読んだ本とか

不動産営業マンの悲哀と思考がわかる小説【狭小邸宅】

のらえもんブログでははじめてとなる小説の紹介。この本、間違いなく五つ星、条件付きで超オススメです。不動産営業の悲哀と思考がとてもよくわかってしまうという点で。また青春小説としても。

以前話題になった、新庄耕著:【狭小邸宅】。著者は不動産営業の仕事経験は無く、友人からの取材に基づくお話らしいのですが、経験者じゃないかと思うほどのリアリティと説得力、そして描写力。
主人公は○ーぷんは○○をモデルにしたかのような、中堅不動産の営業マン。学歴はある(たぶんKO)けど成績が残せない「売れない営業」です。

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売れない営業マンの主人公は、朝から上司に詰められます。冒頭から会社に行きたくなる言葉のオンパレード。

「申し訳ございませんじゃなくて売りますだろ。売る気あんのかよ、てめぇはよ」「さっさと辞めろ、もうお前なんていらねぇんだから」「冷やかしの客じゃねぇだろうな。その客、絶対ぶっ殺せ(買わせろ)よ」「てめぇ、人生考えてる暇あったら客見つけてこいよ」

入社試験で選抜するのではなく、入った後から選抜する世界のため、労働条件は苛烈な世界です。選抜は売れる売れないの尺度だけでしか判断しないので、その世界で育った上司も部下へまともな教育ができず、売れない営業マンは理由をつけてさっさと辞めさせようとします。不動産業界は病む人が大量に出ると聞きますが、そりゃそうだよね。

主人公の担当は、このブログでは意図的に無視している、いわゆる城南地区のミニ戸建て。容積率200%の延床80平米、3階建6000万円~7000万円の世界のお話です。

舞台となる恵比寿・駒沢支店で扱う物件の主人公のお客さんはだいたい、いい大学を出て・いい会社に入って・いい給料をもらう人々。プライドが人一倍高くて頭の回転が速い人相手に、人生の資力をかけても15坪3階建ての建売住宅しか買えない現実を突きつける商売です。

幸いなことに、人生を達観した優秀な上司と出会い、主人公は営業マンとして大きく成功します。どうやって買ってもらうのか。具体的なロールプレイ「まわし」「かまし」等が書かれていますが、その辺はぜひ一度ご一読ください。思い起こせば僕も似たような営業を受けた経験あるな~

ネットには「不動産業者の騙しテクニック!」みたいに書かれていますが、僕はそう思いません。不動産価格は一物一価で売買双方の納得があるならそれで良いし、ウン千万円の買い物は通常の心理状態でなく一種の興奮状態でないと決断できないからです。そもそも住宅は極めて個人的な事情や欲求から発せられるのです。

僕はこの本を不動産営業マンや仲介マンの思考を読むテキストとして最適だな、と判断していますし、実際、どこにも載ってない中古マンションのお得な買い方:その1その2は全く間違ってないことがわかりました。
何のために働くのか、幸福とは?人生の目的は?を深く考えるいいきっかけにもなっています。

Kindle版は400円、1時間で読み終えました、ちなみに読後感は最悪です(笑)。月曜日、出勤前に読むのはやめて、次の日も休みの土曜日夜に読みましょう。

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P.S.
ミニ戸建の一般的な呼び名「狭小住宅」ではなく「狭小邸宅」と名付けたところにも著者の考えがあると考えます。僕は、同じ値段を出すなら、自分ですべてのリソースを抱える(だからこそ維持費が安い)ミニ戸建よりも、何百という世帯のパワーで豪華なエントランスや眺望といったリソースをシェアするタワーマンションの方が満足度が高く、多様な人との出会いがあって人生をより豊かにすると判断しています。そもそもタワマンの方がお客さん呼びやすいじゃん

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