ケーススタディ集

住宅ローンの攻略法。金利、保証料、手数料の違いなどを解説。

住宅を買おうとすると、新築・中古/マンション・戸建てを問わずほぼ使うことになる「住宅ローン」。これは立派な金融商品です。そして、団体信用生命保険が原則付帯していますし、住宅ローン減税が絡んできます。さらには勤続年数や今の借入状況で借入可能金額が増減したり、提示金利が変わったりしますので、思ったよりも複雑な商品となります。

営業さんの言われるまま、住宅ローンの借入先を決めるのも悪くないのですが、奥が深い世界ですから、のらえもんブログで一度正面から取り上げてみましょう。

住宅ローンって結局何なの?メリットを考える。

住宅消費の波及効果を見込み、政府からの手厚い後押しがある自宅不動産購入限定での長期ローン、それが住宅ローンです(二世帯住宅や賃貸併用住宅は考えない)。用途に厳しい制限がありますが金融商品として考えた時、以下のような大きなメリットがあります。

  1. 政府の思惑および銀行の思惑により、人為的に超低金利に抑えられている
  2. 住宅ローン減税という強力な減税手段が用意されている
  3. 団体信用生命保険付きで提供されており、銀行に支払う金利の一部は生命保険の掛け金とみなせる
  4. 超長期のローンであり、低金利と相まってキャッシュフローの改善効果が見込める
  5. 途中返済が困難になるようなもしもの場合も、早めに銀行に相談すれば一部期間金利のみなど、リスケの相談もしてもらえる。一昔前よりずっと優しい

このように、金融商品としてみた場合、実に魅力的な商品です。もちろん制限もあります。

  • 使用する場合は自己居住用の自宅に限られる
  • 完済するまで購入する物件に抵当権が設定される
  • もしルール違反をした場合、期限の利益を喪失し、完済などを迫られる
  • サラリーマンに与信が付くという構造から、自営業者・経営者は使いにくい(少なくとも所得コントロールや節税と相性が悪い)

という面もあります。総じて、利用するメリットが大きいものと私は考えています。

このブログの大テーマの一つは「損をしないマンション購入」ですが、正しく住宅ローンを使い、流動性がある物件を購入することにより、損をすることなく自己資産を作れるという結論に達しています。作家の橘玲さんは、ローンを「お金のタイムマシーン」と言われていましたが、まさしくそれです。

住宅ローンの比較ポイント

大きく分けて3つです。私も最新情報を常に追いかけられているわけではないので、特に金利情報は古い可能性もあります。

金利

期間35年と考えると、総支払額に最も影響を与えるのは金利です。2021年3月現在、フラット35の35年固定金利は1.35%。これには団体信用生命保険が付いている金利となります。もし、健康上その他の理由で団信に加入しない場合は、金利が-0.2%されます。

フラット35の全期間固定金利が事実上の上限金利となっています。

私が知る限り、変動金利最安(2021.03)は0.390%でジャパンネット銀行が提供しています。なお、auじぶん銀行はau契約(pavoは対象外)と電気契約のセットで0.1%引き下げの0.310%で提供しているので、実質はこちらのほうが安いですね。固定10年は0.499%でこちらもジャパンネット銀行が最安だけど、auじぶん銀行のセット割で0.425%が狙えます。

ただし、固定期間終了後の金利優遇には気をつけましょう!特にauじぶん銀行は固定期間終了後の優遇幅が縮小される割合が高いので、10年後に一括返済なら良いのですが、変動金利の方が何かとおすすめです。固定10年0.425%→固定期間終了後の優遇幅が「-0.8%」になるために基準金利2.530%だとすると、11年めから変動金利に切り替わったあとは変動1.73%となり、かなり不利になります。

固定期間終了後、繰り上げ返済をせずに35年借り続けることまで考えると、みずほ銀行のネット専用住宅ローン「全期間重視プラン」がお得です。

保証料

住宅ローンの保証料、これ誤解されている方も多いのですが、「銀行に対しての保証であって借りる人のための保証ではありません!」連帯保証人を立てなければ借金できない代わりに、保証会社がお金をとってその機能を代行してくれるということですね。いずれにしても銀行からすればとりっぱぐれがない、ということです。

住宅ローンを借りている人の支払いが滞り、返済ができなくなると保証会社が代わりに銀行に残債を返済します。そして保証会社が返済先となり、取り立てが始まるのです。「いざとなったら保証会社が払ってくれる、そのためにお金を払っている」と勘違いしている人がかなり多いのでご注意ください。

さて、この保証料をどのように払うかですが、選択肢は3つあります。

  1. 保証料無料の銀行やプランを選ぶ
  2. 保証料外枠で、借入時に払う
  3. 保証料内枠で、毎月の返済時に金利上乗せして払う

保証料無料の銀行、もしくは保証料無料プランはかなり存在します。しかし、これは最初に融資手数料を取って資金回収しています。ですので、保証料無料=安いというわけでは決して無いので注意しましょう。

通常は住宅ローンを組むときに別途保証料を支払う形、保証料外枠がメジャーとなります。料金は、りそな銀行が公開しています。銀行によって微妙に違うでしょうけど、参考にはなりますね。借入期間35年の場合、借入金額100万円あたりの保証料は20,614円です。つまり、2.06%かかります。5,000万円を期間35年で借りると、1,030,700円かかりますね。外枠で払った保証料は、繰り上げ返済や一括返済をすると、必要がなくなった保証分だけ返還されます。

保証料を最初に払わず、月々の金利に上乗せして払う、保証料内枠というプランもあります。この場合、毎月金利を+0.2%程度上乗せして保証料として毎月支払うことになります。内枠は借入時のキャッシュフローが楽という利点があります。逆に外枠に比べて35年トータルで考えると保証料が高くなります。保証料の内枠・外枠どちらが有利かという計算ですが、繰り上げ返済をせず長いこと払えば払うほど外枠が有利。途中で住宅ローンの借り換えを考えている方にとっては内枠が有利、となります。

超低金利の今、積極的に繰り上げ返済を行う理由は以前よりなくなってきています。これから長い将来を考えても、2021年の今の住宅ローン金利水準は、底中の底でしょうから、これから新規で借りられる人は、借り換えを考える必要もあまり考えられなくて良いです。総合的に考えると、外枠で良いと思いますね。住宅ローンの借り換えコストは安く済ませたとしても残債の1%〜、通常は2%程度かかります。

手数料

銀行から住宅ローンを借りる際、一般的に事務手数料がかかります。これも大きく選択肢が3つあります。

  1. 保証料がゼロの代わりに事務手数料が2.2%かかるタイプ
  2. 保証料がゼロ、かつ事務手数料が一定金額のタイプ
  3. 保証料がかかるが、事務手数料が数万円のタイプ

1ですが、ほとんどのネット系銀行はこのタイプです。実は銀行にとっては借り換えや繰り上げ返済によって保証料の返還義務が生じるよりも、最初から事務手数料を取ってしまうタイプの方が都合が良いのです。その代わり都市銀行よりも変動金利や固定10年が安く抑えられています。

2ですが、楽天銀行は事務手数料が一律33万円であることが魅力的です。多額の住宅ローンを組めば組むほど威力を発揮します。提示されている金利はネット系含めて最安ではありませんが、それでも手数料が安いのでかなり重宝されています。もう一つは新生銀行が有名です。ここはちょっと契約が特殊なので(ごにょごにょ…)、変動金利よりも長期間の固定金利でロックする契約を狙う場合は魅力あります。手数料は5.5万円です。なお、ソニー銀行も事務手数料4.4万円で金利が0.2%程度プラスされるプランを用意しています。

3は、ほとんどの都市銀行、地銀、信託銀行などが採用するプランです。伝統的に保証料がかかります。

その他

各社、団信についているおまけの保証で差をつけていたりしています。全ては負いきれないのでチェックしてみてください。また「電子契約」を結ぶことによって印紙代を節約することができる銀行が現れてきました!印紙代もバカにならないのでおすすめです。

全部調べて比較し、仮審査出すまでめんどくさいならサービスを使う手もある

オンライン完結系でひとつ、アドバイザーでおすすめしてくれるところをひとつ、それぞれ紹介しましょう。

モゲチェック

オンライン完結系のサービスとしてひとつ頭抜けているなと思うのはモゲチェックさんです。

住宅ローンを自分で比較して探すのはめんどい!アプリでどれくらい借りられるかチェックしたい!むしろ融資承認がどれくらいの確率で降りるのか、気になる!みたいな人におすすめのサービスです。ただ、私はこのサービスを使って実際に融資まで利用したことはありません。

iYell(住宅ローンの窓口)

モゲチェックがtoCに強いとすれば、こっちはtoBに強い…外から見る限りそういう印象です。こちらは対面・オンライン問わずコンシェルジュ系のサービスですね。

「最高の住宅ローン」とは必ずしも低金利の商品に限った話ではありません。
しかし、世の中の住宅ローン情報は低金利至上主義。本来であれば、一人ひとりの環境や現況に応じ、無理なく確実に家を手に入れることができる商品こそが、「最高の住宅ローン」と言える

30平米台1LDKとか住宅ローンを付けるの苦労しそうな物件に強いという感じなんでしょうかね。並べている銀行がいぶし銀なので、モゲチェックとは違う地上戦をやっているところが面白いと思いました!

住宅ローンを使った資産形成攻略方法

もうこれ簡単なんです。箇条書きしますと、

  • 夫婦歯を食いしばって正社員もしくは住宅ローンが借りられるように節税しない自営業
  • 住宅ローンをペアローンで組み、値下がりしなさそうな住宅を買う
  • できれば10年後、夫婦の残債がそれぞれ4000万円づつあることが好ましい
  • 低金利かつ初期費用を抑えた住宅ローンを組む

これを実行するとですね。

  1. 毎年80万円、10年累計800万円、所得税が戻ってくる
  2. 値下がりしない物件なので、残債の減少がそのまま貯金になる
  3. 初期費用を抑えられるので、物件の取得にかかるコストが抑えられる

10年も経てば、夫婦でかなりの資産が形成できているはずです。「20代夫婦が7000万円のタワーマンションの購入検討」でプチ炎上しましたけど、結局は以上のようなことなのです。日本は人口減少社会でも、ミクロで見ると人口が増えている場所はありますからね。

−−−

ということで、住宅ローンの基本の抑えと最近出たサービス、そしてペアローンを使った資産形成法についてのご紹介でした!

 

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コメント

  • コメント (7)

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    • おのぼり
    • 2021年 3月 10日

    こんにちは!
    最後の資産形成のところ、「10年後、夫婦の残債がそれぞれ4000万円づつある」とありますが、
    「10年間」ではないでしょうか?
    細かくて恐れ入りますが、理解が違っていたら教えて頂けると幸いです

      • のらえもん
      • 2021年 3月 10日

      ご指摘ありがとうございます。
      10年後の残債がそれぞれ4000万円づつある状態が、最高に効率が良いのです。
      金利0.5%35年で逆算すると、5600万円借りて繰り上げ返済を一切しないと10年後の残債が4000万円となります。
      つまり物件価格は1億1200万円フルローン(震え)

    • 匿名
    • 2021年 3月 10日

    住信SBIネット銀行の提携ローンは035%です

      • のらえもん
      • 2021年 3月 10日

      一応、ネットで調べた範囲なので!
      提携ならそうなんですね。

    • Ayaka
    • 2021年 3月 10日

    こんばんは。
    ちょっと質問してもよろしいでしょうか?
    6000万円のローンを最初の10年間に4000万円以上を残しますが。
    11年目に完済する予定の場合、どの銀行を選べば一番支払い金額少ないでしょうか?
    ありがとうございます。

      • のらえもん
      • 2021年 3月 10日

      数万円の差で楽天銀行です。初期費用の差で若干だけ楽天有利。もう少しだけ先だと0.380%で借りた方が有利になりますが。

    • 名無し
    • 2021年 3月 14日

    auからpovoへの早期申込特典で家族割プラスのカウント対象となるそうです。
    家族3人auの内2人povoへ移行した場合、家族割プラス3人分の割引をau残留組は得られます。
    povo組は価格は割り引かれません。

    ところで、住宅ローン控除は(要件を満たせそうなら)13年分を狙うのが1番得かと!

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