車のオークション会場を見たことがありますか?今はなかなか見ることができないのですが、私はまだ緩かった時代に一度見に行ったことがあります。高度なシステムが整備されて、各プレイヤーが一方的に損になるような仕組みが排除されています。ただし登録された業者のみが参加できるクローズドなモデルです。こちらにかなり詳しく(くるまオークションドットコム)書かれています。

前回は、売買における手数料無料業者のビジネスモデルとそれにまつわる弊害について考えました。
今回は別のケース、つまり「他社からの申し込みを断ってしまう慣行」を考えてみましょう。

前回述べたように基本的に、売主が仲介会社に売却依頼をした場合、物件情報共有システム「レインズ」に載せることになっており、どの業者もフラットな立場で情報を見ることができることから、オークション会場に例えました。レインズに載っている物件は、ほとんどそのままインターネットの中古マンション情報サイトにも載るので、検討者も今の売りに出ている物件を調べることができます。

先日こんな相談を寄せられました(私とかなり似たような体験ですが実話です)。

「A不動産に購入相談をし、何軒かみたのですがピンときません。先日、SUUMOに載っていた割安だと思った物件の案内をA不動産経由で申し込んだところ”売主が海外旅行中らしく案内できない”と言われました。そこで、SUUMOに書いてあったB不動産に電話をかけたところ、“いつでも案内できます”と言われました。結局、B不動産にその物件を見せてもらったのですが、A不動産に少し不信感を抱いてしまいました。」

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私も一度経験するまで気付かなかったのですが、これこそ「囲い込み」が生む買主からすれば不可思議な現象です。

「囲い込み」とはなんでしょうか?
仲介不動産店のビジネスモデルを考えれば、すぐ理解できます。前回エントリで述べたように仲介手数料が発生するのは以下の2パターンです。

  • 取引成立時に売主から仲介手数料をもらう
  • 取引成立時に買主から仲介手数料をもらう

この時、売主と買主から両方手数料をもらえれば、収益が倍になります。
「レインズに登録するのは義務だけど、ウチが売りも買いも担当したいから他社からの問い合わせは何かと理由を付けてすべて断る」というインセンティブが働きます。
ひどい例をあげれば、ウチに任せてくれれば高く売れますとレポートを出して独占契約(専任媒介)を取った上、最初の数ヶ月はお客をわざと紹介せず売主を不安にさせつつ、頃合いを見てから「問い合わせがありません、そろそろ値下げしては?」と切り出し、自社の顧客を紹介することもあるそうです。

売主からすれば、「高く売りたい」「目標の価格で売って欲しい」「だらだらせず早く決めたい」という希望があるのですから、売却依頼をした会社が勝手に他社からの顧客を断るのはモラル違反行為といえるでしょう。実はこの「囲い込み」行為は2013年10月よりレインズの利用規約上禁止されているのですが、上記の体験談に限らずまだまだあるようです(とある不動産屋に聞いたところ、両手取引は全成約の約4割程度だそうです。レインズというオークションシステムが正常に働いていれば、4割という数字はありえないでしょう。)。体験談に書かれていた会社名は誰もが知っている財閥系仲介不動産会社でした。

囲い込みを発見する方法はないのだろうか?

売主からすれば、モラル違反と思えるこの行為ですが、売主側が依頼した不動産屋が囲い込みをしているか調べる術はないのでしょうか?

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売りに出されたマンションが付近と比べて適正な価格なのに数週間問い合わせが無いと報告されたら、囲い込み行為を疑った方がいいでしょう。
確認方法は若干ハードルが高いのですが、「自ら不動産屋のふりをして物件確認を行う」のはどうでしょうか。

売主「〇〇不動産の〇〇です。物件確認をお願いします。〇〇マンション〇階〇,〇〇〇万円のお部屋はいかがでしょうか?」
A仲介会社(窓口)「大丈夫です。」
売主「それでは、今週末にお客様のご案内をしたいのですが、いかがでしょうか?」
A仲介会社(窓口)「担当者に代わります。」
A仲介会社(担当者)「担当の〇〇です。」
売主「〇〇不動産の〇〇ですが、〇〇マンション〇階〇,〇〇〇万円のお部屋を今週末にご案内したいのですが、いかがでしょうか?」
A仲介会社(担当者)「あ~その部屋は売主が海外旅行中だからダメですね~。」
A仲介会社(担当者)「既に申し込みが入っていますね~」
A仲介会社(担当者)「もう先約のお客様が数名入っているんですよ~」

もし断った事由が、売主からみて不自然な理由でしたら囲い込み行為をしていると考えてよいかもしれません。

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本来なら禁止規約を作ったレインズ側が「囲い込み行為を監視する機関」を作って検査をするべき、と考えます。
第三者機関でもいいのですが、残念ながらお金の出し手がいません。
レインズ運営元の東日本不動産流通機構のホームページを見ると、理事さんたちのプロフィールが載っています。利害関係者が多いので彼らが積極的に抜き打ち検査をすることはまず無いでしょう。

次回は、「では一般消費者はどうしたら不利益を被らなくて済むのか?」を考えます。

コメント & トラックバック

ネットで広く一般に情報公開してるのに、レインズを見たと電話をよこす業者は、売手側業者から見れば「抜き」目的だと警戒するのはしかたないと思います。
まあ、そういった事がまかり通る業界に問題があるのですが。

この相談者のケースは、買主の囲い込みにl該当します。
それと、売却時の囲い込みを懸念するのであれば、一般媒介契約を多数の業者と交わすことで
両手だろうが片手だろうが早い者勝ちとなります。よって業者側は下手な小細工をする余裕がありません。
専任媒介契約でないと広告費がかけられない等の謳い文句はだいたいウソです。
試しに、広告できないなら一般媒介契約ですら結ばないと伝えて見てください。一般でも頑張りますとか言い出すはずです。

こんにちは。不動産業を営んでいる中島と申します。
利害関係に無い一般の方の意見はすごく参考になるので拝見させていただいております。
突然のコメントを失礼致します。
そもそも私達仲介業は「仕入れがない身銭を切らない業界」です。
他人様の「資産をただでお預かりし」それを商品として販売させていただく訳で、値下がりしても仲介業者の利益は目減りせず売る方だけが損をする大変不公平なシステムになっています。
そうなりますと、大手等が会社名やCM等の認知度から売却依頼を受けることが多くなり、「ただ上手に売却依頼を受けるだけで利益が確定する」大変優良で元手のかからない仕事になっています。
業界内部は足の引っ張り合いですから、特にこういったカカエコミ問題が後をたちません。
どうにか一般の方の不動産会社内の行為の認知度を浸透させていただきたく私も行動にうつしております。
頑張ってください。
良い記事はよろしければリンクを張らせてください。お願い致します。

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