緊急事態宣言が明けて3ヶ月の2020年7月末時点で、湾岸エリアのタワーマンション相場はどうなっているのかを報告するシリーズ。今回は2020年東京オリンピックが開催されていれば、いま東京で一番アツい場所になっていたであろう、有明1丁目エリアを取り上げます。
オリンピックが無くても、2020年はシティタワーズ東京ベイとプレミスト有明ガーデンズの入居開始、そして有明ガーデンのオープンと話題に事欠かないのですが、さていまの市場では各マンションがどのような評価を受けているのでしょうか?
今回の調査範囲のマンションは以下の通りです。
オリゾンマーレ(2004)、ガレリアグランデ(2006)、ブリリアマーレ有明タワー&ガーデン(以下BMA・2008)、シティタワー有明(以下CTA・2009)、ブリリア有明スカイタワー(以下BAS・2010)、ブリリア有明シティタワー(以下BCT・2014)
オリゾンマーレからブリリア有明シティタワーの完成まで10年かかってますね。オリゾンの分譲時、ゆりかもめは有明どまりで豊洲まで伸びていませんでした。この間、2つの小中学校が東西に開校して、スーパーが開店。オリンピックも決まってスポーツの街という性格がつきました。
さて、2017年1月から2020年6月の成約事例を各マンション毎に色分けしてグラフにしました。
少し見づらいので、ゆりかもめを境にして有明東と有明西に分けて紹介します。
有明1丁目東エリア:
オリゾンマーレ、ガレリアグランデ:
プロパストが元気だった頃に分譲した2つのタワーマンションです。前述のとおり、有明はまだ街としての形がほぼありませんでしたので、この2マンションは、居住用というよりもリゾートマンションの色が濃いものとなっており、本来の規模よりもずっと大きな共用施設と、美術館のような石で飾られた空間を持っています。コスト圧縮を求められている今ではとても不可能なほどの色大理石が使われていて、時代を超越していますね。
さて、この3年間でどちらも坪25〜30万円くらいアップで評価されています。特にオリゾンマーレの復権は激しいものがあります。実はシティタワーズ東京ベイよりも、有明ガーデンの正面に近いマンションなんです。利便性が大幅に上がって坪単価も上昇しています。
シティタワー有明:
住友不動産のタワーマンションといえば、ガラスカーテンウォール!いま分譲中のシティタワーズ東京ベイはずいぶん普通のマンションになりました。タワーマンションの魅力とは?それは眺望である。と全力で振り切っていた頃のマンションがシティタワー有明です。特に北西側、有明アリーナの頭を超える部屋から見える眺望はベランダに出ずとも絵画のように美しいはずです。
こちらも、3年間で坪20万円くらい評価が上がっています。
有明1丁目西エリア:
有明1丁目西側エリアは通称「ブリリア村」です。すべて東京建物が主幹事で建てたマンションとなり、4棟目の「ブリリアタワー有明ミッドクロス」も当然東京建物分譲となります。
ブリリアマーレ有明:
オリゾン、ガレリアと有明を開拓したプロパストは有明の3棟目も手がけようとしますが、結果的に東京建物・伊藤忠とのJVとなりました。ただしその後リーマンショックで力尽きたプロパストは売主を東京建物に譲ります。プロパストテイストが残った最後のマンションとなります。目玉は最上階の共用施設で、豪華な共用施設群に圧倒されます。少なくとも私はここより豪華な共用施設を知りません。
築年数の差もあって、2017年時点では弟分のブリリア有明スカイタワーよりアンダーバリューの評価をされていましたが、2020年になって逆転していますね。この3年間で坪30万円を超えるほど評価アップしています。
ブリリア有明スカイタワー:
ブリリアマーレ有明の隣地を取得した東京建物が、東武鉄道と組んだのがブリリア有明スカイタワーです。ですので命名はスカイツリーから来ていると思っています。リーマンショック後の需要急減に焦った東京建物は、ブリリアマーレを凌ぐ設計とはせずに弟分として設計します。目玉だったプールは最上階から2階に移動し、BMAの販売時にさばくのに苦労したプレミアム住戸は最上階のみとしました。
中古で見学された人の話を聞くと「ブリリアマーレは豪華すぎて維持に後で困りそう、過不足無いスカイタワーのほうが良い」と選択される方が多いですね。プール・バー・ジム・キッズルーム・最上階宿泊施設とコンテンツは一通り揃っています。また北西側は有明西学園があるので、永久眺望が確定しているというのもポジティブ要素ですね。2017年時に評価が既に高かったために、上がり幅は坪20万円程度に収まりました。
ブリリア有明シティタワー:
住友不動産をJV相手として選んで作られたのがブリリア有明シティタワーです。震災後の設計のため、免震タワーかつ内廊下のマンションとなりました。りんかい線とゆりかもめの駅から遠いのですが、その分眺望は優れています。角部屋はとにかくワイドスパンで、かつ順梁構造を生かした2m幅バルコニーのため、強烈なくらい広々とした空間を演出しました(これ、あまり語られないですね)。
2017年当時は築浅効果があったのですが、徐々にその効果が無くなったのか2020年になると若干ですが相場が下がりました。BMA・BAS・BCTの3兄弟は築年数の差が無くなって揃って坪290万円前後に落ち着いていますね。
最後にこの3年半の成約戸数比較です。
オリゾンマーレ 35
ガレリアグランデ 44
ブリリアマーレ有明 110
シティタワー有明 67
ブリリア有明スカイタワー 113
ブリリア有明シティタワー 73
有明のタワーマンションは3年半の間にどこも全戸数の1/10程度の所有者が入れ替わっている計算です。これに賃貸での入れ替わりもあるので、引っ越しは相当高密度に発生しています。新規居住者が流入している、ともいえます。
有明エリアの新築マンション
このエリアの相場を引っ張っている、シティタワーズ東京ベイ(本物件は有明2丁目)のモデルルームは有明ガーデンの中にあります、まだまだ在庫があり、営業さんからは本プロジェクトを数年かけて売っていくと聞きました。
人気の有明西学園入学が確定するブリリアタワー有明ミッドクロスも、ゆりかもめ有明テニスの森駅すぐのモデルルームで分譲中です。第一期は低層階に人気が集まったと聞きました。
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