東京都の発表から約1週間が経ち、私の元にもいろいろ情報が集まってきました。
今回の東京都発表「都心-臨海副都心BRT計画」について過去の情報とともにまとめてみました。
本稿は予告なく追加訂正があるかもしれません。
BRTってそもそも何?
Bus Rapid Transitの頭文字をとった略語で、連結バスのことです。今回計画されているBRTは、一部区間優先レーン・信号優先有ですので単なるバス路線よりも定時性は高く、輸送力や見た目は路面電車に近いものです。東京オリンピックを見据え、東京都は2019年を運行開始目標に、環状二号線を中心にBRTを走らせる計画です。また、燃料電池をつかった車両が使われる予定です。
中央区BRTと都心-臨海副都心BRTは違うの?
2014年8月29日の東京都発表まで、中央区が独自に銀座~晴海間のBRT運行を計画していました。この計画は2016年運行開始と発表されていましたが、本発表により、東京都のBRT計画にマージされることになりました。2016年開始はなくなり、2019年開始に後ろ倒しになった模様です。
中央区が作った需要予測等の資料は本計画でも活かされると予想します。
↓中央区BRT計画の本命ルート
そもそも必要なの?
東京都の臨海部には再開発計画の進展により高層マンションが立ち並び人口が増えている地区が数多くあります。このうち、東雲-豊洲-月島といったラインは都心方向に有楽町線が通っていますが、勝どき-晴海-新豊洲-有明のラインは都心へ向かう軸がバスしかありませんでした。この第二ラインは、人口の増加にもかかわらず公共交通の貧弱さが問題となってきました。この計画はその解消策となります。
↓赤いラインは有楽町線という本線がありますが、勝どき晴海有明というラインには都心に向かう公共交通機関がバスしかありませんでした
また、2020年東京オリンピック開催時に競技会場の中心となる有明に向かうには、現状ゆりかもめかりんかい線しかなく、都心方向との結節が弱いと指摘されていました。
豊洲から勝どきへゆりかもめの延伸はないの?
ゆりかもめの将来構想の中に勝どきまでの延伸はあった模様です。事実、終点豊洲は晴海方向に向かうようなレールの作りになっています。
しかし、本計画の発表によりゆりかもめ延伸は限りなく薄くなったと考えてよいでしょう。そもそも勝どきまで延伸してもその先に伸びないと意味はありません。しかし、勝どきより先に延ばすのは困難な状況です。
発表されているルートはどうなの?
環状二号線がメインルートと発表されています。
すなわち、虎ノ門-新橋-築地-勝どき-晴海-新豊洲(新市場)-有明(ビッグサイト)です。その他に東京駅、一部報道では八重洲・鍛冶橋や台場などの名前が上がっています。
メインルートを環状二号線として、いくつか支線が伸びると考えられます。例えば、北向き方向ですと銀座や東京駅、虎ノ門といった場所でしょう。ビッグサイトとお台場のルートが分かれるかはわかりません。
費用はどうするの?
専用ルート工事などのインフラ部分は都負担ですが、運行費用は運営会社負担だと思われます。(車両整備は都の負担でしょうか・・・)今回、運営の第三セクター等を作らないので、投資を確実に回収できるルートしかBRTは走らないと考えます。
所要時間はどうなる?
中央区独自の計画(第4回・基幹的交通システム部会資料より)では銀座からみゆき通り経由環状二号線~晴海トリトンで12.6分/4.2kmの予測でした。環状二号線の全線開通時にそのまままっすぐ向かうルートで試算してみると
虎ノ門ヒルズから:
~勝どき(清澄通・環2交差点)まで:約2.6km
~晴海(晴海5丁目交差点)まで:約3.2km
~ゆりかもめ新市場駅前まで:約4.3km
~有明コロシアム東交差点(現ディファ有明前)まで:約5.2km
~東京ビッグサイト正門交差点まで:約6.4km
となりました。道中すべてまっすぐのため、時間ロスが減らせることを考えれば、虎ノ門から勝どきまで7分・晴海9分・新市場12分・有明14分・ビッグサイト17分くらいと予想します。あくまで予想なんで多少の粗さはご容赦を。
運行頻度と料金はどうなる?
運行頻度は東京都の基本計画・事業計画の策定発表まで待たなければなりませんが、中央区の方で概算が出ています。
この需要試算では都バスとの競争を考え一律200円でした。これを大きく上回る料金は取らないでしょう。また、銀座~晴海間の需要は最少1.5万人/日なのでピーク率15%を見込むと3.5分に1本との試算です。
始点が銀座6丁目から虎ノ門・山手線新橋駅に直結に変更され、南側の終点がビッグサイトや台場まで伸ばされたとなると、需要は更に上振れすることが予測できます。ピーク時は、中央区試算よりも多い2~3分に1本という割合ではないでしょうか。
結局地下鉄の方が便利じゃない?
そりゃそうです。有楽町線とBRTを比べてしまうと、輸送力に10倍以上の差があります。また山手線有楽町駅よりさらに先、池袋以西まで延びています。
しかし、地下鉄は地下に潜って地上に出るロス時間がありますし、整備に数十年かかります。BRTはもう少しショートレンジの公共交通機関です。仮に先ほどの勝どき7分・有明14分が達成できるなら、中央区臨海部・臨海副都心と都心間のアクセスはこの都心-臨海副都心BRTでかなり改善されるといえそうです。
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