5mとなります。となると、両側戸境壁ののべ長さは23m。壁厚みのロス面積を計算すると
- 23m*18cm=4.14㎡:湿式壁+二重壁
- 23m*7cm=1.61㎡:乾式壁 壁紙厚みを2mmに設定
細かいことなんですが、私は乾式壁の大きなメリットとして「壁厚みを削減できるので実効面積が高い」が指摘できると思ってますが、販売現場では聞いたことが無いんですよね。「壁を薄くできます!」というと聞こえが悪いし(笑)、デベロッパーは長谷工と組むこともあるので、自己矛盾にもなるから、この辺は言葉を濁すのかもしれません。
細かいですがA-2000-WIは136mmです。念のため。
>>通りがかりさん
ありがとうございます、修正しました
壁芯は実寸の中央ではなく基準線(躯体芯)ですね。
より一層、内法との差は出ますが見かけを広く見せるためというより
壁の内外ともに当初設計から変更となることが多く
数字を出すのが難しいという側面が強いと思います。
外側はタイル割付による変更なのでコンクリート打設前に決まりますが
内側は現場で合わせて「仕上げが収まらねーよ」って時に変わる可能性があります。
最終的に図面をアップデートして、これが最終版ですとなるのは
工事の最後の方なので早い段階で内法面積を出すのが
難しいのではないでしょうか。
また戸境壁がRCかLGS+ボードか、というのは中低層のマンションと
タワーマンションでは構造機構が異なることが理由かと思います。
高層マンションでは地震時の柱梁の動きを阻害せず、また重量を軽くする
目的でRC壁が少なくなっているのではないでしょうか。
RC壁のメリットには熱、音、強度あたりがありますね。
長々と失礼しました。