前回エントリにて述べた「有明体操競技場の常設化」は、東京都の臨海部開発が大きな戦略変化をしたことを示しているのではないでしょうか。
元々、臨海副都心はゾーニング分けされていて、首都高から北側の有明は住宅エリアとして、居住人口を三万六千人と定められています。東京テレポート構想から始まった臨海副都心計画は、ウォーターフロント開発や住職接近思想とリンクしていて、台場青海をオフィス街に、有明南を展示会場に、そして有明北を居住に使う予定でした。バブル経済で膨らんだ東京の地価は手つかずの臨海部まで拡張しなければ新しい開発ができなかったのです。
ただこの構想はバブル崩壊、都市博開催の中止とともに台場・青海に十分なオフィス街を形成することができず失敗が確定します。その後の20年間の推移を見れば、臨海副都心はオフィス街よりも都心から一番近い身近なリゾート・観光地の色合いが強くなりました。この流れの中にお台場カジノ構想や台場旅客ターミナル移設のお話があります。
JRも地下鉄も走っていない有明北の三万六千人という人口フレームは話の流れからして臨海副都心に十分なオフィス街が形成されることが前提でした(その割に臨海副都心内の移動導線が非常に弱いんですが)。この人口は1世帯2.5人計算で600戸規模のタワーマンションを24本必要な分量ですが、当然そんな需要はなく、未だに未利用地が広がっています。
あまり知られていないことですが、ゆりかもめテニスの森駅からみて左右側、大きな空き地は2000年頃に埋め立てられた土地です。いわゆる旧有明貯木場です。
民主党(リンクするのが嫌なので魚拓へ)・有明北埋立事業計画(旧有明貯木場)のあらましと問題点
今考えれば、520億円で都心5km圏内に16万坪造成できるなら安いとは思いますが、埋め立て後から15年間何も利用がされていないのも事実です。東京都港湾局は臨海副都心計画収支の帳尻を合わせるため、オリンピックが来なかったらすぐ(?)、来たなら仮設競技場跡地に旧貯木場を住宅用地として販売する予定でした。
詳しくはこちらから。上図でいう有明北1地区群です。親水公園沿いに高いタワーマンションを建てられる用地として販売するという計画変更が2014年夏頃には発表されています。
今回のお話はそれを180度ひっくり返す話となりました。
オリンピックから一連の流れを図にしますと下図のようになります。
住友不動産開発の有明ガーデンシティは国家戦略特区認定を受ける予定で、MICE戦略(企業・産業の展示、国際会議や学会の誘致とそのアフターフォロー)とも密接に絡んだ計画となります。ビッグサイトよりもう少し都心手前側に展示会場をもう一つつくるということは、有明を「展示会の街」にしようという戦略の大転換と言えると思います。ここで、カメラをもう少し引き、環状2号線BRT計画全体あたりを見てみましょう。
上図で築地・晴海・新市場・有明は東京都が大きな地主であり、コントロールが可能な地区です。地図を見れば勝どき西、豊海一体が住宅用地としてのポテンシャルが高まると同時に、有明は臨海副都心の住宅用地から展示会の街にキャラクターを変更するのでは?と考察できますね。
こうなると自転車競技場が建設予定だった、オリゾンマーレ北西側の土地の行方が気になります。有明アリーナから都心への主要公共交通手段であるゆりかもめとBRT新駅への動線となりますから、こちらも住宅用地からの用途変更になるのではと、のらえもんは勝手に期待しております。
逆にBAC北側用地住宅地としての魅力が高まるということも意味しますが・・・あの辺の土地はURと民有地ですからこちらはまだ読めません。
まぁあくまでもネタということでひとつ。
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